二つ名:蒼の魔王
名前:
詳細:
蒼の世界に棲む魔王。洞窟奥深くのテリトリーに篭りきりで、他の世界の魔王はおろか自らの世界の魔族とも交流する事なく孤独に時を過ごしている。内向的で好戦的ではないが、テリトリーを侵す者との戦いを厭うことはない。無表情で反応も薄いが感情が無いというわけでもなく、怒る時は怒り悲しむ時は悲しむ。どこか価値観や常識がズレている節があり、会話がかみ合わない事も多い。寒がり。
以前は侵入者を問答無用で沈めていたが、現在はテリトリーに入ってきた者に対してどうすれば帰ってくれるのか問うようにしている。自身と居候の少女、巨大な蒼水晶に害が無ければ、基本的に侵入者が帰るまで放置している。帰ってもらう為の交換条件が提示された場合、余程無茶な物でなければあっさり呑んでしまう事が多い。
水を支配下に置き、操る。支配下に置かれた水は他の影響を受けにくくなり、特に魔術系に対して強くなる。しかし操る水の量に反比例して支配力は弱まり、他の影響を受けやすくなってしまう。
水の操り方は感覚的で、攻撃に使う場合モーションを伴う事が多い。また、水以外の物はもちろん氷や蒸気、血液等の蒼の魔王が水と認識していない物は操る事が出来ない。
保有している魔力は水を支配下に置く事に特化していて、それ以外の用途に用いる場合は他人の数倍程魔力をつぎ込む必要が有る為、他の魔術を扱う事は基本的に出来ない。現状唯一例外的に扱えている、今の姿への形態変化も、かなりの無理をして使っている。
形態変化は「魔術」と言うにはかなり拙く、強引に組み上げられた我流の術である為、非効率的で無駄が多い。特に、服の形成まで一括で行っている部分は粗が多く、綻び始めるのもそこから。本人が魔力の扱いに長けていない事も相俟って、つぎ込まれた力の量の割に、出来上がった姿は不十分な出来損ないのようになっている。特に見えない部分の作りは甘く、服の下に隠れた体は細部の再現が成されていない。
形態変化に多大な魔力を浪費した結果、支配し操れる水の量はかなり制限されている。
見た目通り手の力がかなり強く、人を容易く握り潰す事も出来るが、細かい作業や微妙な力加減をする事は苦手。色の違う部分は滑らかだが強度は高く、なまくらな刃では傷付ける事は難しい。尚、手だけ大きいのは手の形を保つのが特に苦手な為で、指の数も4本だったり5本だったりと不安定である。
手以外の力は並かそれ以下であり、身体の強度や陸上でのすばやさも聖界の一般人とそれほど変わらない。アンバランスな体のバランスに振り回されているようにも見える。
水中では自分で起こした水流に乗り、かなりの速度で動く事が出来るが、基本的に「直接掴んで湖に叩き落として沈める」という戦法を取っているため水中戦をする事は少ない。
形態変化に使っていた魔力の一部を解放し、水の支配に割り当てた状態。着ていた衣服は端からボロボロと崩れていき、肌が鱗に覆われ始め、瞳や手足の形状が徐々に人の物から離れていく。鱗はやや硬いが、剣を弾く程の硬度は無い。便宜上第二形態としているが、単に姿に気を使う余裕が無くなっただけであり、本人も姿が崩れている事に気がついていない。この姿でようやく魔王らしい強さになるが、余程あの姿に思い入れが有るのか、戦闘が激化した結果この姿になってしまう事は有るが、自分の意思でこの姿になることは無い。
大きなヒレを持つ、全長10mは有ろうかという巨大な魚。強靭なヒレは強烈な推進力、制動力を生み出し、美しい鱗は下等の竜に匹敵する程の硬さを備える。生半可な刃ではその体を貫く事はおろか傷を付ける事も難しい。形態変化に割いていた魔力は全て解放され、その結果莫大な量の水を支配下に置く事が可能となっている。陸であろうと多量の水を率いて大津波を起こし水没させ、水流を利用した機動力で相手を圧倒する。直接体に纏っている水は特に支配力が強く、魔術等を遮断する強力な鎧として働いている。
尚、何か余程の事情が無い限り、死ぬ事になろうと真の姿を現す事は無い。
