魔術師と、友と
「全部、嘘…不動さんと空橋くんがミコトをいじめようとしてたのも、宮藤先輩やお母さんが邪魔しようとしてたのも、全部嘘なのに、私はなんてことを…」
「操られてたようなもんだろ。悪いのは全部あのクソ野郎だ。今度会ったら焼き尽くしてやる。」
「そうよ美琴、あなたのせいじゃないわ。誰一人死んでないし、あなたは何も悪くない。」
「…知らない人の言ったこと真に受けて、確かめもせずにひどいこと言って、人を助ける力を間違った方に使った人を、誰が許してくれるっていうの?…ゲンブさん、能力者がこういう事したら殺すんでしょ?私のことも後で処刑するんでしょ?」
「そ、それは…」
「どうせ死ぬなら、今ここで…」
「おい、崎原…?うわぁ!」
俯く美琴の体から黒いエネルギーが漏れ出し、その衝撃で司が弾き飛ばされる。
「なんだよこれ…」
「巻き込まれても痛くないよ、一瞬だから……」
黒いエネルギーに包まれた美琴が呪文の詠唱を始める。その顔には、すでに生気はない。
「な、なんて高密度のエネルギーなんだ…こんなのが爆発したら地形が変わっちゃうよ!」
「美琴やめて!それを使ったらあなたは…」
笙子が呪文詠唱を阻止しようと星弾を出そうとした、その時
「この馬鹿者がぁぁ!」
「っ!!?」
和風の女性が現れ、美琴の頬を叩いた。
「馬鹿かお前は!!何で簡単に死を選ぶんだ!!」
「…ゆ…うひ…さん?」
「確かにお前はやっちゃあいけないことをしたよ、堕ちるところまで堕ちたよ、だからって何で死のうとする!!堕ちたんなら上がって来いよ!!」
「上がる…ですか?」
「ああそうだ!!一度落ちたんだ、後は上がるしか道はないだろう!?」
「…でも、もう私はみんなといる資格なんか」
「一人で上がって来いなんて言わない。苦しかったら俺がお前の手を取って引き上げてやる。」
「…」
「周りを見ろ。手を伸ばせ。お前には、手を差し伸べてくれる奴がたくさんいる。穴の中は暗くて狭くて、一人に見えるかもしれないが、周りにはいつも誰かがいてくれるんだ。それを忘れるな。」
「この人の言う通りよ、美琴は一人じゃないでしょう?」
笙子も続く。
「僕が一人じゃなくなったのは、崎原くんのおかげだよ。」
一哉が美琴の頭を撫でる。
「一哉くん、心配してましたよ。」
「もう大丈夫だからね。」
「崎原さんがいないと寂しいなぁ。」
「催眠術にかかっていた仲間を処刑するほど鬼じゃないさ。お前の力は必要なんだ、これからも頼むぞ」
自分が必要だと言う、冬也とゲンブ
「いいの…?わたし、ここにいていいの?」
「いいに決まってんだろ!ダメだったらこんなに集まってねーよ。…心配したんだからな。」
そして、少し泣きそうに見える司
「ふ、不動さん、みんな…ごめんなさい、ですぅ…う、うわぁぁあぁん!!」
「…胸貸すから好きなだけ泣けや。」
宮藤先輩、不動さん、みんなありがとう
私、一人じゃなかったよ
最終更新:2012年07月08日 01:49