二つ名:封の魔王
名前:アーデルベルト・トゥテラリィ・シュテルンヒェン(聖界などで名乗る時のみ使用)
詳細:
結晶の城に住む魔王。美しいものを愛しており、美しいものを美しいまま取っておくため、結晶に封じ込める。最近のお気に入りは、どんなに傷ついても挑んでくる勇ましい人間。
性別:男性
年齢(見た目):20代ぐらい
一人称:「私」(感情が昂った時は「僕」)
二人称:「君」「貴女」(「お前」「貴様」)
三人称:基本二つ名の方で呼ぶ。「~君」「~嬢」だったりも。
透き通る白銀、毛先に向かって淡いプラチナゴールドのグラデーションが入っている癖のある長髪。結構長くて量もあるのでひとつにまとめているが、後ろ髪はなんだか絵画にありそうな不思議な形をしている。魔王だものそういうのもある。
夕日のように暖かな光を孕んだ橙色の瞳を持ち、睫毛は本当に男性かを疑う程長く綺麗な白銀色をしている。日頃は伏し目がちのためその美しさがより際立つ。つまり顔がいい。顔が、いい。
瞳と同じような橙色のシルク生地のリボンをしており、几帳面な性格が手に取るようにわかるシワひとつないロング丈のジャケットを身にまとっている。ベルトには宝石をあしらった装飾品を付けており、これは日によってデザインが違うものを付けている。偶に、自身の能力で作ったレイピアを差している時もあるが、武器は基本持たない主義。
手は指先に向かって色が落ち、先端は鋭くなっているため聖界に人間として潜り込む時などは手袋をする。
身長は183ぐらい。インドア派のため筋肉はそれほど付いておらず全体的に薄っぺらい。
鬱蒼とした森に囲まれた小さな古城にひっそりと暮らしている魔王。
この世の“美しいもの”を何よりも愛し、それを永遠に自分の手元に置いておきたいという独占欲の塊。普段は大人しいのだが、彼が思う“美しいもの”に出会った時、段々と歯車が狂っていくように恍惚の表情を浮かべ結晶化の能力で閉じ込める。能力については下記参照。
“美しいもの”に対する感情の起伏の激しさはまさに狂気的である。
彼の中の“美しいもの”というのは明確な線引きはなく、「自分が美しいと思ったものが美しい」ものだという。コレクションを見る限り姿が美しいものが多いが例外もある。故に彼のコレクションは数多く、小さな古城では時々保管場所に困ることもある。その時は旅商人に売り飛ばすか、能力で完全に破壊してしまう。1番のお気に入りは、公言している限り昔勇敢に魔王討伐にやってきた名も知らぬ勇者である。
何故こんなにも“美しいもの”に固執しているのか、まだ誰にも話したことは無い。
元々魔力は豊富な方でその気になれば超広範囲まで能力を使うことが出来るが、コレクションの現状維持と人間に近い姿の為、魔力が大半落ちている状態である。その為自身の魔力以外の魔力を使う術を身に付けた。
几帳面な性格のようで、常に身なりはしっかりとしているしコレクション置き場もきっちり決まっているようだが、それ以上にコレクションが増えている為置き場所が散乱しているように見えてしまう。そんな性格だが芯から真面目ではないようで魔王会議に招集されても気分次第。と言うよりほとんど顔を出したことが無い。レア。
食に関しては色々なものを嗜むが、1番好きなのは銀峰麦で作られた麦酒だという噂が。たまいもも結構好き。
趣味は読書。城にも沢山の蔵書があり、時々他の世界に足を運び目新しい本を探しているようだ。画集を好んでいるらしく、よく読んでいる姿を見かける。
芸術全般も嗜んでおり、城のどこかにグランドピアノがあるらしい。封の世界は大変静かな場所なので、訪れた際に運が良ければ城の方からその音色が聴こえてくるだろう。
