術の魔王


二つ名:の魔王


名前:ベイルーチェ・ヴァン・ルニアモルガン=ハーゲンディーツ


詳細:

国魔導の研究をしている魔王。竜の角は魔道具に最適であることの証明のため自分の角を切り落としている。最近は人間の作る科学がすごいことを知り、魔導の発展ため科学の研究も始めた


【性質】

知的好奇心旺盛。なんでも知ろうとする。
戦いは好まないがプライドは高く、また知的好奇心を満たすためならどんな手段でも使う
危うい性質が無いこともない。
記憶力がアホほどある。知能もスーパーやばい。

 


【経歴】

かつて術世界における魔王というものは禁忌であった。
遥か昔において、いつしか術世界では知性と品性こそが優等なものであるという風潮が生まれ、それらが欠けているものは等しく下等と見なされることとなる。
そんな世界で、世界の主たる魔王はかつては黒き竜の姿をした魔族であった。しかし、竜は文化を、言語を何一つ知らなかった。
民の目は厳しく、やはりと言うべきか言葉を知り、文明を築いた魔族たちはその魔王を劣等種であると口を揃えて罵ったのである。

さて淘汰されたこの世界の魔王がその力を民衆に示し、正式に玉座に就くに至った経緯を説明しよう。
その時は火を噴き、爪を振るうことしか能のなかった術の魔王はその当時の権力者達の渾身の術によって何もない最果ての牢獄に封じられる事となる。
陽の光もほとんど届かぬ暗い世界に一匹。埃の一つさえ落ちてこない谷底の中では、暇をつぶすことも満足にできるはずが無かった。
そんなある時の話だ。見張りに来たらしい、人間で言うところの学者のような格好をした魔族が黒き竜の目の前に、見せつけるように書物をドサドサと落としていった。
退屈だろう、という面目で置いていったらしい。だが高等だったらしいその魔族が劣等にそんな情けをかけるわけもなく、その実、どうせ読めないだろうがなという皮肉のこもった単なる冷やかしである。
竜はそうやって放り投げられた山のような書物を、爪を使って一つ一つ器用に読み始めた。
見張りの魔族はその光景を見て、堪えきれなくなり腹を抱えて笑い始める。文字も分からぬようなやつが本を読む。ああ、これほどおかしい光景が他にあるだろうか。

そうして夜が更ける。
笑い疲れて眠ってしまったよ、といった様子で身体を起こした見張りは、直後背筋が凍った。
このあたりの闇を全て喰らったかのような深い声。

――目を覚ましたか。

何だ、今のは。声の主は?
交代の見張りの呼びかけだろうか。だが余りにも次の見張りの声とはかけ離れている。
まさか、と魔族は振り向いた。こちらを鋭く見据える、巨大な竜の首があった。
そんな馬鹿なことが、と魔族は自らを嘲った。だが期待に反し、暗闇に再び深い声が響く。
――そんな馬鹿な事も、案外馬鹿には出来ないぞ。
間違いなく声の主は、言葉を知らないはずの劣等種、術の魔王であった。
驚くべきなのは、与えられた多くの本で――されど言葉を習うには余りにも不足がある量の本のみを手がかりに、言葉を発し会話をするに至った術の魔王の驚異的な吸収力、推理力、集中力である。
見張りの魔族は震え上がった。無理もない、今まで自分達より遥かに劣っていると思っていた生物が、たった一夜にして自分達と同程度の知性を備えてしまったのだから。
――さあ、次の本を持って来い。持ってこないのならば、この本で知った魔法でお前を殺すぞ。
そう発された竜の言葉には信じられないほどの異様な説得力があった。恐怖に支配され、言われるがままに見張りは交代の度に本を持ち出し黒い竜に明け渡した。
これほど永き間、刺激もなく、生きてる心地もしなかった竜のもとに現れたこの知識の塊は、竜にとっては非常に新鮮で、たまらなく愉快で刺激的なものだったのだ。
それは術の魔王の秘めたる恐ろしさの開眼であり、想像だにしなかった新世界の開花であった。

やがて術の魔王は、牢の術式を蓄えた知によって消し去った後に世界の中心へと君臨し、自らの角を折って力を失った。そして力を代償に世界の民すべてにその知性と品性を示したのである。
術の魔王は、術の世界における統治者となった。

 


【人物】

綺麗好き。礼節正しく、他者をいたわる人格者。
かつて殺した命のために墓を作り、手入れを欠かさない。

だがそれは外面のみに限った話である。

その知識欲は異常なまでに旺盛。基本的に、あらゆるものを知的物質としか見ていない。
知識と実践することばかりに傾倒し、それ以外のことは全て二の次である。
他者の命も自分の命も、新たな発見のためには必要な犠牲であると考えている。
墓を作ったのも、聖界で得た知識を試そうと機械的にやっている行動にすぎない。

