「あっはっは、そっかー。例の『13番』を取り逃がしちゃったんだ。」
「笑っている場合ですか、ロビン副所長。帰ってきたのが収容番号1313ではなく、
落ちこぼれの看守に使えない駄犬が10匹、笑い事で済まされませんよ。」
「ダガー君、君が言うと『スカーズ』が本当に可哀想じゃないか。」
「駄犬は駄犬です、人一人も食い殺すどころか傷をつけることも
出来なかったのですから。」
「でも、生きて帰ってこれただけ彼らは運が良いと思うよ?
あの様子だと彼が会ったのは『マサキ』ではなく、『マリ』みたいだしね。」
「『マサキ』だったら二階級特進・・・といったところですか、犬も共々に。
しかし、運が悪いことにアレを取り逃がしてしまったことでシギ看守長に
どんなに酷い虐めを受けるのか・・・私では理解しかねます。」
「それはシギ君が帰ってきてから見ることにしようか!」
「イキイキしてますね随分と。」
「さて、彼の処遇はおいおい楽しみにすることとして・・・『13番』については、
・・・んー、しばらく様子見ということにしておこうかな。」
「様子見、ですか?」
「ああ、今のところ放っておいても大丈夫。『マリ』なら一応害は無いからね。」
「・・・何故それが分かるのですか?」
「ヒ・ミ・ツ。」
「・・・・・・・・・」
「視線が痛い・・・と、とりあえず、ダガー君には別の任務に向かって貰うから。」
「『13番』とは別にですか。」
「そんな怪訝な顔をしなくても・・・確かに
カルーアトラズ刑務所から脱走者だなんて
世間に知られたら大恥になるだろうけど、これは所長の意向だから僕達は何も
心配しなくていいんだよ。」
「所長が・・・?」
「そう、だから僕らは黙ってそれに従ってれば何も問題は無い。」
「・・・そうですか。」
「何か不満でも?」
「いえ、ありません・・・今までもそうでしたからね。
・・・それで、別件の内容についてですが、」
「あぁ、君には近々いかせのごれに行って貰うよ。」
「いかせのごれ・・・アースセイバーへの定期情報交換はもう済んでいるのでは?」
「アースセイバーじゃなくて、
ヴァイスの方だよ。と、後は自称正義の味方さんかな?」
「誰ですか、それは。」
「最近、ヴァイスに代わっていかせのごれで活動している能力者らしいんだ。
といっても、ヴァイスの活動が少なくなっているだけなんだけどね。
基本、いかせのごれの問題はアースセイバーに一任してるけど、
先日こちらに通報してきた人がいて、世間の皆様の声を無視するわけにもいかないから、
君には彼を捕まえて、出来ればこっちに寄越してきて欲しいんだ。」
「こちとら警察と違うんですがね。」
「まぁまぁ、一応公的機関なんだから声も聞き入れてあげないと。それに、
彼らも一応能力者だから、研究部への良い手土産になるんじゃないかなって思うけど?」
「・・・はぁ、分かりました・・・。ちなみに、それは私一人でしょうか?」
「いや、シギ君の時と同じく何人か同行者をつけとくよ。」
「それは有難いです。」
「じゃあ、出発は3日後、それまで準備しておいてくれ。
頼んだよ、ダガー君。」
「了解致しました。」