竜鎧の勇者


二つ名:竜鎧の勇者


名前:アドル


詳細:

先祖に邪悪な黒竜を屠った男がおり、その竜の素材を使用して作った鎧を受け継いだ。その鎧は竜の一撃すら防ぐという。問題は着る本人が剣を握ることすら初めてだということだった


基本情報

性別:男
真名:アドル
年齢:19歳
身長:208cm(鎧込)
神託を受け、人々の期待に応えるべく先祖代々の鎧を身に纏い日々修行している。

成人前に“勇者”に選ばれた男性?である。
身長は国内で見る他の人間族よりかなり高く、190cmを越えている。
愚の魔王の亡骸で造られた赤黒い鎧を身に纏う屈強な戦士の様な外見をしている。
が、どちらかというと中〜短距離の見習いの魔剣士であり剣撃のみだと新兵レベルである。
勇者に選ばれる以前は魔法専門の学生で、座学の成績は底辺であったが実習においては上位という学力がアンバランスな生徒であった。
記憶力に乏しい為、学生時代の事は体で憶えているレベルである。
この勇者の特徴は三つある。
一つは“剛力”である。
前述した通り、魔法専門の学生の身であった。
その傍ら、突飛した腕力を使い学費を稼いでいたらしい。本人の記憶には無いので彼の腕に聞くしかない。
腕力だけで言えば鉄塊の様な物騒な両手で扱う物が適切であるが、敵味方関係無くなぎ倒すという酷い状態であった為、現在では片手で扱える一振りの剣を使用している。通称大迷惑切りと呼ばれていた。
二つめは魔力による“意識干渉”。
魔王の亡骸で鎧を造った…までは良いものの、身体の破片をバラバラではあるが繋ぎ合わされた魔王は魔力の巡りを再生してしまい、意識を持つようになってしまった。
着用者である竜鎧の勇者やその周囲の人間にはこの魔王の魔力干渉を受け、魔王の声を感じることができる。
竜鎧の勇者自身は非常に無口なので、一般に勇者の声と捉えられているのは魔王の声である。
“愚の魔王”と呼ばれる名前に油断をする者は彼の持つ知恵と機転に滅ぼされる事になる。
が、着用者の竜鎧の勇者は図体だけと言われる程腰が低い上大変鈍いので十分な結果を得られる事は少ない。
三つめは自身らに宿る魔力を利用した“再生能力”だ。
魔王の亡骸から造られた強固な鎧は、大男が鉄槌で思い切り殴っても小さな傷が少し入る程度で、最も大きな衝撃で鎧に僅かな穴を空けられたとしても、強大な魔力で瞬く間に再生してしまう。
が、この僅かな穴に大量の水分等が入り込むと魔力や再生能力が鈍化する。
その為、国内及び湿気のある場所へは常に外套を纏って外出する。
この魔力により、燃え盛る炎の中を何十時間でも生存する事や溶岩を物ともせず突き進む事ができる。
酸素の多い場所だと、魔力を最大限に発揮させ背部の萎縮した翼(?)を燃え広がらせ飛行する事が出来る。
が、あまり高く飛ぶと勇者が怖がり魔力が乱れるので段々高度が落ち、最終的には墜落する。
鎧の力で無傷ではあるのだが、落下の恐怖が高い場所への恐怖を増幅させているのであるが…。
水分の多い国内よりも、砂漠のような乾燥地帯や火山地帯の方が活動に適している。
扱いが得意な元素は、この地の人間の持つ氷たる「水」、魔王のもつ「炎」の二つ。
魔力を発現させると蝶のような形になるのが特徴。
利便性が高いので主に調理に使ったり子供をあやすのに使われている。何の為の力だと思っているのだろうか。
かつて住んでいた街北区域の家を離れ、西区と南区の境目のボロ家三階に移り住んでいる。
星が好きで、部屋に様々な星を模した品を置いている。
街郊外にりんご農家の友人がおり、いわゆるB級品を貰う事が多く、かなりの頻度でりんごを齧って(?)いる。
りんご好き(外部観測) な事から、近所の子供達からは「りんごのおいちゃん」と呼ばれている。
ちなみに鎧は(当たり前だが)着脱可能である。
鎧を外した竜鎧の勇者の姿はあまりにも影が薄く、一般人、もしくは存在しないに近くなる程認識が危うくなる。勇者としての存在感は鎧だけだったという事を察しざるを得ない。
竜鎧の勇者は鎧込みで「勇者」であるが為に、鎧を脱ぐと勇者としての存在が揺らいでしまい、存在はするがそれは「勇者」ではない「何らかの方法で女神の加護を得ている人間」レベルになる。
肉体や精神、魂は確かに存在するのだが、肉眼で捉えようとしても周りの有象無象に溶け込んでしまう為、再び鎧を着て「勇者」に戻らないと認識出来るのは“そこに存在する者の本質を見抜ける者”だけになる。

