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5章

第5章 結果
 5.15.MIDIを制御するプログラム

5.1.1 成果
 これはMIDIを用いて製作された楽曲の再生、及びその楽曲のテンポ、ダイナミクス、ピッチをユーザがリア
ルタイムに操作し、変化させる事のできるソフトウェアである。ユーザが楽曲の不連続感や不自然さを感じず
に操作できることを目標として製作された。

5.1.2 仕様
 このプログラムはあらかじめ用意されたMIDIファイルを読み込んで再生を行い、再生されているMIDIファ
イルのテンポ、ダイナミクス、ピッチをリアルタイムに操作、変化させることができる。開発環境はMAX/MSPを
使用した。パラメータの操作を行う際は、MIDIデータに設定されている楽器ごとの操作ではなく、一度に全て
の楽器に対し各パラメータの操作を行う。実際の操作はMAX/MSPの画面上から行う形をとった。

5.1.3 解決手順
 まず、ダイナミクスの操作の方法について考えることとした。当初は各音の打鍵の強さを表すパラメータであ
るベロシティの値を操作する事により、ダイナミクスの表現を行うこととした。しかし、ベロシティは音が鳴ってい
る間に変化することを想定していないパラメータであるために、リアルタイムで操作を行った際に本来のそれ
ぞれの音の長さで止まらなくなってしまうという問題が発生した。そこで、実際にリアルタイム操作を想定したパ
ラメータである、エクスプレッションを操作する事によってダイナミクスの表現を行う形をとった。テンポに関して
も同様にしてリアルタイム操作を想定したパラメータであるピッチベンドを操作する事によりピッチの変化を表
現する事とした。
 テンポの操作に関しては、再生時に元々MIDIデータに記録されているテンポ情報を無視してMAX/MSP
上からの操作ができる様に命令を付加することにより、実現できることが昨年のプロジェクトで判明していたた
め、それを流用することとした。
 楽器ごとのパラメータ操作をできる様にも一度実装はおこなってみたが、MIDIデータを製作する段階であ
る程度の設定を行わなくてはならないという問題が発生したため、最終的には全ての楽器を同時に操作する
様に実装を行うこととした。

5.1.4 評価
 このプログラムによって楽曲の不連続感や再生時の不具合なく、スムーズな操作を実現する事ができている。
しかし、楽曲再生を行う際に簡単な設定を毎回行わなくてはいけないという問題点や、各楽器ごとのパラメー
タ操作の実装に関しては多少の問題を抱えてしまう結果となったため、今後解決策を考えていかなければな
らない。また、完成された楽曲全体のピッチをシームレスに操作してしまうと、楽曲が不自然に聞こえてしまうと
いうことが判明した。


5.3 MAX/MSP-FLASH間通信
5.3.1 成果
 MIDI や音に関する処理を行っているMAX/MSP とGUI であるFlash 間の通信を実現している。
MAX/MSP とflash双方で送信と受信を行うことが可能である。

5.3.2 仕様
 Flash とMAX/MSP間でXML ソケットを用いた通信を実現する事を目的とし、Olaf Matthes 氏が製作した
flashserver というMAX/MSP上で使用する事のできるコンポーネントを用いて実装する形をとった。0.05秒に
1度、3つの数値をFlash側に送信し、表示している画面の位置をFlashからMAX/MSPに送信する形をとっ
た。

5.3.3 解決手順
 昨年度のプロジェクトでも同じ様にflaseserverを用いたXML ソケット通信を行っていたため、それを参考に
して実際の製作を行った。しかし、前述したMAX間通信を行っている際、MAX/MSP-Flash間で送受信を
同時に行ってしまうと、処理が重い事が原因でMAX/MSP側のソフトウェアが落ちてしまうという問題が発生
した。そのため、flashserverで送信と受信が同時に行うことがないように、また当初0.01秒に一度のデータ送
信を行うように設定していたが、0.05秒に一度に頻度を下げるよう実装を行うことによりこの問題を回避するこ
とに成功した。

5.3.4 評価
 MAX/MSPで計算したデータのFlashへの送信に関してほぼ実現する事ができた。今後のMAX/MSPや
Flashを利用したソフトウェアの製作に役立てていくことができるだろう。しかしながら、
頻度の高い送信や、送受信を同時に行うことができない等の問題をfalshserverが抱えており、今後送信する
データの増加も考えられるため、もっと負荷の軽い通信方法を考えていかなければならない。