自らの角で作った魔道具のペンを愛用している

 

【身体的特徴・人の姿】

白目の部分が黒い
彼自身が使う魔法の力は弱まっており、角と尾は基本的に見えているまま。
角はおられている。片方は王の証として使い、もう片方は私物のペンにしている。

 


【技】

  • 術式

罠をはる。とにかくいろいろな種類があり、小規模なことなら大体なんでも仕掛けられる。
ペンを使って先に呪言を刻んでおく必要があり、近接戦闘には向かない。

 

  • 変形

一部の姿を竜のそれに変える。大きな爪と牙で近接戦闘に対応するが、昔より力は弱まっており戦闘力は高水準とは言えない。

 


【世界観】

術の世界は四つの国に分かれている。
それぞれに住民の傾向はあれど、この世界の住民における共通項として、聖界や他の魔界に攻めようとするものは殆どいない。
術の魔王が設計した環境ジェネレーターは聖界の環境や暦になぞらえており、聖界にいた人間でも違和感なく暮らすことが出来る。

 

「知識の国 ウーヒェン=エゴール」

術の世界の中心とも言える国。あらゆる偉人はここに生まれ、何かを遺し、ここに死んでいく。
四つの国の中では一番歴史が深く、領域が一番大きい。
現在では住民の殆どが中流階級以上であり、権威を得るため、良い学院に子供を通わせ立派な学者にすることこそが慣わしとなっている。
一方で所謂落ちこぼれの子供も少なからずおり、そういった子供の殆どが見捨てられてしまうという問題を抱えている面もある。
そんな国の中でも特に目立つ名所といえば、やはり圧巻の巨大建造物である大図書館だろうか。
術世界で知らない人はいないであろう、魔界でも有数の大規模図書館である。
中にはこのゲームの核心に触れる書物もあるらしいが……。

 

「技術の国 レグドア」

術の世界でこのごろ特に活気あふれる国。魔法が活発なウーヒェン=エゴールと違って技術や科学が盛んである。
術の魔王自身が最近は科学に重きをおいているのもあり、別の国から移住するモンスターも最近は増えてきているようだ。
一方で国政の行き届いてない場所も多く、国境に近い部分の治安は悪い。
蒸気街ゴーグはこの国では有名。「スチームパンク」と呼ばれるこの街独特の蒸気機関の文明が如実に現れている、統一された見事な景観は観光地としても有名である。

 

「魔人の国 プルジオンアーチ」

術の世界では唯一と言ってもいい、知性よりも力の重視される傾向のある国である。
術の魔王が封印され、地上にあらわれるまでの間に一部の魔族が建国し、発展したらしい。
自然の多さはこの世界の中で間違いなく一番だといえるほど豊かである。
他の国のモンスターに比べて獣人、竜人が多い傾向にあり、翼を持った魔族が多いことから高低を活かした住処造りがなされている。
住民同士の喧嘩こそ多いものの、統治が全ての国で最も厳しいものであるため大事には発展しにくい。
この国を取り囲むのはべオニール大森林という地域であり、術の世界で最も危険だといわれる場所である。
プルジオンアーチに入国する際、"災蛇"と呼ばれる危険な魔獣が棲みついているこの森を超えなければならず、限られた正規の手段で入国しないのならば忽ちこの大蛇の毒牙にかかることとなるだろう。

 

「鉱山の国 アルガルト」

国の半分以上が鉱山地帯という、とても資源が豊富な国。
交易ではこの国が覇権を握っており、商業、国交の発展度合いにおいても右に出る国はない。
だが生物が住むにはあまり適さない環境であるためか、治安の悪さも一際である。
炭鉱夫や登山者を襲う山賊も多く、他の国から送られてくる奴隷を見かけるのも珍しくない。
もちろん悪いところばかりではなく、例えばユーフラムス河川地域などでは人口も多く、商業を学ぶならここよりいいところはない。
水源の豊かなこの土地はアルガルトにおいてはまさに生命線であり、商才こそが全てのこの国では一攫千金を夢見た若者も多く、非常に活気のある様子だ。

 


【術の世界の人物】

「術の魔王」

全名を〈ベイルーチェ・ヴァン・ルニアモルガン=ハーゲンディーツ〉。
術の世界を統べる魔王。
中性的な外見をしているが、性格でいうなら聖界基準では男性寄り。
素の魔力があまり強くなく、普段の変身では角、尾、所々の鱗、そして竜の眼はそのままになっている。
その角は双方とも既に折られた状態である。一方は魔王の象徴として、もう一方は加工され、愛用している魔道具のペンとして使われている。

