「ストラウルでまた騒ぎが…?」
休日のある日。自宅で新聞を開いていた幹久朗は、地域面の記事に眼をつけた。
「まだ定期報告が来る前だから知らなくて当然なんだろうが…。」
小さな写真がついた記事を読む。
今迄に起こった大騒ぎほどではないが、ストラウルの一角がまた荒れているという。
写真は見なれた灰色。建物に大きくひびが入り、コンクリの塊やら血やらが散乱していた。
「…たく、これだから人工物は好きになれな…ん?」
ふと、幹久朗は写真の中央に妙なものを見た。
建物の罅から何かが出ている。青い小さな何かのようだが、それが何なのかは小さすぎて分からない。
(…が、ナイフとかそういう類じゃなさそうだな…。)
だとするとどうして、と彼は疑問に思った。
これだ小さいのだ。ナイフはおろか、所謂凶器にしては小さすぎる。
これは一体何なのだろう。どうして壁にめり込んでいるのだろう。
「…新手の能力者の可能性もあるな。ウスワイヤに相談して一度現場を見にいった方がよさそうだ。」
彼は立ち上がり、電話に手を伸ばした。その時。
『…もしもし、
幹久朗さん?』
行き成り頭の中に声が響いた。彼は顔を上げ、声の主の名をよんだ。
「主?どうしたんだ急に?」
『報告だよ。昨日ゲンブさんがこっちに来て…。』
「つまり、シフト組むから予定を開けておてくれと。」
『ごめんね。でもできるだけ全員そろった方がいいんじゃないかなと思って。』
「了解した。
アカノミにも伝えておく。」
『あ、それで今日、ゲンブさん達がアカノミのもとに向かうって!』
「そうなのか!了解、ありがとう!」
通信を切るなり彼は鞄をひっつかんで外に飛び出した。
(ゲンブさんが来るならそのついでにストラウルの件は話すことにするか…。)
深い森を抜け東の平原に出るなり、『友人』は嬉しそうに枝葉を僅かに揺らした。
「アカノミ!今日、流也さんが皆を連れてくるぞ!」
『本当!?わぁ…!』
人の姿へと変化したアカノミはもどかしそうに手袋をはめた両手を見る。
「『東』にこの姿見せるの初めてだからなぁ…。驚かないかな?」
「大丈夫だろ。それに、そのほうが意志疎通しやすいだろ?」
さぁもうすぐだ、と幹久朗は遠くを見ながら言った。
最終更新:2011年09月07日 19:28