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FXXk the Star

hehyc曲者揃いの第10小隊―――。
そう呼ばれる一芸に秀でた個性が各々の得意とするフィールドを分担するする事で
辛うじて機能していた戦術的なチームワークは、
同時に1点が欠けた場合にそれを補う事が出来ないという脆さをも内包していた。

これこそが一年戦争において連邦とジオンの勝敗を分けた差、
局地的に突出した戦果を上げる高性能なジオンのモビルスーツ、モビルアーマーよりも
平均的にあらゆる戦術において運用可能な連邦のジムが最終的には勝る。


「おい、僕を援護しろよっ!勝手ばかりしてっ、なんなんだお前等っ!!」
MS無断使用の罰で懲罰房行きになったエイヴァールに代わり
今回作戦に加わっているミッシェル・G・メリオンは確かに優秀なパイロットだった、
だがその平均的な才能はこの第10小隊の戦術に悲しいまでに合わなかった。

「くそっ、援軍は来ないのか。」
「多勢無勢。」
「こ、このままじゃ・・・。」
第10小隊の面々の顔にありありと焦りの色が浮かぶ、
味方であるはずのブラッディホースは後方に下がったまま何一つ援護を寄越そうとはしない。
全滅、そんな最悪の結果が頭をよぎり完全に冷静さを欠いてしまっている。
「若さが出たか。これはこれで貴重なデータには違いないな。」
隊長であるグレンは客観的にその事実を受け止めた、まるで他人事であるかのように。

「・・・ホクト、作戦コード『ロロ・トマシ』!」
最悪の状況を打開する為、アロイスがホクトへ通信を飛ばす。
「・・・!・・・承知。」
その返事を聞くや否や敵のエースに接近戦を強いられていたアロイスのハンブラビがMA形態へ可変し逃げるように飛び上がる。
常識で考えるならば致命的なミス、加速する前のMAなどMSにとって絶好の的に他ならない。

案の定敵機はその隙を逃すまいとサーベルを振り上げブースターを吹かし、3号機を追いかける。
が、浮かび上がるその一瞬をホクトの照準は正確に捉えていた。
長大な狙撃用ビームライフルの銃口から放たれる閃光。

だが逆転を賭けたその閃光は敵機をわずかに逸れ、
あろう事か自らの母艦ブラッディーホースの左舷に被弾する最悪の結果に終わった。
「不覚。」
「し、失敗したっ!?」
悲痛な声を上げるアロイスの機体の翼をサーベルが切り裂き、バランスを失い地面に叩きつけられる。
「そんな、ホクトさんが外すなんて・・・。」
慣れないファンネルの操作に追われながら奮闘していたカルサの口からも絶望の色を帯びた声が漏れる。


「被害状況を報告、消化活動急げよ」
上空から下界を見下ろすが如く戦況を観察していたブラッディホース艦長ダーツ・エンゲルマンは
この段階においても淡々と冷静な指揮を執り続けていた。
彼の目的もまたカルサとその機体のデータのみ、他には微塵の期待もしていない。
「・・・所詮は実験部隊か。」
その観点に立てば実験の途中でモルモットが何匹倒れようとさしたる問題では無かった。
静寂のブリッジに響く嘲笑を遮るようにクルーからの通信が届く。
『艦長っ、こちら第二格納庫っ!応答願いますっ!!』
「何の騒ぎだ?」
『4号機ですっ、エイヴァール中尉が4号機を勝手に・・・うわぁぁっ!?』
「なん・・・だと?」
予想外の事態にさしもの老将も表情にも変化が訪れた。
途端、正面スクリーンに大写しになる中指を突きたてた赤毛の男。
『おい、クソ艦長。このまま艦ごと落とされたくなけりゃハッチを開けさせろ、俺様が出撃してやる。』
『貴様っ、どうやって懲罰房を抜け出した!?』
『さっき被弾した時に偶ぅ~~然にも懲罰房に大穴が開いたみたいなんでな。そっから』

その返答に思い至ったダーツがモニターごしに交戦中のアロイスとホクトの二名を睨みつけるが、
二人はもはや笑いを堪えるのに必死といった様子で目を合わそうともしない。
『偶然。』
『そうそう、偶然ですよ。偶然っ!っと、うわ危ね!』

『ロロ・トマシ』
それは連邦仕官学校で同期だった三人が使っていた合言葉、
意味は・・・「寮を抜け出して遊び行くぞ」

『さっさとしろクソジジィ、パーティーが終わっちまう。』
「ふ、ふざけるな若造どもがっ!!」
『あっそ』
エイヴァールとの通信が途切れると同時に爆発音が響きブラッディホースを再び振動が襲う。
「第2格納庫ハッチ大破っ!」
「えぇい、グレン大尉っ!君の部隊では部下にどういう教育をしているのかねっ!?これは明確な―」

『あ~あ~、ミノフスキー濃度が濃くて良く聞き取れません。どうぞ』
『こ・・・の・・・っ!!』

無残にも爆破されたハッチから立ち昇る黒煙に包まれ浮かび上がる猛禽類を思わせるシルエットの機体
『第10小隊4号機、エイヴァール・オラクス――――出撃るぞっ!』
その目は正に獲物を前にした肉食動物そのものだった。

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最終更新:2008年09月30日 02:09
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