自らの領域内で魔力を解放した場合、水晶の一部が解放された蒼の魔王の魔力に反応して動き出し、蒼の魔王の意思に従う武具となる事が有る。但し水晶はあくまで蒼の魔王の大まかな意思を受け、独立した動きを取っているだけであり、思い通りに動かせているわけではない。
現在の蒼の魔王は主に拒絶の為に戦っており、水晶は全てを遮断する殻となって魔王の体を守る。その分機動力は大幅に落ち、水晶はむしろ枷として働いているようにも見える。
仮に蒼の魔王が激怒して力を解放した場合、水晶はその怒りを受けて敵を断罪する無数の杭となり、誰かを守る為に戦う事を決意した時、水晶はその誰かを守る盾となり、害為す輩を貫く剣となるだろう。
女の子扱いされると激怒するが、その割に性別に対するこだわりは見受けられない。「女の子みたい」と言われる事に対してなにかしらの思い入れが有るのかもしれない。
名前は無い。性別も無い。「蒼の魔王」と呼ばれている事は知っていて、そう呼ばれれば反応はするが、魔王という言葉の意味を理解しているわけではない。
元々は魔王として最低限の知識を産まれ持っていたのだが、長い年月がその大部分を磨耗させ忘却してしまった為、教養や知識といった物は無いに等しい。学習意欲も無いので、他人から教えられない限りは新たな知識を得る事も無い。基本的には知る気が無いといった風だが、特定の事柄に関しては知りたくないという反応を見せる事も有る。
身長は155cm、体重は64kg。やや重いように感じられるが、腕の重量のせいであり体つきはむしろ華奢。
頭部に有る黒い物はエラのような物であり、触るとやわらかい。この部位と耳先は感覚が鋭く、触ると割と大きな反応を見る事が出来る。
見えている物以外の衣服は纏っていない。衣服は糸を織って作られた物ではなく、布のような何かでしかない。魔術で形成された物であり、脱がせる事は可能だが、脱がせた物は崩れて消え、少しすると身に纏う形で再形成されている。
魔王議会には一応毎回顔を出してはいる。話しかけられれば返答はするが、自分から何か発言するような事は無く、ほぼ置物状態。行きも帰りも議会から派遣された付添い人に連れられるがままといった形である。
一方的に訪れてきては、蒼の魔王を構うだけ構って帰る物好きな者が何人か居るようである。蒼の魔王としては殆どされるがままであり、来訪数が多い相手の事は一応覚えているようではある。
水晶洞窟を擁する山を中心として広がる森林地帯と、それを囲むように広がる荒野が存在する円盤状の世界。世界の端がそのままゲートになっているため、通常の手段で魔王の居る水晶洞窟まで行くには必ず荒野を通る必要が有る。ゲートははっきりとした構造物や目印が有るわけではなく、蒼の世界側の境界は曖昧。「歩いていたらいつの間にか別の世界だった」という事も有る。
地上から見える空は聖界の空とそれ程変わらず、昼には太陽と雲、夜には星空が広がる。星の並びは聖界の物とは異なっていて、長期間観測すれば、毎夜全く同じ配置で流れていく事が分かる。直接高空まで飛び、宇宙へと至ろうとするのであれば、その中途で世界の境界へと至り、別の魔界の上空に出る事になる。
観測は可能だが、見える天体や風景は境界の向こう側に存在する為、直接至る事は不可能であり、実際に存在しているかどうかは謎である。魔界学者の中で、星は「別の魔界」を表現しているのではないか、という説が有るが、定かではない。
この世界に満ちる力は、極端に偏っている。荒野には世界を構成する為の最低限程度、森林地帯は極々一般的な魔界の平均値、水晶洞窟は力で満ちていて、一部が水晶として結晶化している。最深部の蒼の領域に至っては、耐性の無い者に限らず、一定の耐性を持っているか、満ちる力に親和性が無ければ長居する事は出来ない程。また、程度の低い魔術は場合によっては上手く発動しない、もしくは逆に過剰な効果を発揮する事も有る。
不自然な程に強力な魔物が跋扈している、不毛の土地。大地に恵みは無く、慈悲の文字は欠片も存在しない。僅かな養分から辛うじて育った植物が点在してはいるが、一様に貧相でどこか物悲しい。好んで行こうとする者は居ない為、世を捨てた隠者や口に出す事も憚られる大罪人が隠れ住んでいるという噂も有る。
