ゲンブと警戒シフトの話し合いの日時を調整し、スザク達と別れてから幹久朗は一度
アカノミの元に戻った。
「すみません、本当、たまたまそこにいただけだっただけなのは分かってたんですけど;」
『いいのよ。私も一度この子と話したかったしね。』
頭を下げる幹久朗に
サクヤは手を振る。
「それでは、ありがとうございます。」
『ええ。おやすみなさい。』
サクヤはそういう(?)と、消えるように立ち去った。
『…凄いなぁ、あの人…。』
ぼんやりとアカノミは呟いた。幹久朗は顔を上げる。
「…いいもの、見せてもらったようだな。」
『うん!あのね、すごく大きくて綺麗な桜の樹!2000年くらい生きてるんだって!』
「2000年も!?はぁ、道理でああいう物腰なわけか;」
「…それにしても、今日はいい日になったな、アカノミ。」
彼は巨木に微笑みかけた。
「今までお前と話せるのは俺一人だったのに、気がついたら沢山友達ができたな。良い限りだ。」
『本当に、今までの時間があっという間だったなぁ。』
感慨深そうなアカノミ。その声色は心底うれしそうだった。
『僕、もっと世界を勉強して、皆ともっとお話ししたい!』
珍しい、アカノミがこんなに積極的になるとは。
これもアカノミの中でなにかが変わりだしている証拠なのかもしれない。
「ああ、そうだな。」
幹久朗は笑って見せた。
日は沈み、細い月が白く光を帯びる。
結局宿が見つからなかった太陽は、公園のベンチに寝転がりながら携帯をいじっていた。
「手掛かりは殆どなしか…。次のターゲットさえ分かれば動きやすいんだけどな…。」
言うまでもない。仕事の事だ。
「ターゲットの動きはいずれも不定期で神出鬼没か。一番疲れるパターンじゃねぇかよ…。」
しかも数が多いんだよ、上の馬鹿ぁ!と一人虚しく叫びながら彼は寝転がった。
とはいえ仕事ならば仕方が無い。彼は上空の細い月を見上げた。
「…俺の道は、これで正しいのかな…。」
ふと、そんな考えが頭をよぎった。
若気の至りで親に反抗し、刑事の道を今まで進んできた。
しかし、闇雲に進むうちにその親は命を落とした。
親孝行の一つもできずに。
彼にとっては深い傷となった。
だから彼は家族の話を嫌がってしない。
それにはもう一つ理由があるが…。
「…Zzz…。」
刑事としての自覚があるんだかないんだか。
太陽はそのまま寝息を立てていた。
細い月が昇る頃
「…いっきし!」
やっぱり荷物なしで野宿はするもんじゃないと、明け方に学んだ太陽であった。
最終更新:2011年09月27日 10:48