今からもう、六年も前の事です。私は、一人の男の子と出会いました。
さらっとした黒髪の、宝石みたいな赤い瞳の男の子。
彼は、私が危ない目に遭っていたのを助けてくれました。怪我をした私に、大丈夫? って優しく声をかけてくれました。
彼には、不思議な力がありました。血液を、自分の意思で操る特殊な力が。その力で、彼は私を救ってくれました。
恋を、しました。一目惚れです。
私と同い年くらいの、奇跡みたいな男の子。
ああ、そうです。奇跡です、運命です。
街でたまたま出会っただけの私とあの子。だけど、彼は私と同じ学校の生徒だったのです。
嬉しかった。嬉しかった。
中学校も、同じ学校でした。高校も、同じ学校でした。
嬉しい、うれしい、ウレシイ。
ずっと、見ていました。ずっとずっと、見つめていました。
彼が授業を受けている、その横顔を。彼が友達と笑っている、その笑顔を。
見ているだけで、幸福でした。見ているだけで、満たされました。
ああ、だけど、
足りません。満たされません。
貴方と言葉を交わしたい。貴方の温もりを感じたい。貴方を――傍で感じたい。
見ているだけじゃ、足りません。見つめているだけではもう、満たされません。
苦しい。貴方を見つめているのが、苦しい。見つめているだけなのが、辛い。
貴方を見ているだけなのに。
ただ、それだけなのに。呼吸が苦しくなって、頭が痺れて何も考えられなくなる。
苦しい。
苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しいクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイ
痛い。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いイタイイタイイタイイタイイタイ
嫌だ。こんなに痛くて苦しいのは、嫌だ。
もう、我慢できない。
大好きです、愛しています。この世の誰よりも一番、貴方をお慕いしております。
だから――
「……高嶺、利央兎……」
私のものになってください。
私と一緒に居て下さい。
私の傍に居て下さい。
私と笑っていて下さい。
私を抱き締めて下さい。
私だけを見つめて下さい。
私だけを愛してください。
お願い、です。私を――
≪彼女のドウキ≫
(毒に侵され、思考は狂い、)
(熱に浮かされ、願いは歪む)
(呪いに蝕まれ、少女は悪夢を彷徨う)
(だが、狂い、歪み、侵されても、)
(その想いは始まりと同じく、純粋なままなのが、)
(唯一救いと言えるだろう)
『――否、』
『それは違う。むしろ、救いが無いんじゃないかな?』
『傍観者には、関係無いけど』
最終更新:2013年05月14日 11:05