鎧本人(?)が気に入れば誰でも着れる代物であるが、竜鎧の勇者一人分程の重量があるのでこの勇者以外は難しいのではないだろうか。着用者を気に入らなかった場合一部分でも着用すると全身に火が回り一瞬で体が焼失する。
その重さ故、水場での歩行や戦闘は大変不利で、水中に落とされると瞬きする間もなく沈んでいく。
鎧に損傷がなくとも、鎧の大部分を水分で覆われてしまうと魔王の魔力が衰退するので普通に水死する。
それが原因か、水音を聞き分ける事に関しては人一倍鋭い。
が、それとは別に水場は好きなようで浅い川辺や湖の側では時折姿を見せる事がある。
水中に引き込もうとすると、全力で抵抗するので放って置いてあげたほうが身のためである。


性格

一人称:僕
終始無口で喋る事はごく稀。
勉強もあまりできる方ではないが、勇者として神託を受けた上では引く事ができず一からやり直しをしている。
人を喜ばせる事が好きで、剣技の修行をしつつ綺麗な魔法の習得に力を入れていたりする。
何かと邪竜にからかわれたりしている。
甘いもの、主に果物が好き。

 

能力

鎧に邪竜の意識が残っており、戦う時や日常生活においても邪竜の声を聞き、その力を引き出すことが出来る。
邪竜の魔力を引き出し、それを利用し戦う事ができる。
竜語を解し、話すことができる。
鎧に触れると、邪竜の声を誰でも実際に聞くことができる。
魔法の蝶々を出すことにより、魔力を集中させ集まれば集まるほど爆発的な破壊力を持つ魔法を使えるようになる。

 


戦闘

下手くそな剣技を魔法でカバーしながら戦うスタイルを取る。
魔法を使うと真白の蝶々が舞う。 蝶々に魔力が溜まると属性により色が変わる(炎=赤/氷=青)。
赤の蝶々はマッチ程度、最大1匹で10mほどの火柱が上がり、魔力を集中させる事により大きな火力となる。
青の蝶々は地面が凍りついた場所から30センチ程の氷柱を出現させ両脚を凍らせたりできる。
邪竜の力(魔力)を使って戦っているため、炎系の攻撃がメインとなる。
大技として邪竜の影を召喚し、戦うということもできる。
自身の魔力が無くなってくると尻尾が垂れる。

 

邪竜について

愚の魔王。鳶色と黒の鱗に両に生やした角が特徴。
ある日、竜鎧さんの先祖に清々たる戦いで敗れ、鍛冶屋と三人の魔術師の手により鎧に封印されてしまった。
現在は頼りない竜鎧の勇者に茶々を入れたり助言をしたりとサポーターのようになっているが、復活の機会を伺っている。

