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「ちょっとさ、なんか、見てられなかった」

「リオちゃんさぁ、どうすんの?」
「どうするって、何をだよ」

 夕焼けに染まる屋上。アッシュとリオトが話をしている。

「そんなの決まってるじゃない? 妃乃彩萌ちゃんの話」
「……そんなの、言うまでもねぇだろ」
「あやややや、勿体無ねー。あんなに想ってくれてて、しかも美人さんで、スペックも申し分無いのに振っちゃうの? ユウイちゃんも悪く無いけどさぁ、あっちに乗り換えた方がお得ですよ」
「――……」

 絶対零度の眼差しで、リオトがアッシュを睨みつけた。ともすれば、視線がそのままナイフになってアッシュを突き刺しそうな位の。しかしそんな風に睨みつけられても、むしろアッシュは楽しそうに、面白そうに、飄々と笑うばかりだった。

「ふひひひ。いいねぇ、いいねぇ。その炎を閉じ込めたような凍った眼差し。君のそうゆう目付きが僕は大好きだ。いいよいいよ、リオちゃん。君、最高に恰好良いぜ」
「うるせぇよ……じゃああれか。お前は自分を好いてくれる奴が出来たら、その時自分が好きな奴からそいつに乗り換えるのかよ」
「……おいおい、僕に対してそれは質問にならないよ。意中の相手は一択? 違うね、欲しいものは全部自分のものにしちゃえば丸く収まる」
「そんなうまく行くわけないだろ、フツー」
「普通、ね。確かに、普通だったら。でも、そこで〝普通だから無理〟って思考を閉ざすのが君達の限界だ。普通じゃ無理? だったら僕達は堂々と普通を脱ぎ捨てて異常になる」

 得意げに語るアッシュの姿に、リオトは思わず舌打ちをする。

 常識や倫理が限界を造る物ならば、容易にそれを捨てる。ホウオウグループにおいては当たり前の事であり、自分もそうであろうとリオトは思っている。

 だが、アッシュやこの男を生み出した男の場合、それが度を超えている。

 ウスワイヤ襲撃は言うに及ばず、ホウオウグループ内でも独断活動が多い。スタンドプレーが多いにも拘らず、未だに問題にならないのは、結果的にその行いがグループの利益として還元されているからだ。プラスマイナスのゼロ。本当に性質が悪い。クロウはさぞ、歯痒いに違いない。

「それにさぁ、リオちゃん。彼女は君と同類だろ?」
「!」
「君がイマイチ、ユウイちゃんに対して踏み込めないのはそれが原因だよね、臆病者の高嶺利央兎ちゃん。自分から彼女の側へ踏み込む事も、彼女を自分の側へ引き摺り込む事も出来ない――臆病者」
「……うるさい」
「その点、彩萌ちゃんは問題無い。何たって同類だ、何の気兼ねをする必要も無い」
「黙れ……」
「実際、リオちゃんだって分かってるんでしょ? 彼女の方が、自分と合うんだって――」
「――黙れって、言ってるだろうが!」

 リオトが雄叫びをあげた。塞がりかけの傷口を突き破り、真紅の槍がアッシュ目掛けて襲い掛かる。しかしその攻撃は、アッシュが首を傾げただけでかわされた。

「おお、怖い怖い」

 怖いと言いながらも、その顔は楽しげな笑みを描いている。本当にふざけた奴だと、リオトは思った。

「やめてよね。せっかく塞いだ傷口が開いちゃうじゃないか」
「……ふん」

 本当に、嫌な奴だ。リオトは思った。

 他人の心が読める癖に、それを理解する気が無い。理解するつもりが無い。こいつに感情があるのか怪しいと、リオトは思った。

「まぁ、僕には関係無いけどねぇ。君がどうしようが」
「ああそうだ。お前は関係無い――だから、次首突っ込んで来たら許さねぇ」

 ギロリと、アッシュを睨みつける。ありったけの殺意を、敵意を、視線に込めて。常人ならその視線に当てられただけで、言い知れない恐怖や不安感を覚え、人によっては失神すらしそうなものだ。しかしそんな魔眼に晒されながら、やはりアッシュは、楽しげな/面白げな笑みを浮かべている。

「しないよ、邪魔なんて。後はお若い二人で、ってね」
「……ふん」

 去っていくアッシュの背中を見つめながら、リオトは、アレを少しでも信頼していた自分が馬鹿馬鹿しい、と思った。


 ――・――・――


 翌日。

 学校に赴くリオト。その様子からは一切の気負いを感じない。既に覚悟は決めているからであろう。例え校内で妃乃彩萌と遭遇したとしても、絶対に取り乱したりはしない。そんな気迫が感じられる。まさに、「どこからでもかかってこい」と言う様子だ。

