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訪問実行~仔犬と狐~

訪問実行~仔犬と狐~

アズ―ルと二人だけだったランカの家に、チャイムの音が鳴り響いた。
「ん?お客さんかいな?珍しい…。」
「誰なんだろう…。」
そういうランカの声には、警戒の色が浮かんでいた。

インターホンの受話器を取り上げ、耳に当てる。
「はい。」
『あ、白波さんのお宅ですか?』
「そうですけど、そちらは…?」
『はじめまして、野乃 螺良華と申します!本日、妖怪の訪問活動ということで回ってまいりました!』
「妖怪の…?」

ドアを開けると、自分と同じ位の少女が立っていた。
いかせのごれ高校の制服に身を包み、頭には布製の帽子。黒い髪を高く結い、つぶらな瞳を向けていた。
ブランカ・白波さんですね?改めまして、野乃 螺良華と申します!」
「その制服、いかせのごれ高校の…?」
「はい。二年生です!」
「あ、それじゃあ、火波スザクさんとかと!」
「同じ学年ですよwクラスは違いますけどね。」

「それで、本題なんですが、アズ―ルさん、いらっしゃいますか?」
「んー?なんや?こっちに用事かいな?」
人間の姿のまま玄関に出たアズ―ルを見、少し首をかしげたが、直ぐに思いあたったかのように顔をあげた。
「貴方がアズ―ルさんですね!はじめまして!「百物語組第五八話」のノラです!」
「…あー!あんたが百物語組の!話はきいとるで!」

「え?アズ―ル、何か知ってるの?」
「最近何かと物騒やから、「百物語組」なる妖怪達が、いかせのごれ中の妖怪を訪問しとるらしいんや。」
「知ってるのなら話が早い!あ、これ、お土産ですw」
ノラが取り出したのは、タッパーに入った油揚げ。気を利かせた主が作ったものだった。
「ゴチになりますっ!!」


「…そんなことがあったんですね。アズ―ルも帰って来る時怪我しなくてよかった…。」
家の中に上がったノラは、ランカも交えて用件を伝えた。
最近の妖怪の現状、特にシン・シーの件を重点的に。
「だから、できるだけ多くの妖怪と知り合っておいて、妖怪としての繋がりを作っておこうということで、今回訪問させていただきました。」
ノラは帽子をとり、床に置いていた。頭に生える耳は、彼女が妖怪であることを裏付けている。

「何かあればここに連絡ください。何もなくても、あたしでよければお喋りでもなんでも付き合いますしw」
ノラは電話番号を渡した。
「ありがとう。態々ごめんね。」
「いいんですよ。あたしも知り合いが多いことは嬉しいですし。」

「そういうことですから、アズ―ルさん。外出の際には十分気を付けてくださいね。」
「分かったわ。ありがとなw」
「それじゃあ、あたしはこれで。スザクさんにはよろしく伝えておきますよ。」
ノラは立ち上がった。

「…ノラっていうたな?」
「はい?」
「ウチの前では敬語使わんでええで。堅苦しいのは苦手なんや。」
「…分かった。じゃあ、これからよろしくね!」
ノラは元気よく手を振り、ドアノブに手をかけた。


「…もしもし、主?ノラですっ。無事訪問完了です。アズ―ルさんとブランカさんと仲良く慣れました。」
『お疲れ様。ごめんね、まだ外に出るのも怖かっただろうに。』
「いやいや、いつまでも怖がってたら成長しないし!ちょっと遠めに外出する良い機会になりました!」
『それじゃあ、詳しい話は寺院でしようか。気をつけて帰ってね。』
「はい!それでは!」

――某日。第五八話、妖狐とその主の訪問完了。

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最終更新:2011年06月22日 19:36