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閻魔失格?

放課後。生徒たちの騒ぐ声が響き渡る中、獄王だけは変わらず屋上に寝転んでいた。
「…やはりここにいましたね、ゴクオーさん。」
屋上のドアが開き、一人入って来た。
高校に教師として復帰した音無 界夢だった。

獄王は体を起こし、界夢を見る。
「ん?やっぱりって…誰からきいたんじゃ?」
「ノラさんですよ。いつもここにいると聞いたので。」
「そうか。」
「授業中も此処にいるそうですね?駄目ですよ。テストがとれても欠点になるかもしれませんよ?」
「わかっとる。そんなことより…。」

「此処に来たのは、何の用じゃ?」
「それは…。」
「人間としての用じゃない。『百物語組』としての用なんじゃろ?」
「!」
界夢…カイムは驚いたような表情を見せる。
ゴクオーは「やっぱりの。」と一言つぶやいた。

「どうして分かったのです?」
「お前は言葉を大切にするからの。『生徒と教師』としてなら、わしのことを「獄王君」と呼ぶはずじゃ。が、さっきお前は「ゴクオーさん」と呼んだ。身分をわきまえる言い方はお前の場合『百物語組』のときじゃろう?」
「…流石ですね。その通りですよ。」
カイムは微笑む。その眼の色は既に血の色と化していた。

「…それで、何の用じゃ?」
シン・シーの件です。主が心配していました。彼がこのいかせのごれで動きだした事、貴方は気にしているのではないかと。」
「…。」
「…図星、ですか。」
カイムはため息を吐いた。

「…恨んでますね、彼のこと。」
「恨んどるわけじゃない。ただ、人外が心配なんじゃ。」
「気持ちは分かります。しかし…。」
カイムは一度言葉を切り、ゴクオーを見た。
「暫くは動くべきではありません。」
「!」

「彼は強い。今のままでは僕ら百物語組は誰一人として敵いません。今は様子を見るしかないのです。」
「そんなことしておれば被害が…。」
「「第九九話」の貴方も、主がいなかったとはいえ一度負けているんですよ。」
「…っ。」
「感情的になるなんて、貴方らしくもありません。せめて、頭を冷やしましょう。」
なだめるも尚苛立つゴクオー。
「全く…。それでも「閻魔」ですか、貴方h」

「その「肩書」でわしを呼ぶな!!」

一瞬にして張り詰める空気。
ビリビリと音を立て、地が震えるのを感じる。
カイムはゴクオーの気迫に気圧され、力を発動していないのに「地獄」を見た気がした。

「…!」
はっと顔をあげ、ゴクオーはカイムを見る。
カイムは黙って、首を縦に振った。
「…すまん。つい…。」
「いえ、僕もうっかりしていました。」

「とにかく、今は出方を伺いましょう。不安なのは僕も同じですが、無駄な動きで被害者を増やすよりましです。」
「…そうじゃな。」
「…それでは、僕はこれで。」
カイムはドアノブに手をかけた。

「…カイム…。」
「分かってますよ。その擦過傷の理由も、過去も、貴方が僕を信頼して聞かせてくれたものですからね。口外は決してしません。命にかけても。」
「…お前が仲間で、本当に良かった。」
「それは此方の台詞ですよ。」
カイムは微笑み、校舎に戻って行った。

「…ありがとう、カイム。」

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最終更新:2011年07月01日 22:13