静かで荘厳な雰囲気を持った炎を秘めた魔王…らしい。
と言うのも、自身を陽炎のように歪ませることが出来たからである。
竜の姿だったという話が伝わっている限りで、現在は鎧である上真意を探るのも弄ばれるだけなので本当の姿は分からない。
非常に砕けた物言いで白痴のように振る舞ったり、全てを見透かすような厳しい物言いであったりする。

-自我が芽生えた頃はただ魔王たる力を発散するだけの破壊を行なっていたが、いつの日か知識の収集に重点を置くようになる。
その知識欲は学問や文学に止まらず、生命や己の起源、神や一個体の人間の日誌にさえ及んだ。
知れば知る程、不透明な部分が存在する事が許せない魔王は永遠という時間を全て投じた。
だが、何百、何億年という時を経ても力及ばないむず痒さを己れに向け、自らの愚かさに殺意さえ覚える日々の末、気が狂ってしまいそうになった。
自問自答を繰り返す無限に続く時間の中で、ある日“何か”に辿り着いた。
自らの眷族、眼下に広がる大地、そして己れさえも溶かしてしまうような“怒り”が浮遊する大地全てを炎の爆発で焼きながらその中心で叫んだ。
-「自らに潜む“愚”を恐れよ!儂こそ己が“愚”に焼かれ“魔”に堕ちた迂愚の“王”である!」-

 

覚醒

鎧となった邪竜の力を復活させ、姿を竜と変え、邪竜の最期のように死ぬまで敵と戦う。

 


竜鎧の国

農業と魔法が発達し、高い山々に囲まれた国。
魔族の侵食も昔と比べ少なくなり、危ない地域に行かない限り安全に過ごすことが出来る。
魔法の街灯が並ぶ街並みは、夜は明るく、昼は安全に楽しむことができる。
レンガ作りの家々と、石作りの塔が建ち並ぶ一角一角に街路樹が並ぶ。
多種多様な人間が集まって、近年は盗賊被害が深刻となっている。
竜鎧さんの先祖は詩となり、現在でも酒場で吟遊詩人により語り継がれている。
一度国を破滅寸前まで追い込まれた竜、それに追随して蝙蝠、トカゲなどを悪とし嫌う傾向がある。

 

浮遊大陸のような見た目をしている。
大陸部の五分の三程が山岳、残りは盆地に近い地形で成り立っている。
盆地をぐるりと囲む山々は壁の様に連なっており、外側へ行くほど標高が高くなっている。
外周部の最高標高は3000m程であるが、南南西に一つ飛び抜けて見える“王の頂”と呼ばれる柱の様な高地がある。
周囲は断崖絶壁でとても登れる様な場所ではないが、上空から観測すると岩場に隠れて建築物が見える。
この地の四季はあまりはっきりとしておらず、山岳は吹雪などの厳しい冬が主で、雪解けし始めた春らしき気候になったかと思えば再び冬が訪れる厳しい地域である。
人の住む盆地は冬季は14cm程の積雪で済んでいるものの毎日気温はマイナスを下回る寒さである。
山岳と比べて雪解けは早いので作物を育てることができ、夏らしきものは存在しないものの比較的暖かい時期がある。
空には赤紫と青紫の二つの月が浮かんでいる。

 

この土地は地下へ行けば行く程に魔力が強くなっている。
地表では比較的新しい岩石が目立つが、その下ではかつての魔王の眷属の亡骸が天敵である地表の「水」から逃れようと土に還った今でも仲間を掻き分けて下へ、下へと移動している。
試しに地表と地下洞窟深くの土をよく混ぜて瓶に詰めておくと、一週間ほどで地表と地下の土が分離したかのようになっている。
現時点で一番水分に遠い竜鎧の国の裏側では、力の強かった眷属や鎧に利用できなかった愚の魔王の一部が世界に対する、もしくは自分への怒りで赤黒く、鈍く明滅している。

 

