オウカさんの頼みを受けて、はや1週間。
たまに思い出しては、あの日のやり取りを考えていた。
『え......? 手が空くの、嫌じゃないんですか?』
似たようなことを、コスモスフィアでレッテルも言っていたから、恐らくこれは紛れもない本心。そして、その理由も何となく知っている。
オウカさんと同じ、クラスタニアのレーヴァテイルである知人から聞いたことだ。
『クラスタニアのレーヴァテイルは、目的なしには生まれない。生まれた時から、何の職に就くかも決まっているのさ』
ボクはクラスタニアの実情を知らない。それに、クラスタニアの本部は第3塔と共に消滅した。そこにあった歴史も文化も、今では口伝えでしか知ることができない。
アカネならその辺りの事情も詳しいはずだ。しかし、クラスタニアという共通点があれど、事は個人的な問題。安易に話すべきではない。
そして、気になることがもう一つ。
「彼は、何を考えているんだろう?」
アストラ。
ほとんど強引に連れてきてしまった彼だが、見た感じ気に障った様子はない。それどころか、次のダイブについても承諾したのだ。
今回のことで、テストなんて生易しいものじゃないことは、彼も感じているはず。何か目的があるのか、それとも......。
「聞いてもいいことなのかな」
彼のことは、今はまだ後回しでもいい。共にダイブをする関係上、無用な亀裂を生む必要はないのだから。
今は、まだ......