5.4 pro16wii

5.4.1 成果
 このプログラムは、wii リモコンの各センサの値をMAX/MSP上でとるためのMAX/MSPのエクスターナル
として製作された。かなり速く操作を行った場合でも、停止することなく値をMAX/MSPに渡すことができる様
になっている。

5.4.2 仕様
 開発環境はC++を使用している。gl.tter氏が中心となって開発されたwiiyourself というライブラリを元にして
開発を行った。wiiリモコンの3軸加速度センサの値や重力加速度の値を用いて算出されるロールやピッチと
いった動きの値、またボタンの入力等をMAX/MSP上でとることができる。pro16wii単体での動作はできる様
にはなっておらず、MAX/MSP上での設定をする事により利用することができる。

5.4.3 解決手順
 昨年のプロジェクトでもwii リモコンを利用していたため、昨年開発したpro10wiiを元にして開発を行った。
当初はpro10wii をそのまま流用してソフトウェア開発を行っていく予定だったが、wii リモコンを速く動かしす
ぎるとロールやピッチの値をしばらく取ることができなくなる、というバグが存在していたため、その修正をする
こととなった。
 まず、wiiyourself内でどのような計算をしているのかを実際にwiiyourself のライブラリ内を読んで行くことに
より理解する事とした。その結果、ライブラリ内で行っている計算の中にロールやピッチの値をとるだけならば
無駄となってしまう部分があったため、実際のロールやピッチの値を出すための計算をライブラリ内ではなく、
実行するプログラム内で行い計算を簡略化する事によりこの問題を解決する事とした。その結果、どんなに速
くwiiリモコンを動かしても値がとまることなく取れるようにする事ができた。

5.4.4 評価
 昨年度製作したpro10wii よりも動作が高速で正確な値をとることができる様になっている。しかし、加速度セ
ンサを利用しているため、ユーザが本来示したい値をとるまでに、その値の位置に持っていくまでの動かす速
度によっては若干のずれが生じてしまうという問題は加速度センサ単体を使っている限りは避けることができ
ない。よって今後もwii リモコンを使ってロールやピッチといった動きで値をとるならば、ジャイロセンサ等を用
いた値の修正を行っていかなくてはならない。また、wiiyourself内では本来重力加速度の値を最大1して算出しなくてはいけないが、ごくまれに1.05という値が算出されてしまうため、ロールの計算がある角度でうまくいかず間違った値が算出されるというバグがいまだ残っているため、wiiyourselfそのもののデバッグをさらに行う必要がある。



5.2 ロールコントローラー(下村)終
   5.2.1 成果
 より楽器を演奏している気分に近づけるために、オーケストラの指揮者が指揮棒を振る動きをイメージしてロールコントローラー(図すうじ)というものを作成した。ロールコントローラーの軸部分にWiiリモコンを固定することによって、三軸加速度センサーを利用したロール操作のぶれがなくなり、安定したラジアン(角度)値を取ることができるようになった。操作方法も、取っ手部分を回すのみなので、従来のWiiリモコンのロール操作よりも簡易化することができた。よって、初心者でも簡単に操作することができる。      
      「がぞう」
      図.すうじ ロールコントローラー

   5.2.2 仕様
 木製の円盤2枚の軸部分にWiiリモコンが入る大きさの箱を取り付け、ネジで固定した。片方の円盤部分にユーザーが操作する取っ手部分を取り付けた。
 今回は1台のWiiリモコンに1つのパラメーターを割り当てるプログラム仕様であり、操作対象となるパラメーターがダイナミクスとテンポなので、 計2台のロールコントローラーを作成した。ユーザーが取っ手部分を回すことにより、テンポとダイナミクスを操作することができる。時計で例えると、12時の位置の値が基準になるようにWiiリモコンを固定している。そこから時計まわり(ユーザーに対して右方向)へ回転させるとダイナミクスは大きくなり、テ ンポは速くなる。反時計まわり(ユーザーに対して左方向)へ回転させるとダイナミクスは小さくなり、テンポは遅くになるようになっている。
 非常にシンプルな操作方法であり、軸部分にしっかりとWiiリモコンが固定されているため、かなり安定したラジアン(角度)の値を検出できている。よって、初心者の方にも使いやすく、音楽経験者の方はかなり細かい操作も可能である。