簡単に言うと彼の能力は“魔力を操り対象を結晶化で封じ込める”能力である。主な能力として3つ。
⑴魔力を結晶化させる
⑵結晶化したものを破壊する
⑶相手の魔力の吸引
自身の魔力、花や空中に漂う自然界に存在する魔力、他の勇者魔王の魔力全てを結晶化することが出来る。最後に関しては何時でも自由に使える訳では無いので少しの手間が必要。⑶参照。
上手く扱える順としては
自身の魔力>>自然界の魔力>>>勇者魔王の魔力
となっている。上手く扱えるもの且つ対象までの距離が近いと結晶化が早く、扱いづらいもの且つ距離が遠いと結晶化が遅い。
これは結晶化をする時にそれぞれの魔力によって、結晶を構成する配列パターンが違う為扱いやすさが変わる。大元の魔力の性質は全て等しく変わらない。
(氷の結晶が全て水を元に温度の差異によって形を変えるように、原材料が同じでも条件が違えば形を変えるということである。今回はその条件が魔力の持ち主によって魔力の元素同士が結晶化の際並ぶ配置が違うということ)
その影響で扱う魔力によって結晶の形に多少の差異が生まれる。特に他の勇者魔王の魔力は、人によって千差万別の配列パターンを持っている為形が様々である。
この結晶化は基本「封じ込める」能力なので、結晶に封じる何かがなければ成り立たず、それは物質的なものしか封じ込めることは出来ない。
例えば花、人、光の粒子、空気中の酸素分子など“そこに物質として存在しているもの”は能力を発揮出来るが、逆に記憶、音、事象自体などは能力を使うことは出来ない。また、結晶化出来るものは封の魔王の視界の中のものだけである。
更に封じ込める対象と魔力にも相性があり、封じ込める対象と関係の深い魔力(植物であればその植物の魔力、勇者魔王だったらそれぞれの魔力)ほど相性が良く、結晶が強固になる。自身の魔力を使って勇者魔王を封じ込めるより、勇者魔王自身の魔力を使って結晶化をする方がより強固のものが出来、ヒビが入る確率はぐんと低くなる。
これも結晶化される魔力の配列パターンが関係しており、対象とそのパターンが同一でないと上手く結合せずひび割れやすくなってしまう。簡単にいえば不純物の混入と同じような原理である。
何よりもその方が、対象に相応しい美しい結晶の形となる為、封の魔王は好んでこちらの手段を取るようだ。
込める魔力が多ければ多い程大きく高圧縮された強固なものができ、そうして作られたものは宝石並みに美しく輝くという。
色は基本無色透明だが、時々封じ込める対象によって色も変化する。
自身の能力を行使した結晶を触れずとも破壊することができる。これも視認できる範囲に対象の結晶がないと発揮する事は出来ない。
その際は自身の魔力を使うことになり、強固なもの程時間と消費魔力を必要とする。
破壊した結晶は魔力に還元することなくそのまま消滅し、封じ込められていたものは解放されるが、破片が散乱する為無傷ではないだろう。
破壊ではなく能力解除をした場合、魔力は還元される。能力を解除出来るのは封の魔王が自主的に解いた時か、彼が倒れた時のみである。
特例として結晶の所有権が代わった時のみ、結晶を構成する魔力を“使用する”形で還元させる方法もある。詳しくは◆結晶◆項参照。
これは現在の姿となり、元々の魔力を大半失った後に覚醒した能力。
相手の魔力を吸い出し扱える状態にできるが、その為には相手に吸引孔をつける必要がある。彼にとっては噛み付くことがその行為にあたる。
噛み付かれた跡には赤い紋様が浮かび上がり、その傷を完全に回復して塞がれない限り魔力を吸引する事が可能。
これは跡さえ付けてしまえば、視界にいる限り魔力を吸い続けることが出来るが密接していればより多くの魔力を瞬時に吸引する。
