アットウィキロゴ

一段落した話

「…とまあ、こういう事だ」
「………」
「突然こんな話をして、混乱させてすまない。しかし先に話しておくべきかと、思ってな」
「いや…獏也さんは悪くないけど…その…」
「?」

何故か汗をダラダラ流しているヒロヤ
その訳を何となく察した獏也だが、とりあえず何も言わなかった。
そして応接間のドアが開くと。

「む、来たか」
「どうも、獏也さん」
「………」
「佳乃、挨拶」
「…さっさと始めるぞ」
「も~……」
「ちょっと前まで頭痛が酷かったんですよ。またなったら、たまったものじゃない」
「頭痛?」
「最近なるみたいで…そんなに多くはありませんが」

顔をしかめる佳乃。
その一方。

「……久しぶりね、ヒロヤ」
「………ああ」

ヒロヤを見据える茶髪金眼の少女、アンジェラ
彼女が、彼の異母姉妹である。


「殺すぞ」
「いやいきなりそれかお前!?」

獏也から粗方話を聞かされたアンジェラは、据わった目で間髪入れずそう言った。

「お前はいっつもいっつもそう!! 周りの言葉を鵜呑みにして同調してばっか!!! 殺したくもなるのは当然だろ!!!」
「それお前だけだっつの! つかオレの言動は――」
「全部間違ってる? ほざけ!! 一辺その口ン中に鉛弾ぶっ込んでやろうかこの脳味噌スカスカド低能!!」
「(カチン)…あぁいいぜやれるもんならやってみな粗暴女!!!」
「言ったな!!」
「待ちなさい二人共! その辺にして銃器をしまって!!」

斎が制止の声を上げるが、この兄妹は全く聞いていない。
二人が引き金に指をかける――その時。

ジャキン!!

『!?』
「…そこまでだ」

二人の間に降り下ろされた鎌。
佳乃だ。

「兄妹喧嘩などした所で、時間を無駄にするだけですよ。…アンジェラ、その為に来た訳では無いのでしょう?」
「……すいません。総元締め様」
「……オレも、悪かった」

銃を仕舞うヒロヤとアンジェラ。
それを見て、斎と獏也は笑みを浮かべた。

「…流石は、総元締め…だな」
「ふふ。この姿を見ると、僕も誇らしく思えます」



「……さて。本題に戻ろう」
「ああ」
「とりあえず、ナオトキ殿の遺言によれば、ヒロヤは守人の一員に入れて欲しい、との事だが……ヒロヤ自身の意思は?」
「……嫌じゃあ、ないけど…いきなりとなると…」
「ふむ……まあ、すぐにとは言いません。気持ちが固まるまで待ちますから」
「…えーと、まあ、ヒロヤさんに関してはそういう事にしといて…アンジェラさんどうします?」

アンジェラを見やる斎。

「そうね、まず家に帰ろうかしら。久しぶりにパパに会えるし」
「そういえばヒロヤ、お前も両親に会わなくていいのか?」
「え?」
「三人の言い分と先程見た『アレ』で、特殊能力者ではない事が事実と判明した今、早く帰った方がいいのでは…」
「確かに…そもそも行方不明者捜索の発端は、ヒロヤさんの父親の申し出ですし」
「親父の?」
「急にいなくなったので早く見つけて欲しいと」
「う……」

言葉を詰まらせるヒロヤ。
そんな兄の姿を見て、アンジェラは「馬鹿…」と溜め息混じりに呟いた。

「帰ったらすぐ謝らないとなあ…」
「そうよ。ママがいない今、私が帰ってくるまで家族はヒロヤだけだったんだから…」
「何? 母親、いないのか?」
「あ……ああ、まあ…」
「…?」

獏也はヒロヤの様子に、一瞬疑問を感じたが、それ以上気にとめようとしなかった。

「それではこのくらいにして…早く帰りますよ。さっきも少し頭痛なったし…相変わらずお茶まずいし(小声)」
「佳乃! すいません…」
「いや、いい。我々も捜索を出来る限り尽力しよう」
「ありがとうございます。ほら、佳乃も」
「………ふん」
「ああもう佳乃! 待ってよ!!」

先に行った佳乃を追いかける斎。

「…じゃあ、獏也さん。オレ達もこれで…」
「ああ。すまなかったな」
「いや、悪いのはこのド低脳だから」
「うっうるせえボケ!」
「はいはいさっさと帰るわよ」


一段落した話


「あ、そうだ。アンジェラ」
「ん?」
「ちょっと頼みがあるんだが…」
「頼み?」

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2013年03月21日 20:23