   5.2.3 解決手順
 まずはじめに、音楽を表現している気分になる動きは、どのような動きなのかを考えた。ギターやピアノなどの楽器を弾く動き、ダンスを踊る動き、 指揮棒を振る動きなどがあげられ、この中でWiiリモコンのロールの動きをうまく変換できるものとして指揮棒を振る動きを選んだ。一般的に指揮者が2拍子 や3拍子、4拍子を振る動きは、感情のこもり方や曲調によって、また指揮をする人によってもかなり動きに違いがでてくるものである。そのため、2拍子の指 揮の振り方を横にしたような感じで、左右に弧を描く腕の振り方に操作方法を限定して、その動きにロール操作から変換させようということにした。
 次に、インタフェースの具体的な形を決めるために、100円ショップ等でフリスビーやワイヤーなど使えそうなものを買ってきて、簡易版のコ ントローラーを作成した。そこから具体的な形を導いた結果、円盤を2枚設置し、その2つの間の軸の部分にWiiリモコンを固定することによって、Wiiリモコンのローの動きを先ほど述べたような指揮棒を振る動きに変換可能であると考えた。また、卓上で操作することも仮定し、ワイヤーだけでパーツ同士を固定するのではなく、しっかりとした土台が必要であることもわかった。
 これらをふまえて実際のコントローラーの設計を決めた。材料は加工が自分たちでしやすいように木材を使用することにした。木材と木材を繋げる 部分には金属のネジ、土台とコントローラーを固定する部分には、家具を固定する際に使用するL字の金具を使用した。Wiiリモコンのロール操作を指揮棒を 振る動きに変換することから、この装置をロールコントローラーと名付けた。

   5.2.4 評価
 ロールコントローラーの使用によって、作成したソフトウェアに対し、Wiiリモコンが送るラジアン(角度)の値をかなり正確にとることが結果よりわかったので、外付けのコント ローラーとしては役割を果たしていたといえるだろう。しかし、操作方法においては中間発表のアンケートの結果、あまり演奏している気分になれないといった感想が多かった。Wiiリモコ ンがとっていた値はロールによるラジアン(角度)の値であり、加速度をとっているのではないため、実際の操作方法は指揮者のようにリズムをとるような動きを再現出来ていなかった。CDコンポなどのボリュームを調整する操作とさほど変わらないのではないかといった声もあったため、後期に向けての改善点の一つとして、演奏に近い操作を可能にするインタフェースを研究、開発するという目標ができた。


 5.3 Sortcode(寺井)
  5.3.1 成果
  5.3.2 仕様
  5.3.3 解決手順
  5.3.4 評価
 5.4 Umdecode
  5.4.1 成果
  5.4.2 仕様
  5.4.3 解決手順
  5.4.4 評価
 5.5 Camail(ゆーき)
  5.5.1 成果
       これはMAX/MSPのプログラムで作製したパッチの名前である。このパッチはnanoPADのボタンにそれぞれオクターボ
       シフトと楽器選択を機能させるために作成した。これにより、音の高さや音色の変化を自由に操作することができた。

  5.5.2 仕様
       nanoPADのボタンを押したときに出力された値をそれぞれselectのオブジェクトで割り振り、それぞれの値を足算を使
       って、目的のMIDI音源に接続していった。また、

  5.5.3 解決手順
  5.5.4 評価

 5.6 Harmonic Fuzzyプログラム部分(ファジ)
  5.6.1 成果
 前期成果物の問題点として、演奏している気分になりにくいことや自由度が低い音楽表現しか実現が出来ないことが挙げられた。今回のHarmonic Fuzzyではその問題点を受け、流れている伴奏に調和する音をユーザーが演奏することにより、オリジナルの音楽を演奏することを実現した。また、ボタンの数をある程度限定することにより、操作を簡易化した。実際の演奏と同じような操作を実現したことで演奏してる気分になれ、nanoPADに様々な音を割り振ることにより旋律の操作を可能にし、自由度の高い音楽表現を実現することが出来た。よって、従来の音楽表現に比べ、簡単な操作で自由度の高い音楽表現を実現した。

  5.6.2 仕様
これは、あらかじめ用意したMIDIで作られた伴奏に対し不協和音にならないような音を判別し、それをnanoPADの各ボタンに割り当てるプログラムである。伴奏が再生されるとそれをリアルタイムで読み込み、その時の楽曲のコードによって不協和音にならない音を判別し、nanoPADに割り当てる。ユーザーはnanoPADのボタンを押すことによって演奏を行うことができ、どのように演奏を行ったとしても不協和音が発音されることはないため、演奏技術や経験がないユーザーでも簡単に使うことができる。また、演奏時のダイナミクスの操作や音色の変化、割り当て音のオクターブシフト機能を搭載した。
 読み込むことのできる伴奏には、Cメジャースケール上の音のみで構成されていること、トラックの1と2にコードの構成音を配置する事といった制限を設けることとした。