その姿は完全に吸血鬼のようだが血液は吸わない。むしろ野蛮な味がして嫌いだそうな。
あとは魔力を消費して簡単な魔法ならできる。と言っても炎を繰り出すとか竜巻を起こさせるとかそういうものではなく、物を動かしたりする程度の日常生活であると便利って位のもの。極力肉体労働はしたくないもので。ただ、その姿でさえタクトを振るように優雅な動きをする。
これらの能力を応用して空中に結晶の足場を作ったり、即席の槍や盾を作ったり、結晶弾を撃てたり、自らの傷口を結晶で塞ぐことも可能である。しかしこの場合、止血の意味しか持たず、更には傷口に異物が入っているため傷口の治りが遅い、応急処置程度のもの。
中々に引きこもり体質で本体はひ弱な印象を持つが、ある程度フェンシングの心得はある模様。…が、かなり鈍っているのではないだろうか。あと後日の筋肉痛は勘弁。
封の魔王の結晶化というのは「対象と時を遮断する」効果を持つ。閉じ込められたものは水晶の外の時間軸から突き放され、いつまでもその姿を保っている。もし解放されたとしても、経過した時間が戻って来るわけでは無い。寸分違わぬ姿で出てくるのだ。
そしてこの結晶化は常に封の魔王からの魔力で維持しているもので、この供給状態は“彼の所有物”の証明ともなる。この所有権がある限り結晶化された魔力を自由に使うことが出来るが、それは主成分を用いるということで使う度に結晶はすり減って行く。
唯一この所有権を譲渡出来るものが、彼の魔力を少し含んだ血液で作られた「錆びた鍵」である。
この鍵と譲渡する結晶を一緒に手渡すと、鍵は即座に譲渡された者の体内に入るかのように溶けて消える。これで晴れて封の魔王の所有物から独立するのだ。魔王の魔力供給が途絶えても、その形は崩れず次の所有者の好きなようにその魔力を使うことが可能。
彼の真の姿は、今の彼からは想像出来ない程醜いものであるという。
どす黒く形を保てない不定形の物体にハリネズミのように結晶が突き刺さっており、体中には無数の目がありそれぞれ意思を持っているかのように蠢いている。
…………との噂が流れている。
封の魔王の真の姿は、噂通りの不定形の化け物である。
縮小と膨張を繰り返し大きくうねる身体に、不愉快な水音を立て蠢く様は、この世の醜いものを集約したかのような姿をしている。暗く歪む橙の瞳孔を持つ無数の目玉は、波打つ身体の至る所にあり、対峙するものを恨むように睨みつけてくる。全てをむさぼりつくすかのように大きく開かれた複数の口からは、絶えず甲高い金属音が唸るかのように出続けており、身体の内から突き出した結晶と共に、人間の骨らしき白く鋭利な破片が散見される。
封の魔王は普段人間に近い形をとっているが、これは自身の能力で無理やり人間の形に造形されているだけで、応用すればどんな形にも姿を変えることができる。しかしそれは自身の知識にあるもののみ。
身体は大きく分けて「疑似皮膚層」「結晶層」「本体」に分かれており、それぞれが変身形態の第一、第二、第三段階という扱いになっている。
疑似皮膚層は一番外側に位置する層であり、これが封の魔王の外見の大部分を占めている。人間の皮膚のように柔らかく、血管が通っているかのような微妙な色の変化も再現している。しかし実際には血は通っていない為、血液が流れることはない。
結晶層は疑似皮膚層の下にある層であり、結晶化の能力で封の魔王の骨格を形成している。この層で仮の姿の形が決まる。10割自身の魔力で構成されている為、非常に強固で並大抵のことでは破壊されることはない。骨格の役割を果たすと共に神経の役割も担っている。内側の本体から発せられる意思の電気信号を結晶層で受け止め身体を動かしている為、最重要な層である。ここが壊されると本体とご対面してしまう。