恐ろしく膨大な知識と天才的な発想力を持ち合わせており、尚且つ非常に勤勉であり努力家。
それでいて綺麗好きであり礼節正しく、他者をいたわる人格者。
かつて殺した命のために墓を作り、手入れを欠かさない。
だがそれは外面のみに限った話である。
その知識欲の旺盛さは度を越している。基本的に、あらゆるものを知的物質としか見ていない。
知識と実践することばかりに傾倒し、それ以外のことは全て二の次である。
他者の命も自分の命も、新たな発見のためには必要な犠牲であると考えている。
墓を作ったのも、聖界で得た知識を試そうと機械的にやっている行動にすぎない。

普段は専ら研究に打ち込んでいる。
最近では聖界から持ち出した科学技術が用いられているに着目し、今は特に科学分野の探求を深めている。
料理をしてみたり、花に水をあげてみたりと聖界の風習に酷似した行為をする事がある。
調査のため、聖界を散策する時には姿を認識させない特殊な術式を組み込んだコートを着て行く。
見抜く力を持った人間に見つかることもあるが、その場合は話術を発揮して連れて帰ったりする。
その人間がどうなったかは彼以外誰も知らない。
セレモニーが好きなようで、学会を定期的に開いたり、新たな発見をした研究者に賞を授与する式典を開催する事がある。
基本的に戦いには興味がなく、ひたすら自国を発展させて行くタイプ。

ちなみに、裏では変態科学者とかいう通称で呼ばれていたりする。
実際、珍しいものを見たときの彼は、側から見るとかなり怪しい。
ついでにいうと、普段からやってる研究は比較的まともなものが多いが、しょっちゅう変わった研究に嵌まり込むことがあり、それもまた変態と呼ばれる一因であるようだ。

 

  • 戦闘方法

自分のペンを使って術式を描く。
近づいた生命体に反応して発動する、小規模タイプの魔法陣による戦闘がほとんどである。
ペンの魔力と彼の知識が組み合わさり、何者にも決して網羅されることはないほどの多彩な戦術を編み出す。
大規模な術式は天候や時空を制御するほどに強力なものまで使用できるが、流石にペンでこれを構成するのは余りに面倒な作業らしく、戦闘にはまず使われない。

その一方で、予め術式を仕掛けていない場所での戦闘は滅法弱い。
服や所持しているメモ帳に仕掛けた術式や、変身の魔法を一部解除し竜の肉体によって攻撃するなどある程度対処することは可能だが、大勢に取り囲まれるようなことでもあれば直ちに殺されてしまう程に弱い。

「他者から経験、記憶、積み重ねてきたものを剥奪し、それらを蓄え他人に分け与える能力」

術の魔王が所有している力
その名の通り、他者の努力やその想いを踏み躙る凶悪な技術である。
特に勇者のような存在に強力な効果を示し、犠牲になっている聖界の国も多く、そういった国は文化が一定のラインで停滞していることが多い。
どうやら発動条件はかなり厳しいものになっているらしく、直接戦闘において積極的に使っていけるような類の能力ではない。

この他にも、後述のべオニールを使役する権利を持ち合わせており、万が一他国に攻め入るようなことがあれば騎乗して戦うこともできる。

 

「魔王直属四国騎士団」

術の魔王が、自ら出向いての戦闘を不得手とするが故に編制された、王に属する騎士軍団。
これらは四つの部隊に分けられ、それぞれが王に代わり、四つの国の統治を担当している。
その兵の多さたるや、総勢およそ80万人もの人数にも及び、その一人ひとりが余す所なく精鋭である、術の世界が誇る大軍隊である。
また隊長に抜擢される魔族は、例外なく実力と知性を存分に兼ね備えた人物であり、国を統治する大臣の役目を同時に任される事となる。

 

  • ウーヒェン=エゴール隊

総勢379,750名。隊長は〈オードリック・アウギヌス・アウヒェルゴ〉。
オードリックは学士騎士であり、賢人十選に名を連ねる常連でありながら隊長も務める。
類まれなる大魔術を扱い、優れた剣術と戦術を巧みに操る様は術の魔王の右腕と言っても差し支えない、誰もが認める人物であろう。
だが彼も、そろそろ戦線離脱を考えなければならない歳。その後継者を争う光景は日常茶飯事であるものの、オードリックの残した数多の功績を前に立候補者達はことごとく膝を屈し、未だに後継者は定まっていない。

 

  • レグドア隊

総勢142,800名。隊長は〈ヴィキト〉。
ゴーグで技術を学び大技師となったヴィキトが隊長を務める。
その有り余るほどの技術力はついに自分の体にまで手を出し、全身に機器や兵器が組み込まれた改造人間となっている。
その戦闘力たるや術の世界でも随一。べオニールを鎮圧した功績を持つ一人である。
容赦こそあるものの慈悲はなく、目的の邪魔になるものには武力を使うことを躊躇わない。
それ故に騎士団の中でも特に恐れられる存在となっているが、彼としてはそれが少し寂しいらしく、裏ではよく他の隊長に相談を持ちかけている。