  5.6.3 解決手順

Harmonic Fuzzyを開発する上では、演奏難易度と自由度のバランスの設定、演奏音設定時の判別アルゴリズムの考案、ユーザーインターフェースの選択、演奏タイミングと判別タイミングの設定といった問題の解決が必要となった。
 まず、演奏に関する自由度の高さと演奏の難易度のバランスをどの程度に設定するのかを決定することとした。演奏の難易度を低く設定するならば、その時の伴奏のコードの構成音だけをユーザーが演奏出来るようにすれば、でたらめに演奏してもメロディーとして成り立たせることができ、演奏技術によってメロディーの出来が左右されることが少ない。しかし、その場合演奏音がかなり限定されてしまうため、演奏技術が低くてもメロディーの完成度が高くなりやすい反面、どのユーザーが演奏しても同じようなメロディーになってしまいやすくなるという問題が発生する。そのため、コードの構成音以外にも演奏できる音を設定することとし、演奏時に不協和音になってしまう音であるアボイドノートを設定する音から取り除くことにより、演奏における高い自由度と低い難易度を維持することとした。
 次に、どのようにしてその時その時の伴奏に対し調和する音を判別するのかのアルゴリズムを作成した。開発開始当初の案は、伴奏の音からその時のコードが何なのかを判別する事ができれば、調和する音を判別できるのではないかというものであった。しかし、伴奏に対しメロディーをつける時にはコードだけではなく、その楽曲のスケールが何スケールなのかを判別しなくては自然なメロディーをつけることが不可能であるということが分かった。Harmonic Fuzzyでは、開発期間の関係上スケール判別アルゴリズムをプログラムに実装することが難しかったため、読み込む楽曲をCメジャースケールのもののみに限定することとして開発を行うこととした。
 演奏時のユーザーインターフェースはKORG社のnano padを使用することとした。当初はMusic Fuzzyのために開発したロールコントローラーを使用する案があった。しかし、ロールコントローラーでは回転による操作になってしまうため、決まった順でしか演奏を行うことができないという問題があった。よって、ユーザーの意図したように演奏音の順番を決める事ができ、音の強弱もつけることの出来るようなユーザーインターフェースが必要となった。また、開発期間の短さからもユーザーインタフェースを自主開発することは難しいのではないかと考えられた。そこで、MIDIコントローラーの一つとして発売されており、音の強弱をたたく強さで感知することのできるKORG社のnano padをユーザーインターフェースとして採用することとなった。
 また、判別のタイミングと演奏のタイミングをどうあわせるかといった問題を解決した。Harmonic Fuzzy上では、伴奏から調和する音がどんな音なのかを判別するときにはわずかな処理時間が発生してしまうため、コードが丁度変わる瞬間にユーザーが演奏を行おうとすると、前のコードの設定音が演奏されてしまうという問題が発生してしまう可能性があった。そのため、実際に演奏されている伴奏音よりもあらかじめ少し先に伴奏の判別を終えておくことによりこの問題を解決することとした。

  5.6.4 評価
 高い自由度と低い演奏難易度を両立することができ、おおむね目標を達成することができたものの、いまだいくつかの問題点がある。
 Music Fuzzyに比べると実際に演奏音をユーザーがある程度選択し、楽器に近い感覚での演奏を行うことが出来るようになっているため自由度は演奏時の自由度はかなり高くなっており、どの音を演奏しても伴奏に調和するように設定しているため、演奏時の難易度を低くすることも出来ている。実際に音楽経験のあるユーザー、ないユーザーともに何人かにHarmonic Fuzzyを実際に使って演奏を行ってもらったが、最初はそこまでうまく演奏できないものの、何度か演奏しているうちにすぐにある程度の演奏を行うことが出来るようになっていた。詳細なデータを実験によってとってはいないので判断が難しいところではあるが、初心者にも簡単に演奏を行うことができるようにすることが出来るようになっているのではないかと考えられる。最終発表会でも中間発表時のMusic Fuzzyと比較すると、評価は高くなっており様々なユーザーが楽しめるシステムとなっていることが分かった。
 しかし、すべての楽曲に対応することができないこと、リズム感の無いユーザーにはいまだ若干敷居の高いシステムになってしまっていること、リアルタイムセッションにはシステムを流用することができないなどの課題が残った。Harmonic Fuzzyではスケール判別を行う機能が実装されていないため判別することのできる楽曲がCメジャースケールでなくてはいけないことや、楽曲の製作の際に様式を守っているものでなくてはならない等、読み込むことのできる楽曲にかなりの制限が生じてしまっている。また、演奏タイミングをユーザーに完全に任せてしまっていることから、リズム感が無いユーザーにとっては演奏が難しく感じてしまうことがある。リアルタイムに演奏している伴奏とHarmonic Fuzzyのシステムを使いセッションを行いたいと思っても、処理時間の問題や、演奏開始時では、スケールの判別を行うことが難しいなどの問題があり調和する音を判別することが難しくなってしまうという問題がある。

