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ザ・スクールライフ~朝の一コマ~

「およ? 鳥さん、今日は早いなぁ」

玄関で靴を履き替えていると、廊下の方から声がかけられた。上履きをとんとん、とつま先で叩いて整え、あらためて顔を上げると、いたのは真二だった。

「おはよう」
「んー。それよか、いっつも遅刻寸前なのに、今日はまたどういう風の吹き回しだ?」
「そりゃ、いつまでも寝坊で遅刻、なんてバカは出来ないからな」
「そうか、鳥さんがいつも遅刻寸前なのは寝坊してたからか」

別の方向から別の声。振り返ると、今度は紀一だった。何だか納得したような表情をしてるのは気のせいか?

「他に何があるっていうんだ?」
「ネットとか、ゲームとか」

あいにくだけど、パソコンもゲーム機も僕は持ってない。携帯くらいだ。

(って)

思って気づいた。もしかして僕は時代遅れなのか? この文明の世の中で、パソコンすら持ってないって。
そんな僕の思いは知らず、いつの間にか現れていた勝也が言う。

「スザクがドジなんは今に始まったことじゃないけども、あの『時差ボケ君』よりはマシな方だと思うで」

これには、紀一も真二も「あー」と納得の表情を浮かべた。

カケル、かぁ」
「確かにあいつのは並大抵じゃないけどよ……」

僕も知っているそいつは、時男 カケルという同級生だ。
身長の割に体重が50もないというやせ形で、ぼさぼさの髪によくわからない笑顔、という―――アオイに言わせれば「胡散臭い」―――外見でありながら、何でか女子に人気がある。ただ、物凄くルーズな時間間隔の持ち主で、まともな時間に登校してくる方が珍しい。

「……集まって何を話している?」

廊下の方から次に現れたのは、2m近い長身の男子生徒。学生服の上から真っ黒な上着を着た龍牙だ。トラックを片手で止めたとか、サバゲーを30秒で制圧したとか、人間離れした伝説が多い。

「お前か……ちょっとした世間話だよ」
「世間話か。呑気なことだ」

呆れたというか、何か「そういうものか」という平坦な調子があった。

「近越、水島は今日も休みか?」
「修一? や、今日は来とるはずやけどな」

言ってぐるりと視線を巡らせる勝也。けど、その姿はない。
修一はちょっと前まで……それこそみくがターゲットになるまで苛めの対象だったのだから、ある種仕方がない。

「そうか。では、後で挨拶でもしておくとしよう。転校して来てから、一度も会っていないからな」

龍牙は案外と律儀なやつだったらしい。「あとでな」と言い置いて、さっさとその場を後にしてしまった。
と思ったら、今度は入れ替わるように玄関から誰か入って来た。サングラスをかけた男子生徒だ。

「よ、皆の衆」
「その声は真か? 何てカッコしてんだよ」

紀一の問いに、その生徒は苦笑いしつつ答える。

「コレ外すと小学生に泣かれんだよ……俺は何もしてねぇのに」

藤枝 真というやつは、年齢に見合わない老けた風貌の持ち主で、なぜか通りがかりの子供に泣かれることが多いトラブル体質でもある。おかげで警察を呼ばれそうになったことも、一度や二度ではない。

「どーかな? 実はなんかしてたりして?」
「うお!? の、昇、脅かすんじゃねえよ!」

真の後ろからいきなり顔を出したもう一人は、新高 昇。狐目が印象的なこいつは、暇さえあれば真をおちょくって面白がっている困った奴だ。

「気づかないお前が鈍感なの。ったく、これだから枯れ枝は」
「藤枝だ! 枯れ枝言うな!」

いつもの言い合いを始めた二人はとりあえず放っておくことにして、時間を確かめる。
と同時に、

キーン、コーン、カーン、コーン、

という聞きなれたチャイムが耳を打った。……チャイム!?

「ホームルームに遅れる――――ッ!!」

叫んで飛び出した僕の後ろにみんなが続いたのかどうかは、覚えてない。




ザ・スクールライフ~朝の一コマ~

(結局のところ)
(スザクはどう繕っても、ドジである)

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最終更新:2012年07月10日 17:38