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それは奇妙な偶然か

「…そう。わかったわ。今日はウスワイヤで休みなさい。明日はちゃんと時間どおりに学校に行くこと。闊歩君は様子を見てからね。」
亜音はそういい、お休み、と一言言って電話を切った。
最近色んな事が起こり過ぎている気がする。
まして、ヴァイスからかくまうつもりで保護した闊歩が一度『死ぬ』とは思ってもみなかった。

「原因が何か調べる必要がありそうね。まぁ、今回はガルダだからホウオウ絡みだろうけど。」
亜音は手早く店じまいを終え、上の階に昇ろうとした。
その時、上から慌ててノアが降りてきた。

「姉さん!いるか!?」
「わわっ、どうした、乃亜?」
「乃流の様子が…。とにかく来てくれ!」

半ばノアに引っぱられながら亜音はドアを開けた。
そこにいたのはノルン…のはずだった。
「…!?」
亜音はそれを見るなり驚き、絶句した。

今の中央で茫然と立ち尽くす男。
その姿はノアと瓜二つで、髪の癖が逆なだけだった。
「…ノルン、あんた…。」
亜音の声に男は気付き、おもむろに此方を向くと力なく微笑んだ。

「…姉さん…。」
「あんた、その姿どうしたの!?」
「…すみません、姉さん。疲れたので寝てもいいですか?」
亜音の質問が聞こえなかったのか、ノルンはふらふらと自室に戻って行った。

「…乃流…。」
姉は止めず、静かに彼を見ていた。
「…ノルンの奴、どうしたんだ?」
「多分、相当響いたんじゃないかな。暫く部屋から出てこなかったし。」

「あいつが『戻ってる』ってことは、今はろくに能力も使えないほど傷ついているんだろうな。」
ノアは以前見た幼いころの写真を思い出しながら言った。
あの写真に写る自分とノルンは瓜二つだった。聞いたところ、一卵性双生児らしい。
ということは、成長しても姿は変わらない筈だ。

今までは自分の姿が分からなくなっていたノルンが自らの容姿を作っていた。
しかしそれが自分とそっくりになっている。
鏡がそこにあったのかと最初疑ったほどだ。
ということは、今完全に能力が使えていない状態になる。

「…乃亜、明日は学校休んで。」
「姉さん?」
「乃流の様子を見ておいてほしい。あのまま放っておくわけにはいかない。」
「…分かった。」
乃亜は頷く。亜音はそれをみると、ポケットから何かを取り出した。

「それと、乃流にこれ、渡しておいて。」
「これは?」
「乃流は元々弱視でね。能力を使えばろくに見えてないはずだろうからね。」


それは奇妙な偶然か


乃亜は眼鏡を受け取り、部屋へと入って行った。

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最終更新:2011年09月27日 19:00