 5.7 Harmonic Fuzzy GUI部分(文責:田中)終
  5.7.1 成果
  前期成果物であるMusic FuzzyのGUIに関する問題点は、Max/MSP側で処理した音情報のパラメータをただ機械的に表示しているだけであり、エンターテインメント性も無く、ユーザが画面の情報から「自分が今演奏を行っている」と感じられなかった点である。この点解決する為に、画面上には実際に演奏した結果の情報以外にも、それに合わせた画面動作を置くことにより、ユーザが画面を見て、演奏を行っていると感じさせるよう試みた。またGUIではただ操作結果を出力すれば良いというわけではなく、分かりやすく表示するということはもちろん、その表示方法が効果的に目的とした感情を引き出せなくてはならない。その為、本作のHarmonic Fuzzyではユーザが画面を見て、演奏を行っていると感じさせる出力方法でなくてはならない。前期のMusic Fuzzyではこの点に関しては言及しなかった為、本作ではこの点に関して着手して制作を行い、画面の制作を行った。最終的にはこれらの要項を満たす、メニュー画面と実行画面、また操作の方法を説明したチュートリアル画面を制作した。

  5.7.2 仕様
  Harmonic FuzzyのGUIは前期の成果物であるMusic Fuzzyと同様に、Flashで製作を行った。基本原理も同様に、Flash内のムービークリップのフレーム操作によって場面の切り替えを行い、Action Scriptによる制御でMax/MSP間との通信を行い音情報のパラメータを得た。本作ではただ数値を表示させるだけでなく、実際にユーザがどのような演奏を行ったのかを伝える為、画面内の楽譜上に音符を生成する形で実際の演奏状況をユーザに伝えるように作成した。また、ただ結果を表示させるだけでは機械的であると判断し、演奏した音によって画面上に変化を持たせる仕様にした。前期と同様メニュー画面を作成したが、この他の実行画面だけではメニュー画面の意味が無い。その為、実行画面やプログラムの使用を説明するチュートリアル画面や、プログラムを終了させる終了画面を作成し、メニュー画面に意味を持たせ、多機能性を出した。また実行画面ではMax/MSP側から情報を受け取るだけでなく、Flash側からMax/MSP側へ情報を送信し、楽曲の再生、停止を行えるようにした。