 

  • プルジオンアーチ隊

総勢208,300名。隊長は〈メオドーア・ヴァンクス〉。
名前に反して雌の性別であり、それを含めても小柄な竜人族のメオドーアはしかし、こと戦闘力においては四国騎士団でトップと言っても過言ではない。
彼女のもつ絶大な火力は、"災蛇"べオニールを制圧する作戦にも大きく貢献した。
身分の割にはかなり子供っぽい性格をしているが頭の回転はかなり早く、オードリックほどでは無いものの、その意外な博識さはオードリックも驚嘆するほど。しかし、日常ではかなりのうっかり屋で普段は失敗することも多い。
身につけている防具は刺々しく、目つきも鋭くし威厳を出そうとしているが、その小柄な体躯と定期的にボロを出す振る舞いから何とも威厳には欠け、周りからは可愛がられる事に引け目を感じている。
ちなみに彼女は一際大きな角を持っており、噂では最近その角を狙う者がいるようだが……。

 

  • アルガルト隊

総勢72,160名。隊長は〈コル・ピネ〉。
元脱走奴隷の身分ゆえ、かつて山賊だったコルピネは術の魔王にその才覚を見定められ、山賊から足を洗い商人として一からやっていくことになる。
彼の勤勉な姿勢と類稀なる商才によって瞬く間に巨万の富を築き上げるに至った彼は、恩師である術の魔王に忠誠を近い、晴れて騎士団の一隊長となった。
商才もさることながら、山賊時代に培ったナイフ捌きと立ち回りは騎士となっても存分に活かされ、真っ先に敵陣に切り込んでは戦況をあっという間に打開する。

 

「"災蛇"べオニール」

全長523mにも及ぶ、術の世界に棲む余りにも巨大な蛇。
凶暴性こそ過剰でないもののその図体がもたらす被害は壊滅的で、術の世界の住民を恐怖に陥れた。
この世のあらゆる物質を凌駕する耐熱性をもった強靭な鱗と、莫大なエネルギーを生み赤熱化する筋肉が特徴的。
鱗は定点的な衝撃に弱く、それを補うために地中深くに潜り、超高温化して全身に純度の高い鉱物をまとう性質を持つ。
この鉱物の外殻はいかなる攻撃をも防ぎ得、砲撃の嵐をも耐えうる強硬性を見せつける。その鎧はただの突進でさえ、ありとあらゆる破壊兵器をもってしても敵わない威力をもたらす。
鉱物が固まる時、刃の連なったような鋭い形状となる場合が多く、これもまた彼の危険性を高める一因である。不用意に近づけば目も当てられない事態になること必至。
一部の外殻を融解させ、飛び散らせる攻撃も危険極まりない。一度浴びれば最後、標的の肉体もたちまちに飛び散った鉱物の一部となるだろう。
なお、移動の際には体を動かすために、身体のところどころを発熱させて外殻を軟化し移動する。ここの継ぎ目と、露出した部分の多い頭の部分こそが彼の弱点である。
また、休眠する際には全身に鉱物をまとった上で、全く継ぎ目のない状態になる。このため、休眠時に奇襲をかけるのも並の力では困難だ。
しかし、真に恐ろしいのはそれだけではない。
彼のその大きく開かれる口から吐き出されるのは強酸性の胃液。これを猛烈な勢いで噴射し、もはや光線のようにさえ見えるそれは地平線の向こうの建造物をも一瞬で破壊する。
この液体の酸性は驚異的で、飛び散った飛沫にさえ触れれば致命的。神経を骨ごと貫通し、地獄のような痛みを味わい普通の生物ならあっという間に絶命する。

この怪物がアルガルトに出現した際、これをメオドーア、ヴィキト、そして術の魔王の三名が無力化にあたった。
休眠時に一斉に襲撃をかけ、プルジオンアーチの巨大な森に誘い込み、術式によってべオニールは完全に鎮圧される。
以降、べオニールは術の魔王に従うようになる。主導権はメオドーアに委ねられることもしばしばあり、プルジオンアーチの出入りにはどちらかの認可が降りる必要がある。

 


【術の魔王の研究レポート】

#1
きろくをつけることにする。
このうででは、こんなにもちいさなかみにもじをかくのはむずかしい。
にんげんのようなすがたであれば、ペンをつかうのもらくになるだろうか。

#8
やはり推測は正しかった。
強い力を持つ魔物の爪や牙、特に角については想像以上に魔力抽出を助け、飛躍的に効率が向上した。
私の角を使い、エーテルインクを濾過し魔力源そのものを不要としたコンパクトな筆記具を作れるかもしれない。

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最終更新:2024年01月04日 19:20