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ニュース「黒ずくめの男の遺体発見」

『……!?』

サクヤが意識を取り戻した時、そこには彼女以外誰もいなかった。本体の方に意識を飛ばすと二人ともおらず、どうも帰ってしまったらしい。

『悪いことしちゃったかしらね……何も言わずに散歩に行くなんて』



「散歩、ですか。どうやら、あなたも例外ではなかったようですね」



『!!!』

あまりに聞き覚えのある、しかし憎まずにはいられない、その声。ばっ、と音がしそうな勢いで振り向いたサクヤの目に映ったのは、全身を黒で装った、英国紳士を気取った服装のその男。

ヴァイス=シュヴァルツ!!』
「お久し振りですねぇ、『咲耶姫命』。その格好は何ですか? ワタシが最後に見た時は、霊木の化身に相応しい服でしたが」
『その名は昔のもの……時代が下れば私も変わる。それより何? 私の前にのこのこと出て来て、殺されに来たわけ?』

怒り心頭のサクヤの言葉にも、ヴァイスはまるで動じない。

「そんなわけはないでしょう。ワタシは死ぬ気で来ているわけではありませんから」
『それは残念ね』
「……やはり、完璧ですね。あの力は」
『? 何を……』

訝しむサクヤに、壊れた人形遣いは薄い笑みと共に言う。

「アナタは先ほどまで、パニ・シーと会話をしていたのですよ」
『何を言い出すかと思えば……挑発ならその辺にした方がいいわよ?』

そんな記憶はないし、そのつもりで出歩いたわけでもない。にも拘わらず、その男は崩れない。

「お忘れですか? 彼女の力は、時間軸からの事実の消去。会話の記憶をリセットするくらい、造作も無いことです」
『……!』

確かにそうだ。だが、だからと言って自分がそれにかかった確証はない。
それを言い放とうとして、機先を制された。

「では、かかっていないと断言できますか?」
『………』
「まあ、いいでしょう。今日は一つ、アドバイスを差し上げましょう」
『遠慮するわ。お前の助言は呪いと同じよ』
「ワタシは呪い師ではなく、演出家ですよ。……パニ・シーへの対応策、と言ってもですか?」
『!?』

サクヤの反応には委細構わず、ヴァイスは言う。

「彼女の能力から記憶を守る方法……それは、バックアップをしておくことです」
『バックアップ?』
「そうです。もっとも、それ自体を『なかったこと』にされれば同じですが」

それでは意味がない。何が言いたいのか、と問い返そうとして、

『!? なっ……』

まばたきをしたその一瞬で、人形遣いは消え失せていた。




ニュース「黒ずくめの男の遺体発見」


(その男)
(人外の、人間也)


「……何だか、色々と物騒みたいね。私もランカの所に行かないと……」

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最終更新:2011年10月13日 10:41