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蛇二匹

日曜日のウスワイヤ。
今日も能力者達は平和に暮らしている――。
…筈なのだが。

「ミユカぁぁあああッ!!!」
「キシシシッ!」

廊下をバタバタと駆ける騒がしい足音。
悪戯っ子を表した様な笑い声を上げるミユカ。
びしょ濡れで彼女を追いかけるハヤト
この光景から分かることはただ一つ。

…ミユカのイタズラ巡りだ。

「…おっ、アレは!」

逃げるミユカの視界に入ったのは、ガチャガチャと音を立てて歩く鎧。
付喪神の一種であるデストリエだ。
するとニヤリと笑った彼女は――。

「やっほー! デースリーン!!」
『?!??!』

逃げるついでにデストリエを回転させた。
視覚を持たないので目を回す、なんて事は無いが、突然の事だった為彼は驚いたような素振りを見せる。
その様をちらりと見ると、また「キシシ」と笑う。
と、次にミユカは、金棒を背負った仲間の鬼――雷珂の背中を見つけた。

「おや! 次は雷様が…キシシ」

「今日は上手く役割をこなせたぞ…この調子で頑張らねば!」
「こんにっちは~雷様!」

――もにゅ。

「……~~~~ッ、なななな何をする貴様ァァアアア?!??!!」

顔を真っ赤にしつつ、振り向くと同時に金棒が一閃を薙ぐ。
だが、すばしっこいミユカは既にその場から離れており、それどころか。

ガコン

「……は?」

金棒が壁に当たった刹那。
するはずがない、嫌な音が響く。
背中に冷や汗が流れたその時。

「っぎゃぁぁああああーーーーッ?!!」

…悲鳴と共に落とし穴へ吸い込まれていった。

「キッシシシ、皆まだまだだnむぎゃ!」

前をよく見ずに走っていた為、誰かにぶつかってしまった。
少しよろめいたミユカは、その『誰か』を見てギョッとした表情を浮かべる。


「おやミユカサン、どーも♪」


彼女にとっては天敵の中の天敵。
百物語組の蛇妖怪、クチナワだった。


「し、白蛇さん……」
「何ですか、まるでお化けが出たみたいな顔して…って元から妖怪でしたねワタシ。また今日も、イタズラをしておいでで?」
「(ギクッ…)あーははははまーさかそんな事――」

と、言いかけたところで逃走を図る。
しかし、視界に入ったのは白い廊下ではなく。

「っえ!?」
「駄目じゃないですかー逃げたりなんかしちゃあ」
「い、いや、今のは…用事! 用事を思い出して…」
「嘘も駄目ですよー? …お仕置き、覚悟して下さいね?」
「ちょっ! 鬼!! 悪魔!!! 人でなし!!!!」
「実際人じゃありませんケド。悪く思わないで下さいよー上からの命令なんで♪」


「にぎゃぁぁあああああああああ!!!!!!!!!」


「……自業自得だけど、まあ、ドンマイ…だな」
「あ、ハヤト君!」
「カナミ」
ミユカちゃんを止めて欲しいと聞いて、来たのですが……必要ないみたいですね」

目の前の光景を見やるカナミとハヤト。
その止めるべきだった親友は、クチナワに蛇責めされていた。

「それにしても、アイツら仲良いのか悪いのか分かんねーな。いつも弄り弄られてるかと思えば、楽しそうに会話してたりするし」
「あら、あの二人は仲良しさんですよ?」
「…何でそうだって分かるんだ?」
「簡単な事です。ミユカちゃんは、『友達だと見てる人は必ずあだ名』で呼びますもの」
「あー…」
「それに何だかんだ、クチナワさんの事気に入ってるみたいですしね」


蛇二匹


~十分後~

「あのバカ蛇…いつか絶対ギャフンと言わせてやる…」
(…多分一生無理じゃね)
「ハヤトちゃん何か言った?」
「いや別に」

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最終更新:2013年05月12日 20:09