 だが、そんなリオトの心意気とは裏腹に、彩萌が姿を見せる様子は無い。例え顔を合わせる事は無くても、擦れ違いや視界の端に姿を捉えそうなものだが、それどころかまるで、妃乃彩萌が始めから存在していないかのように、その気配が感じられない。

「リオちゃーん、彩萌ちゃん探しているのかい?」

 昼休みに入り、それとなく校内を歩いていると、アッシュが待ち伏せしていた。ムッとするものの、リオトはそれを無視して通り過ぎようとする。

「くくくっ、そんな事したって、彼女を喜ばせるだけだぜ?」

 彩萌を探している事を見透かして、アッシュが言う。そのニヤニヤ顔をはっ倒したいのを我慢して、リオトはその脇を通り過ぎていく。

「結局さぁ、リオちゃん。君、彩萌ちゃんをどうするつもり?」

 ピタリ、とリオトは足を止めた。彼はアッシュの方を向かず、背中を向けたまま立っている。

「――――」

 リオトの唇が動く。彼の答えを聞いて、アッシュの口元が更に弧を描いた。

「ふぅん……流石だね、リオちゃん。その一途さはもはや崇拝の領域にも近い……だけど、それだけに謎がある。君がそこまでユウイちゃんを想うのは一体何故なんだい?」
「……ハッ、自分で考えろ、ばーか」

 後ろを振り返り、「誰がお前なんかに教えてやるものか」とリオトは舌を出す。それを見たアッシュは、堪えきれないようにくくくと笑い声を漏らした。

「確かに、確かに。大体僕が自分で言ったんだっけか。自分でも気付かない内に誰かに愛され、自分でも気付かない内に誰かに憎まれる。人間ってのは、そう言う生き物だったね」

 触れ合うのではなく、擦れ違い。無数のニアミスを繰り返しながら、人間は歩いている。そして人が繋がるのは、意図的に互いが手を伸ばし合うから。

 リオトと彩萌。この二人は今、擦れ違っている最中。いや、彩萌がリオトに向かって手を伸ばしているところ、か。その手を取るのか、振り払うのか。

「せいぜい、楽しませてくれよ。リオちゃん」

 互いに背を向け合いながら、二人はその場から離れて行った。


 ――・――・――


 彩萌の姿を見る事無く、放課後になった。

「……別に、異常は無いか」

 下駄箱を開くが、そこに別段変わった物は無い。昨日のように手紙でも入っているものかと思ったが、そうではなかった。

 一体彼女はどこへ行ったのだろうか。まさか、昨日の一件でリオトと顔を合わせづらくなり、姿を隠しているのか。

「いや、そんなキャラじゃないだろ……」

 自室のベッドの中で布団にくるまっている彩萌を想像し、「それはない」と自分に突っ込む。そんな可愛らしい人物像ならまだリオトにも救いがあるのだが、アレはそんな生き物ではない。その在り方は愛した者を貪り食う、雌の蟷螂のそれだ。

 取り敢えず、見つけないと話は始まらない。そう思って、彩萌を探し出す方法を考えながら門に差しかかった。

「――高嶺さん」
「ッ!?」

 それは唐突に姿を現した。

 リオトの行く手を遮るように、一人の女子生徒が立ち塞がる。

 黒く、艶やかなセミロングの髪。ほんの少しでも力を入れたら折れてしまいそうな儚さ。

 昨日と何ら変わりの無い様子で、まるでごく当たり前のように、さも自然であるように、妃乃彩萌はリオトの前に立っていた。

「こんにちは、高嶺さん」
「…………」

 ふわりと、彩萌が微笑みかけてくる。対して、リオトはそれを撥ね付けるように睨み返す。だがそれも、彩萌には響いていないようだった。

 身構えるリオトであるが、内心では焦りを覚えていた。ここでは人目につきすぎて、大っぴらに超能力を使う訳にはいかない。無論、窮地に陥れば使わざるえないが、そうなったらもはやいかせのごれ高校にはいられないだろう。それは彼の望むところではない。何よりユウイの傍から離れるなど、彼には耐えられない。

 しかしどうやら、それは杞憂で済んだようだった。彼女もここでやり合うつもりは無いらしく、「付いて来て下さい」と歩き出す。

「……待ってよ、オレ用事あるんだけど」

 これ幸いと思ったリオトだったが、あえてその誘いを断って見せた。この手の手合いは一度相手のペースに呑まれると主導権を握られてしまう、と言う事を、彼はアッシュから嫌と言うほど思い知らされてきた。この言葉は、それを避ける為のジャブみたいなものだった。

「……ついて来て、くれないんですか?」
「だから言ってるじゃん、オレ用事があるって」
「……私より優先しなきゃいけないほど、大事な事なんですか?」
「そりゃあ、もちろん――!?」

