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ストラウルのひと騒動

「闊歩!絶対スピード落とすな!」
「そんなこと言われなくても分かってるよ!」
ストラウル跡地を縫うように、一台のスクーターが走っていた。
乗っているのは二人。ハンドルを握るのは闊歩、その後ろに座っているのは由衣だ。

ハンドルを握るとスピード狂になる闊歩。現にスクーターの速度は150を超えていることだろう。
公道でなくとも由衣はスピードを落とせと警告するが、今この時はそうはいかなかった。
ちらりと由衣は後ろを見る。
後方上空には、物凄いスピードでスクーターを追う「鳥」が見えた。

「何でこんなところをガルダが飛んでるんだよ!」
実際に見るのは初めてだが、アースセイバーの先輩である蒼崎 啓介からその存在はきいていた。
小さな鳥型のホウオウ兵器。口や羽から石化する光線を放ち、高速で突っ込むそうだ。
たまたまストラウルに立ち寄ったが最後だったらしい。
上空を飛んでいたガルナに見つかり、今に至る。

「あれも『おかしな人』か何かなの?」
「いや、ありゃ能力なんかじゃねぇ。でも、このままじゃただじゃすまn…あっ!」
ガルダが光線を放った。スクーターの後輪にあたって動きが止まる。
そのまま二人は前に投げ出された。

うまい具合に着地したのはいいが上空で鳥型の機械が眼を光らせている。
「ひ、ふ、み…全部で7体。ここからじゃ僕の攻撃はとどかないね。」
「何でそんなに冷静なんだよ、お前は!」
「あのスピードだよ。逃げても追いつかれる。だったら自力で撃ち落とすしかない。」
闊歩は小石を拾い上げた。
由衣は舌打ちをすると、上空を見上げながら右手に砂鉄を集め出した。

一斉に放たれた光線を下がってかわし、由衣は針を放った。
しかし、驚異のスピードでガルダは簡単にかわしていく
後ろ側は闊歩が対応するが、これも状況は変わらない。
ぐるりと囲むようにガルダは上空を舞う。
一進一退もしない戦況に、由衣と闊歩は少しずつ体力を削られていく。

「はぁ、はぁ…。」
「由衣…、大丈夫?」
「ああ…っ!」
容赦なく振りかかる光線を避けるのも、次第に鈍くなってきていた。
視線は低くなり、足元を見るのに手いっぱいになっていく。

その気配に彼は気付いた。
膝をつきかけた一瞬を狙って、光線が放たれたのを。
疲れ切った体も頭も殆ど動かない状況で、彼にとれた行動は一つだけだった。
彼は後ろの体を突き飛ばしたのだ。

眼の前にて倒れ行くその姿を、信じられずにいた。
体は自由を奪われ、灰色に染まる。
その一瞬後、倒れる前に小さな鳥が灰色の体を貫いた。

「闊…歩…?」

投げ出された由衣には、その光景はスローにみえた。しかしながら体は動かなかった。
瓦礫と化した体の破片が眼の前に転がった。
「な…んで…?うそだろ…?」
素直に感情は現れず、ただうわごとのように呟く。
体から力は抜け、動かなかった。

ガルダが宙を舞い、喉の奥を光らせた。
由衣はそのまま崩れ、前に伏せる。
正確に狙いを定めた1機が、その青い髪に向けて、一筋の光線を放とうとした。


――直前だった。


金属の破壊されるような音が由衣の耳に届いた。
そのすぐ後に眼の前に何かが落ちる音。
顔を上げると、鳥のようなロボットが眼の前にあった。
方羽だけが、石だった。

同じ音が背後から2発、3発。
その音に思わず振り向いた由衣は、絶句した。
「あってはならない背」が、そこにあったのだから。

「…手を、だすな。」
おもむろに上げた指先に光が集まる。
その光が放たれると、上空にいた最後のガルダがくるくると不規則に回りながら墜落した。
それを見届けると、前に崩れ落ち、そのまま眠ってしまった。

「…あれが…。」
よく似た現象を、彼女は知っていた。
現に一度、自分の身に起こった現象だった。
どうするべきなのだろう。彼女は暫く悩んだが、とりあえずアースセイバーに連絡しようと携帯を取り出した。

「…もしもし。…ナイトメアアナボライザーです…。」


ストラウルのひと騒動


「どうして…?あの子はアナボライザーじゃなかったのか…?」
絶句する彼らは気がつかなかった。
後ろから来る、男の存在に。

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最終更新:2011年09月27日 11:02