-地底

愚の魔王が最期の居処とした要塞。
死して尚も残る結界で守られている為、意図して入り込む者以外は辿り着けない。
内部は自我を持たない魔王の眷属が今も巡回警備しており、侵入者の亡骸が転がっている。
自らの求める知識を全て収容する目的で作り出した為、複雑な構造と言うよりは収容量重視に近い構造になっている。
魔王自身が荒らした、もしくは戦闘時に荒れたであろう痕跡が残っている。
王の頂に天文台のような施設が地底より続いており、二つの月と星々を観測できるようになっている。

大陸の浮かぶ遥か下に『基点』と呼ばれる水面が存在する。
水面と言えど数センチ程しかなく、それ以降は“国”の境界線となっており途切れている。

遠い昔、『基点』と呼ばれる海水に近い地に大陸は存在した。
かつての『基点』は海のように何処までも深く広がる水があった。
二つの月を持つこの世界では非常に複雑な満ち引きで、一年に数回の“満潮“になると地の半分が沈んでしまう。
水が弱点であった魔王は、土や石に含まれる魔力を増幅させ、弱点である『基点』から離れた地を作った。
空に浮かび上がった大陸で魔王は眷属を生み出し、自らの国とした。
現在“王の頂”と呼ばれる地を王座とし、全てを治めていたという。
魔王が滅ぼされ、支配から解放されて以降も大陸は『基点』に落ちることはなく、押さえ付けられていた地下水などが地表に湧き上がり、骨や排泄物等で肥土になっていた地に多くの生態系が築かれた非常に豊かな地となっている。

 

 

人種

  • 人間族

家族思い/明るい/封鎖的
国で見られる殆どが人間族である。
この国における原種の特徴として白い肌、濃い紫の目、暗い金髪、微量な魔力の保有。
酪農や農耕、それを加工する商人や接客等、比較的常識的な生き方をしている者が大半である。
多くは街や街周辺で生活を送るが、稀に山岳地等で竜族、翼族に技術を教わり文化的刺激をもたらす者も時折見られる。
彼らは“異邦人”と呼ぶ者達は浮島の上ほぼ異界に近い領域に侵入できる強さ、魔力、財力を持つ者達である。
街外部からの訪問者の大半は“異邦人”であるが故、見知らぬ顔を警戒する者が多い。
-信仰
主に自然信仰と魂信仰、女神信仰である。
魂信仰はほぼ女神信仰と似ており、勇者の蘇る身体の様に魂は滅びないという信仰である。

 

  • 竜族

物静か/博識/閉鎖的
赤い目と個体によって様々な色の鱗を持っている種族。
愚の魔王の眷族の子孫ではないかと言う説がある。
特に多く見られる鱗は薄い青〜濃い青紫であるが、赤系、特に黒に近い鱗を持つ者は非常に強い魔力を保有・操ることができるようだ。
街に現れる殆どの者は人型で身長は平均2.5m程。
非常に少食で、一週間程度なら飲まず食わずでも問題ない。
霞を食べて生きている者がいると言う噂もあながち間違いではないかも知れない。
本来とてつもなく長い時を生きる事が出来る身体をしているが、聡明さ故に子を成さなかったりそもそも繁殖の難しさ故か、減少傾向にある。
あまり社交的ではない種族だが、翼族の民芸である鉱石の装飾を好む…らしい。

 

  • 翼族

感情薄/器用/抜けてる
青い目としなやかな翼を持った鳥人の姿をしているが、一口に翼族と言えど様々な姿をしている。
部落内、同一家系内でも人間族に近い見た目の者と巨大な鳥の様な姿をしている者と産まれる姿にばらつきがある。
稀に銀や金等美しい色合いの羽根を持つ個体が生まれることがあり、その羽根は竜族に高い人気がある。
大抵は森に囲まれた岩場を四〜八人程の部落で生活をしている。
自然物加工、特に鉱石類の加工を得意としている。

 

-信仰

精霊や自然信仰を部落毎に原則言葉で伝えられてきている。
が、発してはいけない言葉や沈黙を守る日では独自表記や簡易図解を共有する事もある。
最期を迎えた亡骸を月が昇る夜に部落ごとに決められた祭事用地底湖で水葬が行われる事が挙げられる。

