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姿探しの赤い人

その男はいつもの通りとあるビルの屋上に佇み、薄暗い裏路地を眺めていた。
「…もうすぐ7時か。今日もとうとう来なかったな…。」
懐中時計を眺め、男はため息を吐いた。

この男、今では世界のほとんどに忘れ去られた存在。
全身を赤一色に染め夕闇を駆けまわり、惨殺を行う「子供に恐れられる」存在だった。
名前を名乗るならば今はエトレクと名乗るだろう。
本当の名は「怪人赤マント」。かつては都市伝説。今は「百物語組第二五話」だ。

寺院に帰るなりヨシエが玄関口に来た。
「おかえりなさい。今日はどうだったの?」
「…駄目だった。あの女の子どころか、人っ子一人とおりゃしねぇ。」
「まぁ、そうだろうとは思ったわ。早くあがりなさい。ご飯、できてるわよ。」
「ありがてぇ。早速いただくよ。」

彼は今、人を探している。
それはかつて都市伝説として活動していた時だ。
自分の名前を忘れられていき、自信を喪失していたが、そのことを隠して子供を襲っていた。
そんなとき、一人の少女に出会う。

彼女は自分の「絶対選択」を受けながらも、問いの答えを言わなかった。
それどころか自分に自信がない事まで見抜いてしまった。
その時は衝撃と恥辱ですぐに逃げ去ってしまったのだが、時々彼女の元を訪れてはとりとめのない話をしていた。

しかし、一時期鬼門に返還され、彼女と離れ離れになってしまう。
「存在」へと戻った彼は、それでも彼女の笑顔を忘れることができなかった。
そして彼の「存在」は主の力に寄り「百物語組」として再び召喚されたのだった。

「…とはいうけどねぇ、あんた、それ何年前の話よ?」
ヨシエに問われ、エトレクははたと立ち止まった。
「そ、そうだなぁ、確か呼び出されたのと時間の流れと計算して…、10年くらい、前か?」
「覚えてるわけないじゃないの!それに万一覚えていたとしても、10年もたてば見た目もかなり変わってるわよ!」
「そ、そうなのか?」
「…あんた、考えてみなさいよ。7歳と17歳よ?」
「…ああ…;」

「まぁ、仕方ないわね。次からただ単に待つだけじゃなくって、ちゃんと動くことも考えないと。」
ヨシエはエトレクの頭をかるく叩きながら言った。
「そうします…。」
「ほら、へこんでないで、早くご飯にしましょ?」
「はーい…。」

彼は知らなかった。
自らが逢えなかった約10年の間に、探し求めている少女が如何なる人生を歩んできたのか。
そして今、何処で何をしているのかさえも。
知っていることは一つだけ。

「たしか、名前が…ブランカとかいったっけな…?」

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最終更新:2011年07月29日 19:48