<………>
―――また呼んだのかあ。
真っ黒な、闇だけの空間。
そこに傍観者、神江裏 灰音は無表情のまま突っ立っていた。
とそこへ。
《久し振りだね、”わたし”》
<………>
後ろを振り向いた神江裏 灰音の視界に、自分と顔が瓜二つの少女が入る。
ただ、神江裏 灰音と違い、髪は茶色で彼女よりも長く、瞳も桜色をしていた。
そして、
神江裏 灰音とはまた違う、心の底から笑ってる様な笑みを浮かばせている。
《この前から、2週間ぐら―――》
ザクグシャザスッ
<そんな笑みを見せるな、気持ち悪い>
言い終わる前に、神江裏 灰音は目の前の少女に向かって、何本もの鋏を投げ刺していた。
顔は笑っているが、言葉は辛辣さを帯びており、普段は空っぽの灰色の瞳にも、憎しみと怒りが秘められている。
片手にナイフを持ち、倒れた少女の元に歩み寄る神江裏 灰音。
《はは、ごめんね…》
<謝ったって許さないよ>
<カスが>
と、ナイフを少女の額にぶっ刺した。
《…ねえ。こんな事して苦しくないの?》
<ああ苦しいさ。カスな君がいるせいでね>
ザクッ
《どうして、そこまでして、自分を殺すの?》
<カスだからに決まってんだろーが>
ブシュッ
《もう、やめ…ようよ、あな…たが苦し…いだ、け、だよ》
<ならさっさと死ねば?>
グシャッ
《わた…し…嫌…だ…よ…》
<知るか>
ザシュッ
《………》
<よし、これでもうしばらくは呼ばれないね>
鋏やナイフやフォークなどで少女を無惨に刺し殺した神江裏 灰音は、その場を後にしようとする。
とその時。
《待…って、”わたし”》
<………>
《わたしね、あなたが苦しむのは嫌なの》
<…だから?>
《絶対に、助けてあげるから》
<………>
つかつかと少女の元に戻る神江裏 灰音。
そして―――。
ガスッ、ブシャッ
<何が助ける、だって?>
<どうして神江裏 灰音が、君を反吐が出るほどに嫌ってるか分かる?>
<そうやって平等という名目の、愚かな優しさで、誰彼構わず助けようとするからだよ>
<傍観者と”わたし”>
<”わたし”はその愚劣な優しさ故に>
<正義と悪に振り回され>
<しかしそれでもそうしてきた>
<そんなカスは、死ぬに限るだろう?>
最終更新:2011年08月21日 13:49