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朱鷺と優夢の処分

 トキコがその話を聞いたのは、同グループに所属する紅雷鈴からであった。

ユウムちゃんが処分?」
「うん、そうらしいんだよねぇ」
「なんで?」
「なんでも、能力者であるお友達を殺そうとしたんだけど失敗したいみたい。」
「………」

 お友達、と聞いてトキコが真っ先に思い浮かんだのは、ゴスロリの少女と、
彼女達と仲の良いヘアピンの少女であった。どちらとも、アナボライザーだ。
二人はアースセイバーではないが能力者である以上、後にホウオウグループを
脅かす存在にならないとも言い切れない。アースセイバーに転身してしまう前に、
どうにかするのはもっともな判断だが…

「血迷ったね、あの子。」
「ん?」
「ううん、なんでもない。それで、そのことはレイくんには言ったの?」

 トキコの言うレイという人物は、紅雷令のことだ。
チャラついた外見とは裏腹に鈴と同様、おっとりとした性格の少年で、
巧妙な策士という一面を持った、悪夢持ちの能力者だ。
噂によればホウオウグループの実験に巻き込まれ死んだらしいのだが、奇妙なことに、
そんなことがあったにも関わらずホウオウグループに所属していうのだ。
そしてこの少年は、同グループに所属しているユウムに片思いをしているらしい。
だからトキコは気になって鈴に聞いてみたのだが、彼女は首を横に振った。

「いや、まだ伝わってないみたい。」
「ふーん…聞いたらショック受けるんじゃない?」
「かもねぇ…」

 困ったように鈴は笑い、それで、と彼女は言葉を続けた。





「トキコちゃんはどうする?」
「私?」
「うん、だってトキコちゃん、ユウムちゃんと仲が良かったじゃん。
…見過ごすのかなーって。」

 そう言って目を細めた彼女の眼には、警戒の色。
おそらく彼女の友人であった自分が助けに行くのではないかと考えているのだろう。
確かにユウムはトキコにとって、友達だ。グループに所属していて初めて出来た同年代の、
しかも同性の友達で、グループの関係者というだけの括りでは済まされなかった。
自分が傷付き痛んだあの時、彼女は仲間として心配してくれた。それだけではなく、
学校にいた時だって普通の友達として接してくれた。だから、彼女は紛う事なき友達だと言い張れる人物だ。

…しかし、所詮それだけのことなのだ。

 トキコはクス、と笑い、鈴に告げた。

「見過ごすわけないじゃん、けど、今回の任務はサイナが引き受けたんでしょ?」
「そうだねぇ。」
「だったら、私は傍観しているよ。」
「傍観?」
「そう。」

 トキコが一層笑いを深くする。
彼女の未来を予想したのか、耐え切れずに笑いを零していたのだ。

「そりゃあ、ユウムちゃんは許せないよ…ホウオウ様を『裏切った』んでしょう?
ホントなら私の手で八つ裂きにしてやりたいところだけどさ、私はユウムちゃんのお友達だから
そんなことしてあげない。だってさ、幹部ならともかく友達に殺されるってどういう気分だと思う?」
「…んー、どうだろう?」
「人にもよると思うけどさ、きっと悲しいよね。」

 彼女の脳裏に写るのは、麒麟の化身であるあのお人好し。
彼がすべてを知った時、一体どんな表情をするのだろうか。

「だから、私は動かない。でもそれじゃあ楽しくないから、代わりに見させて貰うの。」
「何、を見るのですか?」
「そんなの決まってるじゃない、」

 怪訝な表情を浮かべる鈴とは対照的に、とても楽しそうにトキコは言った。


「ホウオウ様を裏切ったあの子の末路。」








朱鷺と優夢の処分


怒ってないよ?

だって、ホウオウ様が決めたことなんじゃない。

それに、それがユウムちゃんの答えならば、

私はそれを「ホウオウグループ」として

受け止めてあげなくちゃいけない。


もちろん、

助けたりなんか、しないから。


(朱鷺の友人であったはずの彼女が)
(朱鷺の玩具(テキ)になってしまった)

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最終更新:2011年07月19日 22:11