  5.7.3 解決手順
 今回の制作物であるHarmonic Fuzzyにおいて、演奏によりエンターテインメント性を感じさせることは非常に重要である。なぜならば、今回の制作物Harmonic Fuzzyのコンセプトの一つに、初心者でも演奏を楽しむことできるというものがある。その為にユーザが演奏を行った際にユーザが、演奏ではなく操作をしている、または演奏でも非常に不可解であるなどと感じてしまってはコンセプトを達成することができないのである。その為に、画面上にエンターテインメント性を出すエフェクトを出力することで、ユーザに対しての視覚的にエンターテインメント性を出すことにした。その解決方法としては、画面上にユーザの反応を返すという方法を行った。具体的な処理のアルゴリズムは以下のようになる。Harmonic Fuzzyではまずユーザが演奏を行い、それに対して押されたnanoPADのボタンにより音の処理を行い、不協和音にならない音を出力するというものであった。その出力する音の情報をMax/MSP側から送られ、それを元にFlash上でフレーム操作を行うという方法で処理を行った。問題の出力方法に関してであるが、今回は2つの手法を用いた。まず一つ目は楽譜を表示させ、それの上に音符を生成するという方式である。まず実行画面上に音符も何も置かれていない状態の楽譜を生成する。そしてユーザがnanoPADを操作して音が出力されることで、そのMax/MSP側から送られてきた数値を元に出力すべき音符の種類及び位置を判別し、予め作成しておいた音符とそれの動作を複製し、制御通りの箇所に配置して音符を流すという使用である。これにより画面の楽譜上に、ユーザが演奏することによってその結果である音符が次々と生成されて流れていくというものになった。これにより、ユーザは演奏結果が楽譜という形でリアルタイムで出力される為に、ユーザはnanoPADの操作でも画面からの視覚情報によって、「演奏を行っている」という感情を誘発できると考え、これを作成した。
 二つ目は演奏の結果によるエフェクトの変化である。Harmonic Fuzzyでは、操作を行ったタイミングやボタンによって出力される音の種類が変化する。その為、前述した音符の出力位置と同様、音の種類によって場合分けをして、エフェクトを変化させることができる。今回の制作物のHarmonic Fuzzyでは演奏である為、出来るだけ
音楽に関連のあるエフェクトにしようと試みた。初期の段階では楽器の画像を作成し、それをユーザが演奏した音に合わせて動作するという方式であった。例えば、ピアノやギターなどの画像が画面上にあり、演奏することによってその楽器が音に合わせて動いたり、大きくなったり、音符を出したりするなどの演奏に対する結果の出力ではない反応を演出し、エンターテインメント性を出すという方式である。しかしながら、ただ楽器が画面上で変化するだけでは少々不足しているのではないかと考え、11月後半の時期に急遽エフェクトの仕様を変更した。最終的には、演奏を行っている人のムービクリップを作成し、それに対して音毎の変化を出した。具体的に説明すると、まず画面上には楽譜以外に楽器(今回ではフルート)を持った人物の画像があり、ユーザがnanoPADによって演奏を行い、Max/MSPが処理した音の種類によって、それぞれ異なる指使いによって楽器を演奏するムービーを出すという形式である。これによって、画面上でもユーザの演奏結果をただ単純に表示するだけでなく、画面上でも演奏を行うことにより、ユーザを視覚情報から演奏をしている気分にさせるように試みた。この制御は基本他の箇所で行った制御であるフレーム操作を使用していて、if文による場合分けにより作成した指の表示を変えて場面変えを行っているだけである。
 また、実行画面以外に作成したメニュー画面についても少し述べる。メニュー画面では3つの項目があり、ユーザが現在どの項目を選んでいるのかが判別できるなくてはならないので、テロップを流したり、ボタンに変化をつけたりといった工夫を入れた。なたこれはメニュー画面だけでなく実行画面に関しても該当する箇所があるが、操作の方法として今回はインターフェースの機器(今回はnanoPAD)での操作はあくまで演奏の箇所だけであり、それ以外の操作はマウスによって行う処理にした。その為、Action Scriptにてマウスからの操作に対応して場面の切り替えを行わせるようにした。またFlashからMax/MSPへの情報送信や逆側からの情報の受け取りに関しても、前期の制作物であるMusic Fuzzyと同様、該当する箇所をAction Scriptで制御するという方法を取り解決を行った。

  5.7.4 評価
  ユーザの演奏結果を画面上に出力することによって、ユーザに結果を視覚的に伝えた為、またその方法が数値などによる直接的な方式ではなく、楽譜や演奏している状況などの音楽に関連した方式によるものであった為、画面開発の当初の目的でもあった「ユーザに演奏を行っている気分にさせる出力」を行うことができた。また前期の制作物であるMusic FuzzyではただMax/MSP側からの出力結果を表示するだけであったが、本作では画面の場面展開の制御をそろえたり、また全画面で表示されるためプログラム終了の項目を入れたりなど、結果の出力以外の箇所の向上も行った。しかしながらいくつかの問題点もあるのも事実ではある。例えば、メニュー画面と実行画面との統一性が薄いという点である。11月下旬に出力画面のデザインの仕様変更があった為に、メニュー画面の修正が間に合わず、メニュー画面の箇所が旧デザインとなり、新デザインの方も旧デザインに合わせて作成は行ったが、若干のズレが生じてしまった。また、出力画面の構成に関しても問題が存在している。現在Harmonic Fuzzyの実行画面は楽譜が画面上部にあり、演奏に合わせて動作する人物のオブジェクトが中央にあるという形式であった。演奏中にユーザが見ていた箇所は、主に楽譜の箇所であり、人物が演奏を行っているムービーの箇所は位置の関係上あまり集中して見られなかったというもの問題である。そもそもこの人物の動作は指にしか変化が無いため、動きの変化が多少分かり難くなってしまっている。これらの点は単純にクオリティが多少低いという問題点ではあるが、エンターテインメント性をより引き出す為には、これらの問題点を解決するクオリティの向上が必要になっているのも事実である。

