「先輩。せんぱーい?」
しばらく扉を叩き、エルカ・パッドはアルクの部屋が空な事に気付く。
本日は休業なり。
もともと規模の小さいこのサハラ基地。
目的はというと、試作機の実験と敵機が連邦政府の基地への作戦を展開したさいの援軍。
サハラ基地が狙われる、というのは滅多に無い事なのである。
もっとも最近はティターンズ
第10小隊なる特殊兵装部隊がコチラの存在に気付き、重要視している可能性は低くないだろう。
それでも、戦闘中にもかかわらずこういう日ができてしまうのが、サハラ基地だ。
『インターセプトは他基地のジム部隊あたりに任せておきゃぁいい。ウチばかり出張るのは不公平だ!』
ガルシア・マックラーレンの言葉である。
独立部隊としてなりたってしまっているAICだからこそ言えるワガママといえばワガママなのだが。
というわけで、本日は休日なのである。
クセモノ揃いのAICの中、『よくおいてけぼりをくらう』繋がりなアルクとエルカ。
エルカにとっては身近に感じる先輩ではある。
同時に、数少ないお願いができる人間でも、ある。
町につれてってもらおうとアルクを探すエルカだったが、どーもその姿は見えない。
アルクがいつも使っている車(砂漠でも走れるスグレモノ)はまだある。
施設内にはいるはずなのだが・・・
あと探していない所といえば、と思考を回しているうちになにげに修理ドックに立ち寄ってみる。
いた。
・・・
休みじゃ、ないんですか?先輩。
「畜生!何で俺が休日使って肉体労働なんだッ!」
「自分で壊したマシンなんだからそれくらい当然だろうがッ!」
「待て!アルクはともかく何で俺まで手伝いに狩り出されるんだ!」
「ほほぉ・・・アンタ私達に迷惑かけてないってのかい!?
ハーディ・ロックバーン!」
「イ、イエス!マム!」
整備係(同時に修理係でもあるわけだ)に休日は無い。
当然、当事者(ようするに壊したやつ)にも、休日は無い。
肉体労働中のパイロット2人を見て、エルカ・パッドはため息をついた。
「なんかなぁ・・・」
最終更新:2007年10月04日 00:04