荒野と森林地帯の間に存在する、緩衝地帯のような場所。荒野にほど近い為、ここに蔓延る動物や魔物はどれも縄張り意識が強く、恵みを求めて荒野からやってくる相手を追い払う程に強い。蒼の領域を除けば、蒼の世界の中で最も危険な場所であると言える。
水晶洞窟への入り口と、この世界唯一の川の水源が中腹に存在する。標高はあまり高くはないが、他に高い物が存在しない為見晴らしは良い。川は森林地帯を抜け、草原地帯と荒野の境で地面に吸い込まれ、途切れるように終わっている。あまり動物の類は見受けられず、山頂に近付くにつれ植物すら見受けられなくなっていく。
穏やかな気質の生物が多い、緑豊かな土地。大地は恵みに溢れ、住む生物も穏やかな気質の者が多い。聖界の森とあまり変わりは無いが、ちらほらと聖界では見られない動植物が見受けられる。基本的にこちらから襲い掛からなければ襲われる事も無いが、大人しいからと舐めてかかると手酷い反撃を受ける事になる。
水晶洞窟の近くの川沿い、森の中に有る村。文明レベルとしてはかなり前時代的であり、科学の発展も体系立った魔術の普及も無く、日常生活で簡単な魔術のような物(火を付ける、そよ風を作る、等)が使われるに留まっている。温暖な気候と豊富な森林資源を元に、農耕、牧畜等で村の生活は成り立っている。周期的な気候の変化等が無く、必要性が無かった為、暦は存在していない。
数少ない来訪者には友好的で、宴を催す等、できる限りの歓迎をしている。宿もきちんと用意されていて、一部の勇者は魔界での避難所にしていたりもする。
通貨は存在せず、物々交換が主流。来訪者の冒険譚をお代の代わりにする事も有る。水晶を使った装飾品が主な交易品だが、他の世界での相場を知らない為に安く買い叩かれがち。
時折荒野、草原地帯から魔物が迷い込んでくる事が有る為、それに対処する自警団のような集団が存在している。基本的に一対多数で追い払う戦法を取っており、一人一人の強さはまずまずといった所。村で起こった揉め事も、彼ら自警団と村長が対応する事になる。
村から荒野を抜けて別の世界に行く為に、自警団の魔族を雇う事は可能。荒野を横断する事はそれなりに危険を伴う為、相応の対価は要求されるが、護衛としての腕は確かである。
山の麓に入口が有る、地下深くまで続く洞窟。ある程度は水晶掘りの為に整備がされているが、最深部へ続く道に立つ、立ち入り禁止の立札の奥は手付かずである。水晶は世界を構成する力が結晶化した物で、定期的に壁や天井から水晶が生えてきては、一定以上の大きさになった水晶が砕け散り、元の形の無い力となって空気中に拡散していく。ここで採れた水晶の中でも質の良い物は蒼水晶と呼ばれ、知識の有る者の間では良い魔術媒体として重宝されている。
立札の奥は完全な自然洞窟が広がっている。入り組み枝分かれした道は所々水没し、天然の迷路となっている。洞窟内に生物の気配は少なく、奥へ進めば進む程静かになっていく。時折静寂を破るように響く水音と水晶の破砕音は、心の弱い来訪者の精神を蝕み疲弊させる。
長く入り組んだ洞窟を抜けた先に有る、大きな地底湖を擁する広い空洞。壁一面に蒼水晶が生えている。水晶の中には魔力を帯びて淡く光る物もあり、他の水晶や水面に光が反射し幻想的な光景となっている。湖の側に小さな土塚が有り、一際巨大な蒼水晶が墓標のように突き立っているが、その由縁を知る者は少ない。
蒼の魔王のテリトリーであり、踏み込んだ者は等しく水底へ骨を沈める運命を迎えていた。その為地底湖の底には犠牲者の骨や持ち物が多数沈んでいて、中には思わぬお宝も沈んでいる可能性も有る。
草原地帯の足結蔓の中に時折潜んでいる、暗緑色の蛇。蔓に擬態し、訪れた生き物を噛み、麻痺毒によって身動きが取れない状態にする危険な生物である。
水晶洞窟深部の水辺に潜む、甲羅に水晶が張り付いた30cm~50cm程度の大きさの甲殻類。基本的にじっとしていて動かず、油断して近付いてきた生物を鋏で掴み捕食する。鋏の力は強く、下手に挟まれると千切られてしまう事も有り、水晶を求めて奥へと分け入ってきた者が餌食となる事故が稀に有る。味はそこそこ美味だが、多少大味。