 5.a HarmonicFazzyを使用した実演技術の習得  //こんなん増やしてもよろしいですか?いろいろ突っ込んで頂けるとありがたいです(飯田)//
  5.a.1 成果
 最終成果発表会において、傍聴者に対して実演を行うことは、最も効率的にHarmonicFazzyの利点などを伝えることのできる手段のひとつである。しかし、まずは実演する我々がわかりやすい演奏方法を身につけなければ、この最終成果物のメリットを伝えることができないため、ある程度演奏方法を固定し、だれでも簡単に演奏できるような方法を考案した。

  5.a.2 仕様
 具体的には、曲全体のコード進行に合わせて、どの場所でどの音色を使い、またそれに合わせてどのような演奏を心がければよいかを明記した、いわばマニュアルのようなものである。今回は3種類の音色と、3段階の音程が使用でき、それらも紹介できるようにしなければいけないため、曲全体を3つの構成として考え、それぞれのパートごとに音色を振り分け、それにあったメロディをつけることができることが可能となった。

  5.a.3 解決手順
 前記したとおり、曲全体を3つの構成として考える。そしてそれぞれの部分に違う音色を設定した。
 まず序盤部分ではピアノの音を使用した。数ある楽器の中でもっともポピュラーであり、どんな楽曲にも対応することができるためである。またメロディをつける際は、単音を中心として、連続的なメロディをつけるように心がけることにより、よりピアノらしい演奏となった。
 中間部分では、木琴のような音を使用した。サスティンが短く一音一音がしっかりとした音色なので、このときはピアノのときよりもはきはきしたメロディをつけ、音数を多めにしながら単音と和音を織り交ぜて使用することにより、スタッカートの効いたメロディをつけやすくなった。
 終盤部分では、バイオリンのような音色を使用した。他の音色よりもやわらかく伸びのある音なので、音数を少なくしてゆっくりと長く音を奏でていくこととした。これにより、静かでゆったりとしたメロディを奏でることができた。
 以上のように、ボタンを押してから離すまでの音の長さが違う3種類の音色を設定することにより、様々な演奏方法が可能であるということをわかりやすく伝えることができるようになった。また、どれもオーケストラなどでも使われるような音色であることから、どんな楽曲にも違和感なくメロディを乗せることができた。

  5.a.4 評価
 最終発表会にて上記のことを意識しながら実演を行ったところ、閲覧者が発表終了後に記載する評価シートに「実演がわかりやすかった」などのフィードバックを多数いただくことができた。これは、今回の考察が成功したものと考えることができる。しかし、ある教授から「実演が慣れすぎているのではないか」との指摘もあり、今回のHarmonicFazzyの目的のひとつである、誰にでも簡単に演奏できる、という部分から少し離れてしまった。ある程度は仕方ないかもしれないが、その場で参加を募って実際に演奏してもらうなどして、誰にでも簡単に演奏できるが課題として残ってしまった。

 5.8 中間発表会(ゆっこ)終わーり
  5.8.1 成果
 中間発表会のために、展示用のポスターとプレゼンテーション用のスライド、メンバー全員のプ
ロジェクトTシャツを作成した。以下に図すうじ で今回のポスターを示す。また、このほかに
プレゼンテーションの練習、Music Fuzzyの実演の練習なども行った。
         「がぞう」
         図すうじ 中間発表会用ポスター

  5.8.2 解決手順
解決手順
 ポスターを作成するにあたり、読む人にわかりやすいように文章はなるべく簡潔に少なめにし、
図や写真を多く取り入れた。
 スライドも情報量が多くなりすぎないように、重要なところにポイ
ントをしぼり、なおかつ発表の順序をどうしたら聞き手にわかりやすいかを考えた上で作成した。
プレゼンテーションではMusic Fuzzyの概要を説明したあとに、実際の動作の様子を実演で披露
することにした。そのため発表の練習は、まずプレゼンテーションの練習をするメンバーと実演
の練習をするメンバーに分かれて行った。
 プレゼンテーションの練習をするにおいて、台本などを作ってしまうと棒読みのようになってし
まいがちなので、それを防いでより自然なプレゼンテーションを行うために、台本の 作成は一
切行わなかった。簡潔な内容のスライドの説明をうまくできているか、また、声の調子や大きさ、
スピードが聞き手にわかりやすいものになるよう全員で発表の練習を見せ合い、お互い注意し合
いながら練習を行った。質疑応答にも柔軟な対応が出来るように、全員で考えられる質問をし合っ
ていった。
 実演の練習をするにおいては、実演の際に使用する音源「愛の夢」を何度も繰り返し聞き、ピア
ノ版の楽譜を用意し、この曲のテンポやダイナミクスに関する情報をよく理解した。そして、テ
ンポや曲のどの場面でテンポまたはダイナミクスを操作すればより効果的に聞かせることが出来
るのかを重点に置いて練習をした。
 また、メンバー全員の統一感を持たせるためと、他のプロジェクトとの差別化をはかるために、
プロジェクトTシャツを用意した。自由な音楽をテーマとし、楽しくかつ個性を尊重したプロジェ
クトであるという雰囲気を出せるように、メンバー全員ひとりひとりのTシャツの色を変え、柄
は無地で統一した。

