感想(2011/02/05)
高校生のときに、狂ったように
小松左京を読みまくりました。
短編の“木静かならんと欲すれど”の一気に人を引き込む文章に衝撃を受け、手当たり次第に読みまくりました。
文章の力が圧倒的で、一行で世界に引き込まれるのに対して、長編になると最後によれよれになってしまうことがたびたびあるのを感じました。
この本はすごく売れた本です。
時代背景もあったのでしょうが、著者の新しい世代への見方が伺えるところが多い。
この本を読んでおくことで意味がよりわかる短編もたくさんあるので、小松左京を読むのなら抑えておいたほうがいい一冊です。
考えてみたら、もう40年近く前に出版された本なのに、ぜんぜん古さを感じない。
状況や用語に時代を感じることがあるが、小松左京独特のくどい位の独白もごくわずかです。
この作品を書くのに9年かけたそうですが、ほかの作品に比べるとかなり抜きん出ているのを感じられます。
2006年からビッグコミックスピリッツで連載された一色登希彦版の漫画があります。
この作品を読むことによって、画像的なイメージを強化してさらに深く読むことができます。
小説で表現しにくい映像的なイメージ、漫画で表現しにくい心理。
さらに、小説を下敷きにすることで、書ききれなかったことを書けている。
そう考えると、何もないところからこれだけのものを作り出したのはすごいことなんだと改めて感じた。
そして、改めて小松左京の偉大さを認識しました。
最終更新:2011年02月05日 23:54