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<銀角と過去の記録>

「ねぇ、父さん。タガリショウゴ、っていう人の記録ある?」
 ジングウのラボにひょっこり顔を出したアッシュが訪ねた。
対して、作業の手は止めずに、顎でモニターを示すジングウ。
「どうでしたかね。記録を漁れば出るかもしれませんが、パッとは思い出せませんねぇ。」
記録ファイルを開くと、『タガリ ショウゴ』と打ち込みアッシュは検索を開始した。
「どうしてまたそんな事を調べる気になったんです?」
「学校の先輩でね。ちょっと会ったんだけど、引っ掛かる事があってさ。お、あった。」
その記録は少し前の戦闘記録だった。バトルドレス1体と、パニッシャー10体との戦闘記録。
ビルの上から取った物らしく、俯瞰図のようになっていた。
「あれっ、兄さんもいる。あとはスザクと、件の先輩か…。父さん、この記録どうしたの?」
実験の手を一旦止め、モニターの前まで移動した後、ジングウは茶を啜りながら答える。
「これは…確か、バトルドレスに洗脳を施した社会のゴミを詰めて、パニッシャーと連携させた時の威力評価をしたんですよ。」
「へぇ。この人について、何か知らない?」
一時停止された画像の、ショウゴを指さすアッシュ。
「私の知ってる情報より先に、動画を解析して自分なりの見解を述べてみなさい。」
ジングウはニヤニヤしながらそう言うと、アッシュの為に茶を淹れ始めた。


「…戦い馴れてるね。基本は銃撃で、接近時はやっぱ柔道か。」
茶を啜りながらアッシュは呟いた。
「それだけですか?」
「うーん、銃の扱いがかなり上手いよね。流石は武闘派ヤクザの隠し子、って所か…ん?」
少し動画を巻き戻す。
「コレ、改造されてるよね。普通の弾じゃない。それにリロード無しでこの発射数…
 ああなるほど、圧縮空気を発射できるのかな。でもそれにしたって…。
 これ、戦闘後の残骸データは取って無いの?」
「アースセイバーに持ってかれましたよ。」
「えっと…。この動画を見る限りでは、『戦闘慣れしていて、改造銃を持つちょっと強い男』っていう程度だよね。」
「…見ていて思い出しましたが、この男、前にクルデーレがちょっかい出してたヤクザの抗争に関わってましたねぇ。」
「そうそう。その話、ちょっと気になってさ。」
コト、と湯呑みを置くとジングウはモニターを弄りだした。
「どうしてまたそんなものに興味を?」
「父さん知ってた?クルデーレさんとこに最近女の子が増えたの。」
「ニエンテ、と呼ばれていましたね。それが?」
「そのヤクザの抗争の時に拾って来たらしいんだけど、『何か』ありそうじゃない?」
なぁるほど、と呟くと、ジングウは別のモニターにファイルを開いた。

「彼はアナボライザーですよ。動画の目を見なさい。暗い為に見にくいですが、微妙に色が違います。
因みに射弾の悪夢というそうです。」
「えっ?」
「この間エレクタがどこからか持ってきてましたよ。恐らく、タカコさんのデータだと思うんですけどね。あの女、報告義務のあるアナボライザーの情報を隠している疑いがありますから。」
「へぇ。」
「射弾の悪夢、タガリショウゴ。どうも一度トキコさんが威力評価してるみたいですねぇ…。」
「結果までは書いて無いんだ。いいよ父さん、その辺は僕が聞いてみる。」
「聞けますか?」
ニヤリと笑うジングウに、
「聞けるよ。」
ニヤリと笑いながらアッシュも返した。

不穏な空気が、流れた。

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最終更新:2013年01月20日 15:08