草原地帯に生えている蔓植物。植物の分類ではあるが、どちらかというと存在は魔物に近い。普段は只々生い茂っているだけだが、命有る者が足を踏み入れれば、その足に纏わり付き、動きを縛る。始めは動き辛いだけだが、その場に留まり続けていれば蔓による束縛は足を雁字搦めに縛り付け、その肌を突き破るに至る。そのまま蔓は犠牲者に根付き、体内に巣食い、やがて眼球を突き破り不気味で真っ赤な花を咲かせる。ここまで来れば犠牲者は命が有るだけの傀儡となっていて、意識は無いに等しい。危険な植物のように思えるが、ただの人間でもない限りは初期の段階で振り払い逃げる事が容易である為、犠牲者は稀である。せいぜいたまいもが犠牲になって花開いている様子が見られる程度。花には貴重な魔術触媒の成分が含まれ、犠牲となった生物の魔力が良質であればある程触媒としても優秀となる。
水晶洞窟深部~最深部に稀に生えている、透き通った花弁を持つ花。元々生育していた植物が空間に溢れる世界の力を大量に吸い上げた結果花開いた物で、半ば鉱石に近い性質を持っている。摘んで乾燥させれば、美しい姿のまま保存する事が可能。
菓の魔王様からティエルが受け取った苗を村に植え、育てている物。
自然の植物ではなく、菓の魔王が木の苗を加工して出来た物である。
色々なお菓子が生るようであり、村が飢えればその分お菓子も大量に生るとか。
菓の魔王と若干の感覚共有をしているらしく、村が危機に陥ると菓の魔王にも知られる事となる。
ティエルが祈ると小さな菓の魔王が出てきてくれる……らしい。
森林部に生息するたまいも。オーソドックスで何の変異もしていない通常の個体である。
主に荒野に生息するたまいも。やや凶悪な目つきの模様と、まばらに生えた棘、硬い外皮が特徴。気性は荒く、僅かな水を求め、同種同士で縄張り争いをしている。その体には多量の水分が蓄えられていて、他の生物から水分補給の為に捕食されている。
表皮に細かい水晶がびっしりと付着している、通常より一回り程大きなたまいも。その重さ故か、動きは緩慢。元々は通常のたまいもと変わらなかったのだが、空間に溢れる世界の力が水晶として表面に結実し、水晶の外皮を形成した事でこのような姿へと変貌した。
森林地帯に生息している、影のように黒い猫のような姿の魔物。迷い人の前に現れては、行きたい所に導くとも、行けないように迷わせてしまうとも言われている。その実態は気紛れによる物であり、気に入られれば頼もしい案内役となるが、過信し過ぎては足元を掬われる事になる。基本的に無害だが、見た目に反してかなり強力な魔物であり、迷わされた腹いせに襲って返り討ちに遭う者も。
荒野に棲む、凶暴な魔物。言葉は一切通じないが、力で屈服させれば飼う事も出来なくはない。この世界では若干異質な生物で、他の世界から迷い込んできたのではないかと言われている。
蒼の領域に有る地底湖に棲む魚型の魔物。種別としては鯉に似ている。言語を解してはいないものの、知能は多少存在している。蒼の魔王やメルの事は仲間だと認識しているが、二人からは只の魚としか見られていない。蒼の魔王が沈めた者の末路は、蒼魚達の餌となっていた。
森林地帯に住む人型の魔族。勇者、魔族問わず友好的で、数少ない来訪者はできる限り歓迎をしている。通貨などは存在せず、物々交換が主流。水晶を使った装飾品が主な交易品だが、他の世界での相場を知らない為に安く買い叩かれがち。
子どもでも簡単な魔術は扱えるが、高度な魔術を扱える者は殆どおらず、戦闘より日常で使う事の方が多い。皆温厚ではあるが戦えないという訳ではなく、たまに迷い込む荒野の魔物も数人で撃退することが出来る。
