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ダブル・ニア・エンカウント

「…やっぱだめだ。つながんねぇ…。」
闊歩の後ろで携帯を耳にあてていた由衣は、舌打ちをひとつしながらそれを閉じた。
つい今しがたから闊歩の報告を兼ねてゲンブに電話をかけているのだが、一向に出る気配がない。かれこれ数十分がたっている。ウスワイヤにもいなかった。
何かの用事で出ているのならいいのだが、由衣は妙な胸騒ぎを抑えられずにいたのだ。
動かないよりは捜しに出よう。そう闊歩に提案した。
今現在、闊歩の運転するスクーターに由衣が乗って走っている。

「アルマさんは諸事情を明かすわけにはいかないって、連絡先も何も教えてくれなかったからね。」
「時折電波が途切れるみたいだ。この近くでそんなに繋がりの悪いところあったか?」
「今時、地下にも繋がるんだしそんな…あ。」
少し首をひねっていた闊歩が、不意に思いついた。

「スト跡地は?あそこ殆どぼろぼろで、電柱に電線が通ってなかった。」
「可能性はあるかもしれねぇな…。飛ばすぞ、闊歩!ただし制限速度は守れよ!」
「了解。」
加速するスクーターは、退廃した跡地へと向かっていった。


「…おい、ヴァイスの奴、どこにいったんだ…?」
同刻、ヴァイスを追っていた一行はストラウル跡地にたどり着いて、件の男を見失っていた。
「ここにきて見逃したようですね…。」
「なんだよ、こっちはもたもたしてられないのに!」

「ん?ねぇ、星。」
遠くで何かを発見したミナミは、星の肩をつつく。
「あそこ…、誰か倒れてない?」
そこを見た星は、絶句した。

「おい、あれ、ヴァイスを追ってた3人組じゃねぇの!?」
その声にはじかれるように、全員の視線が集中した。
確かにそこにいたのは、先程まで自分たちの前でヴァイスを追っていた3人。
変わった風貌なのだ。間違うはずがない。

「おい、大丈夫か!」
真っ先に駆け寄った星は、3人をゆする。
目覚める気配はないが、息はある。命に別条はなさそうだった。

「完全に見失ったようね。」
静かにマナは言う。司は唇を噛み締めた。
流也は首を横に振る。
「見失っちまったらまた捜すのは大変だ。どうする、姐さん?」

「…ターゲットを変更しよう。ヴァイスを追うのも大概だが、今は先に探さなきゃいけない奴がいる。」
「美琴のことか?」
司の言葉に、星は頷いた。
「随分と時間をくっちまった。先に美琴の安全を確保し、話を聞くべきだと私は思う。」
「しかし、状態がわからない以上…。」
海念が続けようとしたその時。

そう遠くない位置から聞こえた爆発音。続く、瓦礫の落ちる音。
全員が一様に目を合わせ、ひとつ頷いた。
気絶してる3人を抱え、彼らはその音が響いた場所にむかった。



ダブル・ニア・エンカウント



一行は諸事情を知らず
一行は諸事情に焦る。

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最終更新:2012年03月25日 14:54