 

この国の生物の殆どが(生前の)愚の魔王の影響を受けている。竜族は勿論の事、翼族、遠く遡れば人間族もそうだ。彼ら/彼女らは外界への興味が乏しい。この狭い国の中で生きる為に手一杯になってしまっている。この地から生み出される魔力が原因という者もいるが、遺伝子に組み込まれた無知であり続ける、詰まる所“愚”であり続ける事が体に刻み込まれている。だが、魔物としての血を完全に引いている訳ではなく相当薄まっている為、本当の魔物からは魔力な豊富な獲物という認識が為されている。

 

 

五角形で形作られる独特な魔力の石壁に囲まれている
東と西に石門があり、常に開けられている。
王宮を中心として北区域を頭、南区域を尾と呼ぶ。
近代発展途上のような街並みをしており、青銅色のガス燈が立ち並んでいるが、ガスと言うより魔力を取り込んでいる為光っているので正確にはガス燈「のような物」だ。
区画の境目は建物が密集している上に狭い間隔で立ち並んでおり比較的広い道でも昼以外は影が落ち、ガス燈が常についている状態である為、スリなどが横行している場所であるので立ち入る際は注意されたし。
外壁は縦2m30cm・横4mの魔力を含む白い長方形の石材に、増幅効果のある魔法陣を下部に彫られた物を積み重ねて築かれている。
街全域に障壁があり、街外部で山が噴火しようが地震が起ころうが氷河期が来ようが甚大な被害は出ない構造となっている。
その為外部の内部で魔力の差があるので出入りする際に違和感を感じられるかも知れない。

 

-街郊外

主に農耕や酪農用に土地開発されている。
街の出来る以前から肥沃な土壌を生かし様々な植物を育てている。
麦類・野菜類を主としつつ、固有種の魔力の多いぶどうやりんご等の栽培も行なっている。
酪農も盛んで、牛や鶏を飼育している光景も見受けられる。
豚に相当する生物は国内では存在せず、外部生物は気候上難しいとされ非常に高価である。
北東に位置する山の山頂部分を切り開き、魔力の門を使う者以外の外部からの訪問者の受け入れをする場所がある。
最近ではこの国の出身でない者が輸入物品店が経営する小売店が建てられ、珍しさに釣られてか足繁く通う物好きもいる。
飛行物が着陸すると僅かだが目視できる。

 

-王宮

外壁と同じ石材で築かれており、北と南に出入り口を構え、季節毎の植物が植えられている。
一階は東にアナグマ隊の司令部、西に隊舎があり、隊舎を抜けると屋外小規模訓練所となっている。
二階にはホール、謁見室と広いスペースを要する部屋がある。
王族居住区域は三階、四階となっており、この階に続く階段は大変厳しく警備されている。
何処かに地下に続く道があり、有事の時にはそこから化物が出てくる…と言う噂であるが、長らく警備にあたる兵さえも「知らない」そうだ。

-現在の王は非常に寡黙で、執政や軍司令官、側近以外は声も聞いたことがない者も多い。
執政は竜族、側近三人の内一人は翼族である。
王は人間の身であるが、何百年の間世代交代をしていない。
“民の為の僅かな犠牲”として竜族の血を体に打っている。
竜族の血を打たれる度に急激な若返りをしている為、良く似た御子息が王位を継いでいると思われている。
竜族の血が濃くなる度に心を透かすことができる、筋力増加等の作用を受けている反面、感情の低下、声枯れ、鱗の発生の副作用で苦しんでいる。

 

