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戦いのあとに-ユウムとスイネ-

白いベッドに、白い壁
マナコの部屋は病院のように無機質な感じがする

それとは対照的に、黒い本棚に目を向ければ本がたくさんあって、
まるでインテリアのように部屋を彩っていた

ユウムとマナコはその白いベッドに腰を掛けている

マナコは細く白い手に、とても片手では持ちきれないような分厚い本を、まるで機械のように規則的に音を立てながら読んでいた
ユウムは暇そうにぼーっと白い壁を眺め足をぶらぶらする
たまに本棚に目をやったり、マナコの読んでいる本をちらっと見てみたり、マナコの長い髪をまじまじと見つめていた

「・・・」
パラッ
「・・・」
パラッ

白いベッドが軋むと、ユウムが立ち上がった

「・・・、あたしちょっと外出てくる」
「え、そんな・・・」
「そんな、ってマナコが本読んでるから暇なんだよー!」
「・・・ごめん」
「まあ、兎に角、外出てくるね」
「うん・・・」

白いドアの金色のドアノブに手を掛けて廊下へと出た

廊下に出ると、車いすに乗った青い髪のオッドアイの少女が居た
ファスネイ・アイズ 人工神同士の交配実験で生まれた「奇跡の子」

スイネがかつて、ホウオウグループにいたことは知っていた
ユウムはスイネのことを「ホウオウ様を裏切った悪者」だと認識していたが、学校へ通い始めた時からユウムはそんな感情を忘れた

「スイネちゃん・・・」
「ユウム、貴方、サイナに追われてるんですって?」
「・・・うん、そうなんだ。あたしホウオウ様に言われたこと、実行できなくて」
「・・・ユウムは、」

「ユウムはホウオウをどう思ってるの?」

すぐに浮かんだモノは

「大好き」

その「大好き」は恋愛感情としてのモノじゃなく、例えるなら親に対しての「愛情」




小さい頃、母親から虐待を受けていた
父はいない
恋人であった頃に、子供が出来たことを伝えると姿をくらました。最低な父親だ
ユウムは毎夜毎夜、仕事から帰ってくる母親に殴られ、暴言を浴びせられ、ろくに食事も与えず、綺麗な服を着させられなかった

ユウムは、両親からの愛情を知らなかった

ある夜、ユウムが寝ている間に母親は台所から包丁を持ち出し
幼いユウムの身体へとソレを突き刺した

血は赤く、小さいからだから溢れ出た
母親は、嬉しそうにやったと言わんばかりに笑みを浮かべた

母親は血まみれの服を洗濯しようと、洗面所へ向かい服を洗濯機へ投げ入れた
手も血まみれだったので、手を洗おうと鏡付きの洗面台に向かった
その鏡に映る、小さな影が一瞬見えた

ユウムだった

目を見開いて、母親を睨むと母親はその場へ倒れ込み、眠りについた

ユウム自身が刺された包丁を手に持つと、母親の胸へと突き刺した

血だらけの手と、血まみれの服

その時のユウムはそんな物を見ても何とも思わなかった

家を飛び出し、暗い夜道を雨が降っている中、ゆっくりと歩いた


街頭付きの電柱の下へ座り込んだ
ユウムは俯いた

次の瞬間自分の視界が影に包まれた
何事かと思って、上を向くとそこにいたのは

優しい顔をした一人の青年「ホウオウ」が傘を持ち立っていた

それからユウムは、ホウオウに拾われホウオウグループへずっと居る


「ユウムはホウオウに拾われたんだったわね」
「うん」
「ホウオウが好きなのね、親の様に」
「うん」
「ユウムはこのままで良いと思っているの?」

『このまま』

ホウオウからの命令を上手く実行できずに、愛するホウオウの命令によって殺される

「このまま・・・」

どうすれば、
どうすればいいんだろう

「本当はどうしたいの?ユウム」
「・・・わからない」
「時間は貴方が思っているより少ないわ
 出来るだけ早く決断しないと・・・」
「うん、・・・わかった、ありがとうスイネちゃん」

スイネはゆっくりと車いすを動かし、廊下の奥の方まで向かっていった

「あたし、どうしたいのかな・・・」

ホウオウ様は大好き
でも、ネイちゃんやマナコや、みんなを傷つけることは出来ない、したくない

でも、そうしたらホウオウグループのみんなを裏切るしか無くなる・・・
トキコちゃんやリンちゃんやレイも傷つけたくない

どうしたらいいの?

「一旦、外に出て頭でも冷やそうかな・・・」

出入り口へと向かって、外へ出た
外の空気は頬を突き刺す様にひんやりとしていた

「少し、寒いなぁ」

遠くを見ると、見慣れた景色がうっすら見えた

「・・・随分と余裕そうね、ユウム」
「! サイナ・・・」

背後から突然現れたサイナ
ユウムはサイナの気配を感じ取れなかったのか、驚いた様に振り向いた

「もうそろそろ、貴方を処分してしまわないとホウオウ様がお怒りになるのよ」
「・・・決めた。」
「・・・何を決めたの?冥土の土産かしら」
「違う、」

ユウムは手に意識を集中させ槍を作る



「私は・・・」


戦いのあとに-ユウムとスイネ-

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最終更新:2011年10月08日 14:04