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KKK(こんな・感じで・消えてしました)



 かすかな涼風が山間から吹く。このカスカベ方面基地から程近い戦場で夕暮れの船とアサヤケは激突した。結果は艦載機三機のうち二機が中破、残るミハマが駆る絶望号も少なからぬダメージを負っている。形勢としては最悪と言って差し支えない状況に、ミハマは一つの決断を下した。
「無茶だぜ、ミハマァ!」
 ブリッジで喚く落俊からの通信に苦笑を浮かべるミハマ。コクピットに搭載されたBALLSもプログラムの中でしきりに各部のダメージコントロールに奔走しているようだった。
「そうも言ってられない。いま動けるのは僕だけだ」
 ブリッジに響く通信を聞きながら艦長席に腰掛けたアキラがくすりと笑う。
「やれるだけやる。だから皆も全力で逃げろ!」
 それだけ告げると通信は途絶えた。アキラが片頬を上げながら音もなく艦長席から立ち上がる。
「誰かに頼るって事を知らないのかな、あの人は」
 立ち上がったままぽつりと呟くと、艦内に耳をつんざく警報が響く。
 同時に視界の全てを光が覆った。



 その小型艦は光の中から突如、現れた。彼らが現れても光は広がり続けている。
 小型艦の小さな艦橋には三人の男が居た。うち二人は両端のコントロールパネルに向かい、一人は空間の中央に屹立している。その場に君臨するかのように、だがあくまで静かに腕を組むこの長身な男は巌巳海蔵という。彼にはおよそ表情というものがない。
「当艦の転移完了。および代替ジェネレーターの射出を確認」
 右端のオペレーターが無感情に告げると、彼らの正面に位置するモニターに夕暮れの船が映し出される。その上空20m辺りにメビウス状の環にくるまれた鉄球が浮いている。
「ジェネレーターの稼動、問題なし。再転移まで3.4セコンド」
 左端のオペレーターの報告と同時に鉄球が環の中で微振動し、やがて高速で回転を始める。
「ミハマも転移範囲に居るのか?」
「はい。辛うじて」
 無感情な海蔵の問いかけに、同じくらい無感情な声で返答が返ってくる。
「悪運の強いものだな。あるいは資質か」
 やがて鉄球を中心に空間が歪み、辺りに包む光が一層強くなる。一分ほども輝き続けた光が収束した頃には夕暮れの船、海蔵の艦、絶望号は戦場から姿を消していた。
最終更新:2011年08月18日 01:57