-文化

竜鎧の国は二季しかない為、暖かい季は「王の季」、寒い季は「神の季」と区切られている。
これらの呼び名は二つの月とこの地の魔王、そして信仰により名付けられている。
王の季は雪が無くなり日が強く照り、夜には赤紫色の月が大きく見える事からそう呼ばれている。
-この季の間は魔力が大変満ちやすくなる。
時折降る雨はこの魔力を鎮め、作物を育てる為、まさしく「恵みの雨」である。
神の季と比べて短い事もあり、皮肉を込めてか“魔王の季”と呼ばれる事もある。
神の季は窓に霜がつくほど気温が低く、夜には青紫色の月が大きく見える事からそう呼ばれている。
-基本的に水分が多い時期である為、国全体の土地の魔力が抑えられていく大切な時期である。
この季が短くなってしまうと生物が水分を摂っても土地の魔力で抜けた魔力を再吸収してしまい頭痛や吐き気で苦しむことになる。

 

 

城下四区

-北区 / 通称“頭”

街内部で唯一教会が建てられている。
比較的新築の家が並んでいるので、観光に行くのであればこの街並みから王宮を眺めると良いかも知れない。

 

-西区

一見荒れているように見える区域。
門から入って右手にアナグマ隊の配備所がある。
竜鎧の勇者の出没地点でもある為、客寄せパンダとなって近年人が増えている。

 

-東区

門から入って左手にアナグマ隊の配備所がある。
この区域の王宮付近にクズリ分隊の中央連絡所がある。

 

-南区 / 通称“尾”

各区に個人商店は存在するものの、一番の賑わいを持つ商店街がある区といえばここだろう。
古い家屋が目立つものの、暖かく陽気な雰囲気である為、夜になると葡萄酒を求める人々が集まる。

 

 

アナグマ隊

各隊に適性のある者はどの種族でも所属可能である。
…と言うよりも基本的な剣の扱いが出来れば誰でも本隊の入隊が可能。

 

-主力・アナグマ本隊

兵装:剣/槍/盾・軽装/重装
軍司令部より命令が下されると一番最初に動く歩兵/警備隊。
主に剣術や拳術を使用した戦法をとるが、簡単な魔法や薬学等を扱える者もいる。
最も多様性が見受けられる、国の“我々は受け容れる”を体現した…という事になっている。
陽動作戦ではこの隊から中間兵が選ばれたりする。
王宮の御膝下・東門/西門と北東山岳部に配備所が建てられている。
量産を重視した鎧の性質上、寒冷期は暖かい布地を仕込まないと大変冷えるという弱点がある。
定期的に公開演習と同時に新兵募集が行われている。

 

-奇襲/索敵・クズリ分隊

兵装:槍/弓/魔道具・軽装/山岳雪原迷彩装備
街を囲む東西南北の山岳地帯を駐屯地とする部隊。
竜族と翼族の割合が多い。
郊外の警備や外部の観測を行なっているが、機動力の高さから王宮/別の駐屯地への伝達兵としても使われている。
作戦行動中の山間部に自生する植物から薬などを調合や盲点を突く奇襲地点を取る等柔軟性に優れている。
巨大な危険生物相手でも真正面からで無ければ充分に勝てる程ラーテル分隊並に獰猛な兵が多い。
兵装に関しては個々によってしっかり着込む者、崩す者と様々ではあるが優れた技術を持っているのは確かである。

 

-特攻/強襲・ラーテル分隊

兵装:大剣/双剣・重装/魔力極強化装備
四名しか配属されていないが、その特殊な出立を見ればそれとわかる。
訓練等では分隊内で行うが、作戦行動となると各陣営最前列に配備さる最大戦力の精鋭である。
四名のうち、三名は翼族の“蜜”という人間における身体強化剤の役割を持つ液体を打っており、気性が荒くなってしまっている為、王宮内部に在籍しているものの監視がついている状態である。
残る一名は非常に明るい赤の鱗を持つ竜族である。
“蜜”を打った人間より非常に大人しいが、より残忍で強力な腕力と翼を持っている為、アナグマ隊内部で“魔王”と言えば彼の事を指す。

 


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最終更新:2024年01月04日 22:22