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狂気の鎖

某日、ホウオウグループ。

「鴉さーん」
「ん…? 白奈か、何だ」
「冥土木乃伊さんが呼んでました! 話があるって」
「話…だと?」

片眉上げるクロウ

「はいっ。その…詳しい事は教えてくれませんでしたが…」
「別に構わん。あいつはお前の事を良く思ってないからな」
「………」
「…そう項垂れるな」

クロウは白奈を宥める。
一見分からないが、ジングウは白奈に対して冷たく、彼女自身も少なからずそれが分かっていた。
周りに流され自我というものを持たない人間を嫌う彼が、「ホウオウグループに造られたからここにいる」という彼女を嫌わない訳が無い。

「…とりあえず、ジングウの所に行ってくる」
「はーい」


「ジングウ」
「おや、来ましたか。…あの雪女はちゃんと伝えたんですね」
「…もう少し柔和に接してやったらどうだ」

しかしジングウはクロウの言葉を無視して本題を切り出した。

「まず『コレ』を見てください」
「『コレ』?」

と、クロウはジングウの指差した方―――ガラス越しに隔てられた部屋の中を見る。
そこではパーカーを着込み、フードを被った一人の少年が積み木で遊んでいた。
…だが。

(…あれは遊んでるのか?)

少年は遊んでいるつもりだろうが、ただ積み上げて自然倒壊させるだけの繰り返しからは、狂気しか感じられない。
よく見ると少年の表情も虚ろなものだった。

「しかし…初めて見るな。…千年王国の新入りか?」
「ええ。まあただの新入りではございませんが」
「何?」

含み笑いをするジングウ。

「…今の彼は狂気そのものでしてね。狂気というものは恐ろしく悍ましい……武器には持ってこいなんですよ」
「…何が言いたい?」
「……彼は『複数の対象』を狂気の迷宮に迷わせる、という能力を持ってます」
「………」
「まさに我が千年王国の兵器に相応しいと思いませんか?」
「……さあな、俺は知らん。もういいか?」
「ええ。コレを見せびらかしたいだけでしたので」
「………」

その場を去りしばらく歩いた後、クロウは壁に拳を叩き付けた。

「あの裏切り者めが……ッ!」

ジングウは直接口にはしなかったが、それでもクロウは嫌に理解していた。
あの男の真意を。

「…反抗の意志を見せれば殺す、か…」

血がでるほど拳を握り締め、ギリギリと歯を食い縛るクロウ。

「……いいだろう。だがそう容易く殺される俺達だと思うな…!!」


狂気の鎖


「…あれっ?」
「どうした? 白奈」
「さっき、黒髪のいかにも気の弱そうな子を見たんだけど…」
「あー新入りらしいぜ、数週間前に来たとか」
「ふーん…でもあんまり見ないね」
「クロウによればいつも弱音吐いてるような弱虫だとさ」
「そ、そうなんだ…」

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最終更新:2012年05月20日 19:41