円盤状である蒼の世界。その裏側には別の魔界が広がっている。裏側の世界とは完全に無関係というわけではなく、事あるごとに小さな影響を及ぼしあっている。限りなく近いようで果てしなく遠いその魔界へと行くには、数多の魔界を経由するか、地下深くに有る世界の壁を破壊する必要が有る。しかし世界の壁は破壊されても周囲の地形ごと急速に修復されてしまうため、通路の確立は不可能。尚、蒼の魔王は裏側の世界の事を全く知らないようである。
森の魔族の村の代表であり、伝承を継承する巫女。容姿は蒼の魔王に似ているが、彼女自身と蒼の魔王に面識は無い。
巫女の家に代々伝わっている、結界と治癒の魔術を使う事が出来る。村を覆う結界を作り出す事も可能だが、強度は並の魔族をなんとか防げる程度。
勇者、魔王という概念については、旅人から伝え聞いた程度の知識は有る。しかし、直接関わりの有る事ではなく、御伽噺や旅人の冒険譚という認識である。
身に纏う衣装は代々受け継がれている装束で、蒼の魔王が着ている物に刺繍や装飾を足したような見た目をしている。古びてはいるが丈夫で、大切にされている事も有り、経た年月をあまり感じさせない。
紫布の羽衣には、魔術の効果を増幅する働きが有る。由来は不明で、伝承では神の使いから授かった物と言われている。
はるか昔、蒼の魔王と友達だった森の魔族の少女。その関係性から勇者に人質として利用され、その結果命を落とした。少女の亡骸は、蒼の魔王のテリトリーの何処かで静かに眠っている。
聖界の、長い髪が特徴的な事以外はどこにでも居そうな普通の少女。怪しい行商人から買った蒼水晶のペンダントが原因で勇者に襲われる事になり、夢中で逃げているうちに蒼の世界に迷い込んでしまった。現在は蒼の魔王のテリトリーに居座っている。蒼の魔王を外に引っ張り出したくてたまらないようだが、なかなか上手くいっていない。
森の魔族の村まで出かけてはお話をしたり物を貰ったりしている。何度も往復している事も有り、水晶洞窟の道筋はきちんと覚えているようだ。
実は蒼の魔王の魔力に若干ながら親和性が有り、蒼水晶のペンダントを媒体にして魔術を使えるが、本人はその事に気付いていない。現在は、簡易の治癒促進と水中呼吸が常時発動している。
黒いぼろぼろのローブに身を包んだ、長く青い髪で紅い瞳を持つ女性。緑色のリボンをカチューシャのように結び、黄緑色の羽根の髪飾りを結び目のあたりに付けている。荒野の何処か、ぽつんと生えた木の下に寄り掛かっている姿が稀に目撃される事が有るらしい。対面して話しかければ応対はしてくれるが、言葉数は多くなく、常に目を伏せて合わせようとはしない。何故このような場所に居るのかと聞かれれば「そう定めているから」としか答えてくれない。深い知識を持っていて、「物語」を対価にその一端を分け与えてくれる事も有るようだ。
魔術に精通しているらしく、襲い掛かる荒野の魔物を撃退している姿が見かけられた事も有る、とか。
彼女の側に長く居ると、次第に言葉を綴った物品は朽ち果て、風化して消えていく。これは彼女にかけられた呪いによる物である。強力な呪いであり、多少の加護は無効化してしまう程。何をしてこのような呪いを受けたのかは一切語らず、只側で長居しようとする者へ警告をするのみである。
彼女の見つめた文字は、彼女が認識するよりも早く消えてしまう。これもまた呪いであり、彼女が目を伏せる理由でもある。
森の魔族の村に住んでいる中年の聖界人男性。「魔界学」という、あまりにも広範囲かつ無為とも言える学問に生涯を費やす事を誓った変人。比較的安全で研究がし易いという理由から蒼の世界で日々研究に励んでいる。暇が有る時に纏め上げては、時折訪れる勇者に依頼して聖界に研究資料を届けて貰ったりしているようだ。
蒼の世界の裏側に広がる、乾燥したサバンナがどこまでも続く円盤状の世界。中心部にはオアシスがあり、水辺には紫色の染料が取れる花が咲いている。鳥類が多く、主な魔族も鳥人である。
世にも珍しい雑食の鷹。基本的には肉食なのだが、時折木の葉や木の実を齧っている姿が見かけられる。特に茶葉を好んでいて、鳥人族により茶葉を摘み集めるよう訓練され用いられている事からこの名称が名付けられた。
