「ん・・・」
朝。
カーテンの隙間から朝日が差し、その日光に当てられて私は目を覚ました。
目を擦りながらベッドから降りると、なーさんが濡れたタオルを私に渡してくれた。
「んー、ありがとう・・・」
それでゴシゴシと顔を拭けば、まどろんでいた意識もようやく覚醒する。
現在時刻は午前8時25分。・・・まずい、明らかに約束の時間から時間が過ぎてる。
「・・・まぁ、いっか!」
今準備して行けば万事解決でしょ!
・・・と考えていたら、それを読まれたのか横からなーさんのツッコミを受けた。
地味に、痛い。
ふと窓際を見れば、他の子達は協力してカーテンを開こうとしている。
それを手伝おうと後ろから手を添えて一気に開いたら、彼らはぴゅーんとどっかに
飛んで行ってしまった。・・・ちょっと、申し訳ないことしたかな?
そんなことを思いながらベランダへと出ると、気持ちの良い風が吹いてくる。
本日快晴、相変わらずいかせのごれは平和です。
「さて、今日も取材頑張るかー!」
勢いよく声を上げたら隣の住人から苦情が入ったのはここだけの話。
八十神千鶴の華麗なる一日
「朝」
「で、そこから着替えやら準備やらで時間をかけて九時になったと。」
「あはは・・・サーセン。」
朝の
レストラン。
人の少ないこの時間帯は朝ご飯を食べるのにはまさにうってつけ。
私は待ち合わせをしていた
ソウヤ君とふたりで朝食を取っていた。
彼は不機嫌そうに目玉焼きをつっつきながら、私を睨んでくるけど、
女の子の準備って時間がかかるのはデフォルメだから仕方ないよね!
…なんて考えてたら、見透かしたように一層不機嫌そうにこう呟いた。
「あなたは少し相手側の気持ちを考えた方が良いと思いますよ。」
「大丈夫だって、私そこまで人でなしじゃないし!」
「…そういう問題じゃないんですが…」
げんなりといった様子で言うソウヤくんを余所に、私は食パンを齧った。
んん、やっぱり焼き立ては美味しいなぁ。
彼は湯気の立つコーヒーを一口飲んで、「それで、」と続けた。
「それで、本日の予定は?」
「んーとね、はい!」
「?」
私がイスにかけた鞄から出したのは簡易いかせのごれマップ(自作)。
主要施設からよく利用するとこまで書き足して作った地図だけど、ちょっと汚い。
それをテーブルに置いて、ソウヤ君に説明を始めた。
「えーっと、まず
天河探偵事務所に寄って、それからDr.エイジ研究所に行って、
お昼は中心にあるナイパークっていうところで適当に食べて、それからBAR「ELEMENTS」に顔出し、
…そういえばスノーエンジェルで新しい雑貨入ったらしいからそれ欲しいし…
デコラキャンディーの限定スイーツも食べたいし……あとは…」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
「何?」
「まさか、それ一日で全部回る気じゃ…」
何を愚問を。
私は胸を張って頷いた。
「そうに決まってるでしょ?」
「無理ですよ!大体、Dr.エイジ研究所までどのくらいあると思っているんですか!?」
「でもエイジ博士のところは絶対行かなきゃいけないし、車なら私のがあるから大丈夫よ。」
いけしゃあしゃあと私がそう言えば、ソウヤくんは何か反論しようと口を開いたのだが、
その前にため息をついてしまった。
「・・・どうせ運転するのは私なんですよね・・・」
「そういうこと♪それが今日の『依頼』よ。」
「・・・・・・・・・」
私とソウヤくんはいわば『依頼主』と『何でも屋』という関係で成り立っている。
いかせのごれに訪れ、ソウヤに初めて『依頼』をしてた時、彼が同い年であることを知り、
同世代の友達という者も私にはいなかったので、せっかくだから毎回利用させて貰っている。
彼が他の依頼に携わっている間は、天河さんだったり、白波さんだったりするけど・・・
きっとソウヤ君に頼んでいる方が一番多いと思うなぁ。
まぁ、そっちの方が私としては気楽だし、それ相応の対価は支払ってるし、いいよね!
朝食セットを食べ終わると、私は両手をつける。挨拶も大事な一環です!
「ごちそーさまでした!亜音さん、ここにお金置いときますねー!」
「ああ、またおいで。」
厨房で店員と話していた亜音さんはこちらに一旦顔を出してそう言うと、
また引っ込んでいった。私はイスにかけたカメラと鞄を手に取り、それから立ち上がって
彼の方を振り向いた。
「それじゃ、今日もよろしくね!ソウヤくん!」
「はいはい、どこまでも。」
今日も楽しい一日になりそうだ!
(研究所前にて)
「ごめんごめん、お待たせ!」
「次の『予定』まであと少ししかありませんよ、チヅルさん。」
「そうだね、じゃあガンガン飛ばしといて!」
「………」
「こ、交通ルールはしっかりとね!」
「了解。」
最終更新:2011年10月09日 14:49