  5.8.3 評価
 ポスターやスライド、個々の出来としては良かったのだが、全体に統一感がなかったので、最終
発表では全体の統一感を考えつつ、発表の準備をしていきたい。プレゼンテーションも一部の人
だけがするのではなく、全員がしたほうがメンバー全員のプレゼンテーション能力や理解度の向
上に繋がると考えた。
 また、実演を行うため室内での発表になるため、発表場所がわからなかったという声もあったの
で、発表場所を示した貼り紙などをすると、もっとたくさんの方が発表をみに来て下さるのでは
ないかと考えた。


 5.9 成果発表会(ゆっこ)終
  5.9.1 成果
 最終発表会のために、展示用のポスター、プレゼンテーション用のスライド、入り口に設置する
プロジェクト紹介のためのスライド、道案内用の張り紙などを作成した。以下に図すうじ で今
回のポスターを示す。また、中間発表会のときの評価シートを参考にしたうえで、プレゼンテー
ションの練習、実演の練習なども行った。
 これらの準備を計画的にしておいたため、室内で人の集まりにくい場所での発表ではあったが、
たくさんの方に発表を見に来ていただくことができた。

       「がぞう」「がぞう」
      図すうじ 最終発表会用ポスター

  5.9.2 解決手順
 中間発表ではプレゼンテーションを行うメンバーと実演を行うメンバーに分かれて発表を行った
が、全員のプレゼンテーション能力とプロジェクト学習に関する理解度の向上のために全員が1
回ずつでもプレゼンテーションを行ったほうが良いと考えた。そのため今回は、理論班に実演の
練習を事前にしてもらい、プレゼンテーションの練習は全員で行った。ひとりひとり練習を行っ
たため時間を要したが、全員が人前で発表するという経験ができたので良かった。
 ポスターは中間発表と同じデザインで作成した。中間発表の際と同様に、文章は簡潔なものにし
た。そして今回は理論の面などで、口頭での説明では難しい点があったため、出来るだけわかり
やすい図で表現した。
 プレゼンテーション用のスライドは、この一年間の過程がわかるように、
本プロジェクトの目的、前期の成果、反省点、後期の目標、後期の成果が明確になるように順序
立てて作成した。
 また、成果物Harmonic Fuzzyのシンボルマークを作成したので、これをプレゼンテーション用の
スライドや、Tシャツのロゴ等に使用することにより全体に統一感が出来た。
 室内での発表のため、外から見ただけでは本プロジェクトの発表がわかりずらいという意見が中
間発表会の際にでていた。たくさんの方に発表を見に来ていただきたいので、外から見ても発表
を行っているということがわかるように、また、少しでも入りやすい雰囲気になるよう、発表を
行う教室の前にプロジェクターを設置し、プロジェクトメンバーの写真や本プロジェクトのキャッ
チコピー等をスライドにして投影した。本プロジェクト名と発表する教室の場所を記載した貼り
紙も作成し、教室の入り口に掲示した。

  5.9.3 評価
 発表準備はメンバー全員が協力し、中間発表会の経験も生かしてスムーズに作業することが出
来ていた。教室内に入りやすいように入り口に工夫をしたので、教室の後ろに立ち見の方が出る
ほど、予想以上にたくさんの方々に発表を見ていただくことが出来た。
 アンケートの内容によると、実演がすごく好評であった。プレゼンテーションは全員が行った
ため、厳しい評価もあったが全員がプレゼンテーションの経験が出来たので良かったと思う。ポ
スターは中間発表の際とほぼ同じデザインで作成し、文章の量や画像・写真の量は適切だったが、
今回はシンボルマークも作成し、全体の統一感という点ではもう少しデザインを変えるべきだっ
た。
 全体を通して具体的な成果物ができ、たくさんの方に本プロジェクトを知っていただき、おも
しろいプロジェクトの内容であったと評価をしていただくことが出来たので、発表会の目的は達
成出来た。
最終更新:2010年01月07日 15:56