215 :幼なじみDQN:2009/09/03(木) 01:27:00 ID:19dvtYpC
→「やだ! 開けないで」
私は慌てて、ドアに向かって叫んだ。
このドアの向こうにはお母さんだけじゃなく、説得に来たクラスメイトが居るのだ。
(会いたくない……)
会ってみたところで、一体何になるんだろう。
どうせ相手を不愉快にさせるだけだ。
そんな少し先の未来が容易に想像できるからこそ、絶対に会いたくなかった。
お母さんは「喪女ちゃん、開けてちょうだい」と何度か私に呼びかけていた。
だけど私はそれを無視して、息を詰める。
(は、早く帰って……!)
バキッ!!
「ぎゃあ!!!」
ドアの方から大きな音が聞こえて咄嗟に叫んだ。
急な出来事に何が起きたのか訳が分からない。
(今の音は何?何が起きたの?!何でドアが壊れてるの?!!)
呆然とドアを見ていると、ずれたドアをこじ開けて一つの影が部屋にはいってくる。
「てめぇ、さっさと開けろよグズ!!」
入ってきたのは、制服を着崩している髪の短い金髪の男の子だった。
ネクタイはしていないし、腰パンしたズボンにはチェーンがついている。
耳にはピアスがたくさん付いていて、威圧感に少し恐怖する。
(確かこの男の子……)
昔の面影はすっかり無くなってしまったが、隣の家に住んでる幼馴染。
中学の頃から避けられ始めて、高校に入ってからはほとんど話をしてない・・。
「…………」
私は無言で彼を見つめる。
この状況にまだついて行けず、何を話せばいいのかわからない。
「お母さんは修理屋さんに電話してくるわね。どうぞ、ごゆっくり」
そう言い残して、お母さんはいそいそと部屋を出て行く。
残されたのは当然私達二人だけだ。
(待ってお母さん、この状況に二人きりにしないで!)
心の中で叫んでも聞こえるはずなく、お母さんが階段を下りる音が聞こえてくる。
オドオドする私を尻目に、彼は鞄を床に置き、ベットに腰掛けた。
「で、お前何してんの?」
「……え?」
「何ひきこもりとかしちゃってんの?って聞いてんの」
「……………」
「黙ってちゃ分かんねぇだろ!!理由ねぇなら学校来いよ」
「理由が無い訳じゃない……です」
「じゃあ何だ、言ってみろ」
「………………」
沈黙が続く。僅か3分程の沈黙が何十分にも感じられる。
けど、理由を言ってもきっと理解してくれないし、馬鹿にされるかもしれない・・・。
そんな事ばかりが頭をよぎり、俯く事しかできなかった。
「………はぁ」
大きなため息が聞こえてきて、俯いている目から涙がこぼれそうになる。
きっと呆れた目で私を見てるんだろうな。まともに会話もできないし、顔を上げる事もできないし。
何でこうなっちゃったんだろう?昔は一緒に遊んで、たくさんおしゃべりして、一緒に笑ってたのに。
「お前さ、こんな暗い奴だっけ?昔はさ、もっと笑ってたじゃん。何かあったのか?」
「……………」
「だ か ら、黙ってちゃ分かねぇってさっきも言っただろ?何でしゃべんねぇの?」
「……………」
「ねぇ、聞こえてねぇの?それとも口きけなくなったの?」
「…ごめんなさい」
「誰が謝れっつったよ!謝れなんて言ってねーだろうが!!はぁ…退学取り消すって言われなきゃ来なかったのに」
「え…?退学?」
驚いて顔を上げると不機嫌そうな顔が一瞬だけ吃驚した顔をしていた。
そういえば、今日私から話しを振るのは初めてだったなと思い返す。
私が顔を上げたのを見ると彼は少し表情を和らげた後、嬉しそうな顔をして話しはじめた。
「ああ、担任が服装についてとやかくうるせーから、ヅラとってやったらすげー怒られてさ」
「やっぱりヅラだったんだ!私も見たかったなw」
穏やかな声を聞き、すんなりと会話ができた。
小さい頃も彼がいたずらをして、それを二人で笑いながら話してたっけな。
昔を思い出しながら自然と笑みがこぼれる。
「やっぱさ、お前笑ってた方がいいよ。ビクつきながら俯いてるよりさ」
「うん…ありがとう」
「おう。それでさ、他にも………」
彼は私が学校に行ってない間に起きた面白い出来事を話し始めた。
私は相槌を打ちながら、久しぶりに声を出して笑う。
217 :幼なじみDQN3/2:2009/09/03(木) 01:31:05 ID:19dvtYpC
楽しい時間が過ぎるのはあっという間で、日はすっかり沈んでしまっていた。
「俺、そろそろ帰るわ」
「うん…今日はありがとう」
「じゃあ、またな」
彼が部屋を出ようとすると、そこには見るも無惨なドアの姿が…。
話すのに夢中ですっかり忘れていた。
「あー…ドア、ごめん」
「あ、うん。大丈夫」
「それと、中学の時避けてごめん」
「……え?」
「俺もまだガキだったしさ。じゃ!!」
彼が階段を駆け下りて行く音を聞きながら、今日は部屋の大掃除をしようと決心する。
以上です。
全然DQNじゃないくせにツンデレ入ってすいません
最終更新:2009年09月08日 01:00