 だが、相手の方が一枚上手だったようだ。リオトは彩萌が見せた物を見て、思わず目を見張った。

「お前……そんなもの、一体どこで……!?」

 彩萌が持っていたのは、数枚の写真だった。どれもリオトが映っている。問題はそれがすべて、彼が超能力を用いて戦闘を行っているもの、だと言う事だ。中には、ジングウが起こした生物事件の時の写真まである。

「あぁ……恰好良いですね、高嶺さん……」

 手にした写真の一枚を、彩萌は口に咥えた。写真の端を口に含みながら、上目使いでリオトを見る。その視線はまるで、「言わなくても分かりますよね?」と暗に言っているかのようだった。

「く……」
「ついて来て……くれますよね?」

 彩萌が写真から口を離すと、唾液の糸が引いていた。その仕草を見て、リオトの背筋にぞくりと寒気が走る。まるでそれが蜘蛛の糸であるかのように、リオトの動きを縛る。巣に囚われた蝶のように、見えない糸に絡め取られ引き摺られるように、リオトは彼女についていくしかなかった。

 やがて二人がやって来たのは、通りから外れた路地裏の奥だった。人気は無く、薄暗く湿っている。通りからかなり離れているので、多少騒いでも人が来る事はそう無い。

 逆に言えば、自分が不利になった時、撤退が困難になる訳だが。

「高嶺さん……」

 熱を帯びた声で、彩萌が呟く。リオトの方を振り返った彼女は、自分の右手の人差し指と中指を咥えており、左手で自分の下腹部を押さえていた。その瞳は陶酔と狂気に彩られており、また淫靡な雰囲気も醸し出していた。

「今日一日、私を探していたんですよね?」
「いや、別に……」
「うふふふ……隠さなくても、いいんですよ?」

 ばさり、と彩萌が何かを投げた。数枚の写真が宙を舞う。やはりどれも一様にリオトが写っている。その中に、背を向け合うアッシュとの写真もあった。

「…………」

 視線だけを動かし、地面に落ちた写真を見た後、今度は彩萌の方を見る。どうやらリオトが彩萌を探している様子を、相手方はずっと見ていたらしい。

「すごく……ああ凄く、嬉しかったです……」

 熱に融けた眼差しで、彩萌はリオトを見つめている。そこが疼くのか、下腹部を押さえている手に力が入っており、唇から引き抜いた指先は唾液の糸を引いていた。

「私を、こんなにも想ってくれているなんて……」
「いや、オレが想っているのはお前じゃない」

 彩萌の言葉を遮るように、その気配に呑まれまいとするように、リオトは言った。彼が言っている言葉の意味が分からないように、彩萌は首を傾げる。

「何を……」
「オレが好きなのはお前じゃない。オレはお前の気持ちを受け取れない」
「…………」
「だけど――こんなオレを好きになってくれて、ありがとう」

 妃乃彩萌は狂っている。狂っているが、それでも一途にこんなにも自分の事を想ってくれている。それは正直な気持ちとして、リオトは嬉しいと思っていた。今まで色んな人間から好意を伝えられて来たが、そうした人達全員の想いを集めても、彼女一人の想いには勝てない。

 本当に――こんな自分を、こんなにも想ってくれてありがとう。

 だが、

「だったら、」
「それとこれとは別問題だ。オレは君を愛さない」
「――!!」
「オレが愛情を注ぐ相手は、もう決まっている」

 はっきりと、決別の意味を込めて。リオトは彩萌を拒絶した。

「オレがこの手で抱き締めたいのはお前じゃない。榛名有衣、ただ一人だ」

 瞬間、二つの鋼がぶつかり合った。

「ッ――!!」

 疾い。あと少し彫刻刀を抜くのが遅れていたら、昨日の様に首を掻っ切られていただろう。リオトの眼前に、銀色の凶器/狂気が迫っている。

「何で――なんでなんでなんでなんでなんで!!!!」

 彩萌の声は、涙で濡れていた。彼女の頬を伝う滴、しかしそれを見てもリオトはもう悲しいとは思わない。

 そうだ。一体何で彼女に少しでも心が動いてしまったのだろう。浮気なんか許されない。確かに、高嶺利央兎と妃乃彩萌は同類だ。同類だから心が動いたのか。

(――思い違いも甚だしい!)

 同類ならば、むしろ相手は恋敵。その一途さにおいて、自分は負ける訳にはいかない。

 だって恋は、先に惚れた方が負けなのだから――!!