美しい紫紺の花を咲かせる蘭。乾燥に強く、多少厳しい環境下でも咲き乱れる。主に走の世界中心部に有るオアシス周辺に生えている。花弁からは濃い紫色の染料が取れ、気品の有る染物を作る事が出来る。僅かながら魔力媒体としての適正も有り、この染料で染め上げた後に魔力を付与した物は高値で取引されている。
珍しく鳥類ではない魔物。凶暴だが飼いならす事も可能で、ペットとして飼われている事もある。蒼の世界の荒野の魔物と見た目はほぼ同一であり、関連性を伺わせる。
主にサバンナを放浪しながら生活していた魔族。いくつかの部族に分かれていたが、現在は全ての部族が魔王の配下として統一され、大きな一つの群れとなっている。統一後はオアシスの周りに根付いた者達とオアシスを拠点として放浪を続ける者達に分かれており、オアシス周りでは農耕や織物、畜産や交易を、放浪者達は狩猟や遊牧等を行っている。特産品は紫の染料を使った織物で、色落ちが無く時間が経っても鮮やかな色合いを保つ。また、聖界侵攻の為の軍備も整えており、魔王の気に入った相手や群れに利益の有る相手に戦力を貸す事もある。飛べる鳥人族と飛べない鳥人族が居る。
蒼の世界の裏側に広がる走の世界。この世界は蒼の世界と完全に無関係というわけではなく、事あるごとに小さな影響を及ぼしあっている。限りなく近いようで果てしなく遠い蒼の世界へと行くには、数多の魔界を経由するか、世界の壁を破壊する必要が有る。世界の壁は破壊されても周囲の地形ごと急速に修復されるため、通路の確立は不可能。尚、魔王は裏側の世界の事を知っており、時折世界の壁を破壊して遊びに行っているようである。
背が高く、スレンダーな体付きの女性型。オレンジの髪に、髪より少し暗い色の羽根で出来た髪飾りを付けている。手足には鳥のような特徴が表れており、手は翼が退化して腕になっているようにも見える。
明るく活動的で、格好いいお姉さん系。しかしやや子どもっぽい面も有る。何よりも走る事が好きで、走る為なら割となんでもする。気持ちよく走る為に自分の世界を広くしたい、という理由で聖界侵攻もそれなりにしているようだ。フットワークの軽い自由人であり、部下の苦労は絶えない。
魔王として持つ力のほぼ全てが身体能力に回されており、特に信じられない程の脚力と持久力を誇る。戦闘方法は基本的に足技を用いた近接格闘で、踵落としは小さなクレーターが出来る程の威力を持つ。
とても大きな翼と立派な爪を持つ鳥。かつてはその翼で世界を気ままに飛び回っていたが、勇者に撃ち落とされて飛び方を見失ってしまった。その為、真の姿になるとほぼ何も出来ない。走の魔王が真の姿を晒している時は、むしろ気を抜いている時である。
水が苦手で、泳げない。急に雨が降ってきた時等は、非常に情けない姿を見る事が出来る。
魔王議会は出たり出なかったり、代理で三賢人の誰かを行かせたり。馬鹿ではないが、難しい事を考えているぐらいなら走っていたい体育会系なので、参加している時も態度は不真面目である。
あちこち走り回っている走の魔王にかわり、群れを回している三人の部下。自由人である走の魔王に振り回され、苦労している。
三賢人の一人。筋肉の鎧に身を包んだ巨漢。その容姿から怖がられる事が多いが、寡黙なだけで穏やかで思慮深い性格である。その威圧感と貫禄からか、魔王を訪ねて訪れた相手に魔王と間違われがち。
戦いにおいては鬼と言われる程の勇猛さを見せるが、出来うる限り誰も殺さずに済ませる努力はしている。
三賢人の一人。踊り子の衣装に身を包んだ、スタイルの良い女性。面倒見がよく、魔王の身の回りの世話を自主的に行っている。たまに説教をしている姿も。幻惑系の術を得意とする。
走の魔王の現在の姿は彼女を参考としているが、体付きを再現する事は出来なかったようである。
三賢人の一人。漆黒の羽毛を持ち、銀細工の装飾品や耳飾りを過剰に身に付けている。奇抜な言動が目立つが、妙な人気が有る様子。様々な属性の魔術を自在に操る。
会話が成立し辛く、何を言っているかわからない場合も有るが、その知性は三賢人の中でも群を抜いている。しかし、余計な事を言いがちな為よく不憫な目に遭っているようである。