本体は、文字通り封の魔王の真の姿の部分である。普段は高圧縮されている状態であり、本来の体積は人の姿の50倍程ある。結晶層は多少の破壊では能力で補修が可能だが、8割以上破壊されると人間体の殻を破り本体が出てきてしまう。これにより封の魔王が真の姿を現すのは、大きな損傷を負った時である。本人の意思で能力を解いて、真の姿を現すときもある。負傷時には、血が噴き出す代わりに本体の一部が吹き出してしまうやも。
※本人から「異形系なので苦手な方は注意」の言葉がある為、挿絵は自己責任でこちらから
神々のゲームについては、元々知っていたのか本で学んだかは語らないが知っている。
しかし大して興味はなく、むしろ両界の美しいものが失われる可能性がある為乗り気ではない。
常に月明かりに照らされた鬱蒼と茂る森が大半を占める比較的小さな世界。中心にはひっそりと佇む結晶に囲まれた小さな古城と、星は一切見受けられないが月明かりと結晶で水面がキラキラと星を散りばめたように輝く湖がある。その地点を中心に波紋のように、封の魔王の能力で作られた結晶が点在する。
他の世界へ行くためのゲートは森の中に隠されており、一目で見つけることはやや困難。
今の所住み着いている魔族やその他生命体の目撃例は無い。隠れているだけかもしれないし、そもそも本人に統治する気が全くない。
「暮らしたいのならば好きに暮らすがいい。但し静かにな」
封の魔王の住む古城。全てが結晶で出来ている訳ではなく、ルネサンス建築の様な小さな城に徐々に結晶が増えて行った、ような外見をしている。一人暮らしをするには少々広いがコレクションが所狭しと並べられている為、大きな鏡が鎮座する中央ホール以外は結晶に囲まれていて通るのも困難の場所もある。
飾られているものは花や魚、他世界の生き物や人間まで幅広い。
その中で異彩を放つのが、彼の書斎の棚に置かれた柔らかいオレンジと爽やかな青色の光を放つ水晶。中には朝日が登る水平線の風景が閉じ込められており、よく見るとその中の時間は流れているかのように波が畝っている。しかし空模様はずっと朝日のまま、要するに誰かの記憶が封じ込められているのだ。
彼の能力では不可能な筈だが、何故だか存在するそれは彼以外の目に触れられない場所で、ゆっくりとその中の時を繰り返している。
昔、聖界から封の世界に迷い込んできてしまった少女がいた。その時は特に気温が低く濃霧が立ち込める結晶の森の中を彷徨う内に、唯一視界が開けた場所に出る。そこには大きな満月を背にした異形の城、星が出ていないのに水面に星屑が揺蕩う大きな湖があった。何よりも異質なのはその中心、岩陰などない湖の中心に人影を少女は見てしまったのだ。
1人は背の高い細身の男、1人はその男に抱えられた美しい女性。抱えられた女性は見るからにぐったりとしており、その身を男に委ねている。
暫く見ていると、男は項垂れる女性の首元へ顔を近づけ、がぶりと彼の牙を突き立てる。
木陰の少女はその噛み付かれた首元にぼんやりと赤いものを見てしまった為、恐怖のあまり目を閉じてしまった。次に目を開けた時、少女の足は全力で森の中を駆け抜けていた。
次の獲物を見つけたかのように、湖の男は隠れる少女の方を口角を釣り上げにんまりと笑いながら見つめていたのだ。
幸いにも男は追いかけて来ず、少女は自分の村へ逃げ帰ることができたが、その光景を忘れることができなかった。
後にこの村には子供達への教えとして「湖面の吸血鬼」の話が語り継がれることとなる。
「月夜の森へ1人で行ってはいけないよ、吸血鬼に襲われて湖に沈められてしまうからね」
「湖面を彷徨う光は湖で眠る死者の魂さ、永遠に閉じ込められて女神様の元へ行けなくなってしまうよ」