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所長室の話

ジングウさんが来て、早何日か・・・いやぁ、なんか刑務所が活気づいてていいですねぇ。」
「そうだな。」
「ああいうイベントはお客さんが来ないと中々やりませんからねぇ、看守の盛り上がりがホント異様でしたよ。
一番楽しそうだったのはジングウさんでしたけど。」
「・・・・・・そうだな。」
「そうそう、さっき副主任から『例のアレ』の話を聞いたんですけど、ヨスガさんが今までにないくらいテンションが上がってたそうで。
彼女、胃が痛むと嘆いてましたよ。」
「前々からジングウの研究に目を付けていたからね、彼は・・・。今回真近で見ることが出来て、興奮を隠せなかっただろう。」
「ここ数日のヨスガさんはあれでしたねー、当日が待ちきれない遠足前の子供みたいな。」
「微笑ましいじゃないか。」
「それと打って変わった様子の二人も相当見物でしたけど、はは。・・・あ、所長が指示したようにちゃんと釘刺しておきましたよ。」
「あぁ、ありがとう。」
「大変だったんじゃないですかねぇ、ジングウさん。元々立ててた計画が崩れたようなもんですし。」
「彼ならば一人で何でも出来るだろう。むしろ、彼より技術力のない我々が手を貸して、想定外の処置をして手術を台無しにしてしまっては、申し訳ない。」
「なるほど、流石所長!考え方が謙遜な上に実に慈悲深い!しかし流石にノータッチじゃあヨスガさんの気を損ねるだろうからこちら側の処理としては
見学程度にさせた、と。・・・でも所長、」
「何だね?」
「あのジングウさんのことですよ?彼に見初められた職員がこれを機に、あちら側に寝返ろうとするんじゃないですか?」
「寝返る?」
「うちの専門は『対能力(アンチスキル)』ですけど、逆に言えばそれしかしてないわけで、技術や欲を持て余している職員も多いと思うんですよねぇ。
対してジングウは生物学、特に生物兵器の研究や開発を専門・・・こちらじゃ手を出せないあんなことやこんなことし放題!」
「いいんじゃないかね。」
「え?」
「ここに来るも出るも彼らの自由だ。それを束縛する権利など我々にはない。
・・・何より、人が人を縛り付ける考え方など、『神』は望みもしないだろう。」
「あー・・・まぁー・・・そうですねぇ、そりゃそうだ、うん。でも場合によっちゃ、うちのメインのヨスガさんまで引き抜かれますよ?」
「彼はここにいるさ。」
「あら、言い切れるほどの理由はあるので?」
「あぁ。」
「・・・さいですか、それなら一安心。・・・まぁ、そもそも、」



「なんで、なんでここを出るだなんて言うの!?やだ、そんなのやだ!!やだやだやだやだやだやだぁあああ!!!!!」
「ぎゃあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」


グシャァア!!!!



「・・・・・・僕たち以外に、ここを出ることを許さない子もいますし、
心配しなくていいですかねぇー。」
「うむ。」










所長室の話


「ジングウになくて僕らにあるもの、それもある故に心配は杞憂かな?
結局あの子がどうするかは僕も分からないけど。」

(所長室前に転がった職員の死体を眺めながら、)
(副所長の男はその場を後にしたのであった。)

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最終更新:2011年11月13日 19:32