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<襲撃後、バイク乗りの面々。>

<襲撃後、バイク乗りの面々。>

毎日行なう定時連絡に、アキヒロもラムも答えず、シノですら電話に出ない。
少し前から胸騒ぎはしたが、シュウトはその日もポリトワルサーカスにいたのだ。
胸騒ぎの元凶が分からなかった。もしかしたらサーカスで何か異変が起きているのかもしれないと思った。
まさかウスワイヤで、と言うのも有った。
だからこそ、今日のポリトワルサーカスの講演準備でシュウトはいつもよりも注意深くいろんな事を見ていたのだった。
「シュウトくん、どうしたんだい?今日は何だかそわそわしてるようだけど。」
団長が首を傾けて、頭を落としそうになった。
「いえ、何だか妙な胸騒ぎがして…」
「そうかい?僕はそんな事は無いけれども…。」
「まぁ、準備はきちんと行ないますので気にしないでください。」
「そうかい?無理しなくてもいいんだよ?うーん、それじゃ次の講演に付いて打ち合わせしとこうか。」

サーカスの準備中も胸騒ぎが止まらなかった。
リハーサルの最後の演目が終わっても胸騒ぎが消える事は無かった。

そして、電話に出ない。

「団長!僕、これからちょっと出てきます!」
「え!?シュウトくん、一体どk」
団長の言葉が終わる前にバイクに飛び乗るシュウト。
セルを回すと一気にバイクをふかして飛び出していった。

そして、千年王国襲撃後のウスワイヤに辿りついた。大まかな現状、経緯を聞いて復旧作業をシュウトは手伝った。

あらかた片付けや応急処置が終わった頃に、シュウトはシノとぶつかった。
落ち込んでいるシノを見て、シュウトは立たせるとバイクで走りに行くことを提案した。
アキヒロは遠くからその様子を見ていたが、シュウトが視線を向けるとコクリと頷いた。示威行為が今回の目的である。
ならばこの短期間で再び襲撃される事は無いと踏んだからである。


二人は街中をバイクで軽く流して、夜空のきれいな高台で止まった。
そして無言で何分か街の明かりを見た後、再び走り出した。

レストランで止まると、二人は中に入って行った。

「大変だったみたいね、アースセイバー。」
店長がお絞りとメニュー表を出しながら言った。
「ええ…大変だったっす。」
所々傷だらけで、暗い声で言うシノに若干驚きながら、注文を聞くと奥に引っ込んだ。
黙ったまんまのシノに、シュウトは掛ける言葉が見当たらない。それもそのはず、
何が彼女を苦しめているのか分からなかったからである。
と、その時。外の窓からコツコツと音が聞こえた。
「あ・・・。」
「モトキチさん・・・。」
中に入ってくると、いつもは陽気なモトが真剣に聞いてきた。
『なーにがあったんじゃ?どうも襲撃があったようだったけんが…
 オラが跡付けてたのにも気付いとらんかったようだしの』
そして、シノはポツリポツリと襲撃の時の事を話し始めた。




どんどん傷ついていく仲間。
保護していた能力者達に及んだ被害。
自分が何もできなかった事。
そして今回の襲撃があくまで千年王国による少数の示威行為であった事。
様々な事を抱え込んでしまったからなのだろうか。涙ぐむシノ。
対して、シュウトは机の下で掌から血が滲む程固く硬く拳を握っていた。
(くそう…どうして僕はあの時アースセイバーに居てやれなかったんだ…)
そう歯を食いしばった瞬間、横合いから拳がとんできた。
モトである。
『おい、お前、シノちゃんがこんなことになってる間どこにいたんや。』
「どこって・・・任務でしたよ!」
『ホントじゃろうな!別に行かなくてもいいような適当な用事だったなら承知せんでよ!』
「貴方に何が分かるって言うんですか!!」
時間帯も遅く、周りに客はいない。ただ静かな店に、シュウトの声は響いてしまった。
なおも続く。
「僕だって…嫌な予感はしてました、けどそれが任務地での事なのか
 アースセイバーの事なのか分からなかったんですよ!」
『そがんこつ知るか!』
「その場で戦えたなら僕だって戦いたかったんですよ…!聞けばジングウの格好、
 包帯でぐるぐる巻きだったそうじゃないですか!その場に僕が居れば身動きを
 取らせないようにするなんて簡単だった、そのはずなのに!」
ドォン!と机を叩くシュウト。
が・・・
ガン!ゴン!
「二人とも、五月蠅い。シノちゃん慰めに来たんでしょーが!アンタらが白熱してどーする。」
「『すいません・・・』」
店長にお盆で殴られた。
それを見て笑いだすシノ。
「そうっすよね・・・私だけじゃないっすよね、こういう悩み抱えてるのは。
 何か話したらスッキリしたっす…。」
『そうだよシノちゃん。まぁアレだ、<過去を振り返っても仕方が無い、前に進まなければ>という奴だぁよ。』
「今の問題はそう言う事じゃないでしょう…。」
『やかましか。あぁそうだ、今度なんかあったら連絡入れてくんろ、戦車からヘリ、
 戦闘機だって乗って駆け付けちゃるきに。』
「そんな、そこまで・・・」
『心配すんな、ヤンキーは仲間思いなんよ。特に同じバイク乗りにゃあね。』
「ええい、アンタは空爆や戦車砲弾でいらん被害まで出すつもりですか!」

人がいる一角が明るくなったレストラン。
爪跡は深いかもしれないが、傷には瘡蓋が付き、そこは強くなる。
カランカランと音が鳴り、誰かが入ってきた。
だがもう、心配はいらないだろう。
シュウトは馬鹿な事を言って笑わせるモトと、笑うシノを見てそう思った。

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最終更新:2011年11月15日 18:35