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ああ二重人格


アレルヤ・ハプティズムは朝から自分が酷い顔をしていることを見せ付けられていた。
ことの起こりは約半日前のミッションでのこと。
とあるパーティーでの要人暗殺計画阻止のため、彼はある屋敷に出向いていた。
最終段階で、テロリストの所有ヘリが二機しかないことが判明したため
彼の持ち場はキュリオスから運転手やボディーガードの詰め所に急遽変更。
まずはミス・スメラギの読み通り、パーティー開始から一時間半後に侵入を試みた
迷彩・黒覆面の数名を他のボディーガードと共に足止め。
混乱に乗じて駆けつけた第一会場で、催涙ガスの中奮戦するロックオンと合流したまでは良かったのだが
そこへ数秒遅れで第二会場(女性用)からティエリアが乱入して来た辺りでずれが生じた。
まあ、スパンコール付イブニングドレスにハイヒール・・・までならともかく、防御マスク着用で
テロリストから分捕ったらしい旧型マシンガンの斉射というのはいかにも強烈だったし、そんなのに
踊り場から一足飛びに手すりを乗り越え、ナイフ両手に殺到されたのではテロリストでなくても呑まれよう。
とりあえずスリットの深いドレスでの立ち回りはやめようよと思ったのも束の間。
相変わらず思い切りのいい仲間と来ては喉は掻っ切るは、禁断の技は披露するは、
ミッションコンプリート後に戦い方についてロックオンが喰ってかかったのも無理は無い。
ただ、そこで、自分達はどこをどう間違ったのか。
例によって譲らないティエリアにロックオンの拳がティエリアの左頬にヒットしたと思ったら、
ティエリアはティエリアで身長で勝るロックオンの顎に見事なアッパー。
早くキュリオスで離脱をと宥めるか割って入るか機を伺う内に
何時の間にやら我らがリーダーの手は可憐な胸元へ伸びて不埒を働いていたというわけだ。

(どうしよう。ハレルヤ。)

アレルヤは洗面台に手をついたまま床へと沈み込む。
事態収拾をと思ったことには後悔は無いし、間違っていたとも思わない。
しかし、何故、何故あそこで「べ、別に凹凸は」なんて口走ってしまったのか。
どう考えてもあの言葉は女性には失礼だ。
咄嗟の事で正直な感想がつい漏れてしまったという感じだが、続きの「そのドレスも凄く似合ってると思うし」は、
その綺麗なドレス姿から放たれた鋭い蹴りのために永遠にアレルヤの口から出ることなく終わった。
全く、憎たらしいほどに、一瞬平衡感覚と視界が怪しくはなるものの、動けなくはならない、絶妙の打撃。
(流石、ティエリア)
痛みと同時に浮かんだのがそんな感想だった辺り、同僚への評価は妥当だったのだろう。
だが、彼をして夜食を逃さしめ、まだ相当な鈍痛を響かせている辺り、
鍛えていない人間では内臓がイっていたかもしれないから、それは後で注意しなくてはいけない気がする。
そんな調子でぐずぐずと問題を迂回していると、相棒から突っ込みが入った。
(お前、それよりこれからどうすんだよ。)
「え?」
(トレミーのマイスター用ロッカールーム、一つしかないだろーが。)
「あ!」
(これまで通り背中合わせで着替えんのか?あそこシャワーも一つだよな~)
「っ・・・」
(てか、これまで涼しい顔して共用って、すげえ神経だよな。)
「あ、ああ、ってハレルヤ・・・?」
(おまけにツンケンしやがって癇に障るったらありゃしねえ。)
「ハレルヤ!」
(顔はともかく、お前もこう、肉が足りねぇと思うだろ?)
「そ、そんなことないよ!」
(ああそうか。お前あのドレス姿でど真ん中だっけか。(どう考えても中身が寂しいと思うけどな))
「っ、ちょっと、<ハレルヤの想像図>うわ~!」
(まあ、間違いなく処女だな。)
「ハレルヤ~!!」
(ん~とりあえず犯れ、つか、俺が犯る。変われ。)
「駄目だ!!!」
二時間後、個室から出て来たアレルヤ・ハプティズムは、心なしか頬までこけて見えたという。
最終更新:2008年03月11日 01:08