感想(2014/03/23)
昔、
小松左京の作品と見れば手当たりしだい買っていた時期に時折紛れ込んでいたのが
小松重男の諸作品でした。
最初は“けつめど”あたりだったと思うが、この人の作品には江戸時代の食を乞う人たちが行ったさまざまな行為が取り上げられている。
というよりも、それを取り上げていない作品の記憶が無い。
常に庶民の側からの視点で作品が描かれている。
いわゆる人情物というカテゴリーに入るのだろうが、きめ細かい調査で江戸時代の背景をきちんと描写できているのがリアルな雰囲気を醸し出せている。
いや、人情物は食傷気味なんですよ。時代物の小説は大抵人情物じゃないですか。
この人の作品の何が良いかというと、長くないのが良い。
人情の押し売りが臭くなるほどじゃ無いのが良い。
その代わりに押し売り気味なのが、多種多様な乞食の種類の紹介。
作品ひとつでは感じないですが、まとめて読むとさすがにもういいやっていう感じになってしまう。
文章に嫌味が無いためさくさく読めてしまうために思ったよりたくさん読みすぎてしまう。
同じ文体でたくさんの別の話を読んでしまうのは余り良くないのかも知れない。
最終更新:2014年03月23日 16:28