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Ring of fate

故郷というものは自分で選ぶことができない。
草原、町。天窓の奥に光る星々と、巨大な反射鏡が3つ。
宇宙で人が生活するために作られた筒の中。
このサイド6第7番地コロニー『イェルグ』は、自分にとって胸をはれる場所なのだろうか。
色々な事を思い出す。

思い出してしまう。

辛い日々の思い出と。

彼と居た頃の、思い出を。

次々と。

希望に満ちた思い出があればあるほど・・・それを失ってしまった悲しさは大きく深く、胸に響く。
それが故郷。
既に朽ち果てた自分の家を見ながら。そんな事を考えていた。

「カルサ、大丈夫か」

戦艦ブラッディホースの仲間、エース、縛られぬ男、孤高なる男、そして、好意を寄せてくれる、男。
その男、エイヴァール・オラクスに呼ばれて我に返る。
彼の顔にいつもの軽い笑いは無く、なにかしら自分に気を使っているように見える。
知っているのだ。
ココから私が、父親と共に逃亡したのを。
この10小隊に引き取られたとはいえ、辛い日々を送っていた事には代わりが無い。
傷口をまた蒸し返すような思いをさせる事に対しての気遣いだろう。
「いえ、すいません・・・」
いつもの台詞を吐き、エイヴァールの元へ小走りに駆けていく。
父親の調べていた「箱」というものは何だったのか。
きっと家に行ったところで全て調べあげられているに違いない。
それでも何も動かないよりはマシだと、艦長は言った。
『仲間のために』と。
傷口を蒸し返されるのは、辛いけど。
私は皆と一緒にいるしかないのだから。
それに、もしかしたら彼に会えるかもしれない。

「!」

何を期待しているの?
会えたとしてどうするの?
この血にぬれた身体で。彼の前に立つの?
己が生き残るために、何人の兵士を撃ってきたの?

ぞくりとした。
もう一人の自分は、真っ向からその気持ちを否定してきた。
そして・・・その意見は間違っていない。
カルサにはそう思えた。

出会ってはいけない。私は・・・



だが。



「カル・・・か?」



声を聞いてしまった。

涙が、出てきた。

その、声をかけた相手も。呆然とした表情だった。

「知り合いか?」
エイヴァールが聞いてきた。不機嫌そうな声で。
声が出ず、涙を隠したままうなづくだけだった。
「昔の男か?」
エイヴァールの次の言葉には首を振った。彼に向かって、ニコリと笑って。
さようなら、アルク。
彼の横を通り抜け、ドックへの道を歩き出す。
きっと家には何も無い。だから何もありませんでしたと言って帰ればいい。
「久しぶりに家を見たけど何も無いわね。帰りましょう?エイヴァール」
思いっきり、にこやかな顔で。
今まで言ったことも無いような口調でエイヴァールに語りかける。
もう、ここには居たくない。

戦いの中でしか私は生きられないのだから。

ここには居られない。





通り過ぎてゆく二人。
アルクもまた、言葉無くその場に立ち尽くしていた。

「カルサ。なぜだ」

頭の中にあの時の感覚が思い浮かぶ。
確信した。
間違いないのだ。彼女に。



「なぜ、お前が黒のMk‐Ⅱに乗っている」

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最終更新:2009年03月10日 02:20
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