「…。」
僕は真っすぐ前を…二人を見ていた。
輪郭が僅かに霞むのは、恐らく人間ではないからだろう。
二人が見える僕に明らかに警戒しているようだ。
僕は安心させようと、ゆっくり声をかけた。
「ああ、警戒しないでください。怪しいものではありません。」
『…?』
怪訝な顔をする二人に、僕は仮面を外して更に続けた。
「僕は薬師寺院 千郷です。今は妖怪主治医を務めています。」
此処に来たのは…そう、迷ったのもあるんだけど。
この付近を彷徨っていたら女性の声が聞こえた。
何事だろう。そう思って耳を傾けると、どうやら例の「正義の味方」の話だったようだ。
僕は直接会ったことが無いが、「怪盗」の身である以上何れ関わることになるだろうと思っている。
僕だけじゃない。
ミサキや、星も
同じように。
その話を聞こうとゆっくり近づいたら見つかった次第だ。
「そこで、僕にも話を聞かせてほしいんです。」
二人は暫く考えていたようだが、やがて眼を合わせて頷いた。
やはり
ホウオウから抜けたことも響いたのだろう。
多少の警戒はあるものの、彼女達は僕を話に交えてくれた。
「これはあくまで僕の考察に過ぎませんが、貴方方の言うとおりシン自身よりもパニ・シーの方の警戒が重要になってくるでしょう。」
存在は分かっているのだがその正体は一切不明。
何人か襲われていてもおかしくないのに、その報告さえきていないことは星も考えていた。
パニによって記憶を『なかったこと』にされているのだろう。いや、外傷や疲労も同じように。
その点、桜の化身という彼女…
サクヤさんの考察は間違っていない。ただ。
「パニはまだ能力に目覚めたばかりで多様できない、と前提すればいくらか考察はできます。」
現に一度、キリが彼女にあっているがそのことは彼は覚えている。
ということはその段階では彼女は能力を持っていなかったことになるだろう。あえて使わないような真似はしないはずだ。
「例えば」
「使いこなせるようになれば、この世界さえも抹消できるほどの能力だとしたら。そんな可能性はなきにしもありません。」
最終更新:2011年10月11日 15:17