クリムゾンの迷宮
1999
角川書店
貴志 祐介
★×4
黒い家は夢中になって読んだ覚えがあります。
で、あの作者さんだ~ホラー嫌いだけど面白かったしなーと思って図書館で借りて。
また夢中になって読んでしまいました。
先が気になるんだよー上手すぎるんだよーなんだろうこの感じ。読んでるときは楽しくても、閉じたとたんに現実にぱっきり返れる本もあれば。
この本みたいに、閉じた後まで気になる、読み終わったあとまで忘れられない本もあるのですね。
トクベツ文章が上手いとか(そりゃプロだから上手いんですけど上手くて当たり前だし)言葉がきれいだとかいうことはないのにぐいぐい引きこまれる感じ。
クセがない。
たとえば浅田次郎ならクセがあるし、数行見たらあの人だって分かるけど、貴志さんは分からない気がする。特殊な言葉とか特殊な視点とか特殊な思想は入ってなくて、でも長く読むと確かにあるがっしりした世界観。
この本の次に同作者の「
天使の囀り?」を読んだときに感じたのですけど、この人自分が全部やってきたように書くなあ…というかんじ。オタクな登場人物の行動とかがみっしり書かれてたりして。線虫についてもぎっしり語られてたりして。
そういうところからくる「作り物じゃないですよ感」に引きこまれるのかもしれません。
ホラー苦手だけどこの本は秀逸。
ラストはいまいちだっと思ったけどそこまでの作り込みゆえに点が下がらない素晴らしさ。
でも忘れられなくなるし、忘れるまでは食事に支障をきたしますので注意…
最終更新:2011年02月16日 13:34