「こんなにも、こんなにも私の方が、あの娘よりも貴方を想っているのに――!!」
「そうかい! だけどな、俺がユウイを想う気持ちの方が、お前の気持ちよりもよっぽど強い――!!」

 二つの刃が激突する。突き出される刃を、或いはかわし、或いは得物で受ける。

「彼女は、貴方の気持ちに全く気付いていないじゃないですか!」
「そんな鈍感なところも、俺は好きなんだよ!」

 否、むしろ救われている、と言うべきか。きっと、気付かれていたら、今みたいな距離ではいられないし、今みたいな関係でいられない。心のどこかでリオトは、この距離感も悪く無いと、思っていたのだ。

「出来たら、もっと近くにいたいけどッ!!」
「きゃあっ!?」

 片手の彫刻刀で鋏を受け、鋏を掴んでいる右手を空手で打つ。その一撃に負け、彩萌は得物を取り落とした。更に彼女はバランスを崩し、その場に倒れ込んだ。

「あ……」

 彩萌の目の前には、突き出された彫刻刀の刃があった。それがリオトの最後通牒。徹底した、彩萌への拒絶だった。

「オレの気持ちは変わらない。俺が想うのはただ一人、だ」
「う……」

 じわりと、彩萌の目元が潤んだ。彼女はそれを拭うと、ふらりと立ち上がる。ふらふらと、まるで糸の切れた人形のように、彼女はリオトから離れて路地から出て行った。

 去っていく彩萌の後ろ姿を見て、リオトは心が痛んだ。こればかりは無関心ではいられない。歪んでいても彩萌の気持ちは本物であったし、その想いをリオトは真正面から投げ捨てたのだから。

「……おい」

 しかし、すぐに表情を引き締め、リオトは頭上を見上げた。ビルによって切り取られた空。そこから自分を見下ろす出歯亀が一匹いた。

「やぁ、お見事お見事。キレイさっぱり振ってみせたね。今度、参考にさせてもらうよ」
「アッシュ……!」

 口元に笑みを湛えながら、アッシュはこちらを覗き込んでいた。この様子ではおそらく、ずっと二人の動向を監視していたのだろう。その光景を想像し、リオトは怒りを覚えずにはいられなかった。

「降りて来い。んでもって、その顔を一発ぶん殴らせろ」
「何でさ。僕、横槍入れてないじゃない」

 「とんでもない」とでも言うように、アッシュは両手を上げてみせる。そういう問題じゃないだろ、と思ったが、リオトは口にまではしなかった。

「……一つ聞かせろ。あの写真、妃乃さんに渡したのお前だろ」
「あの写真って、どの写真?」
「とぼけるなよ。オレが能力使ってる写真なんて、妃乃さんが持ってる訳無いだろ。ましてや生物兵器事件の写真なんざ、それこそ当事者が撮ってなきゃあ、な」
「……ご名答。『Good』、そして『Ecactly』、だ。まぁ、これ位気付いてくれなきゃ、僕は君の事を一段下に見なくちゃいけなくなるけど」
「ふざけんなよ……それじゃあアレか? 俺はお前らの掌の上で踊らされてたって言うのかよ!?」
「結果的にはまぁ、そうなるかな――」

 瞬間、リオトはエンジンを全開にした。血液が最高速度で全身を駆け巡り、リオトの身体機能の真の力を引き出す。

 ダンッ、と彼は地面を蹴った。壁を蹴り、縁を掴み、ビルの屋上まで一気に駆け上る。アッシュの顔面を殴り飛ばし、そのまま地面に引き摺り倒した。

「ざけんな!! こちとら、てめぇらの遊び道具じゃねぇんだぞ!!」
「ッペ……」

 憤怒を露わに、リオトはアッシュの胸倉を掴み上げる。しかしアッシュはそんな彼が眼中にも無いように、血の混じった唾を吐き捨てる。その様子が尚の事、リオトの頭に血を昇らせる。

「野郎ッ……!」

 彫刻刀を、アッシュの喉元目掛けて突き出す。リオトが持てる最高速度であり、いくら天子麒麟を持つアッシュでも、これを喰らったら無事では済まさないだろう。

「僕はただ、彩萌ちゃんの手伝いをしてあげたかっただけだよ」
「――……何?」

 彫刻刀は、アッシュの喉の皮を破り、先端が僅かに肉に食い込んだところで止まっていた。傷口から血が零れ出す。しかし痛みを感じる風でなく、アッシュはつまらなそうな表情で言った。

「リオちゃんと来たら、いっつもユウイちゃんユウイちゃんじゃない。彩萌ちゃんにしてみれば、たまったものじゃないよね、本当に。君のあからさまな気持ちにも気付かないような朴念仁なんかよりも、よっぽど彼女の方が君の事を想っているのにね」
「…………」
「ちょっとさ、なんか、見てられなかった」

 そう言って浮かべたアッシュの笑みは自虐的で、いつものような力は感じられなかった。気が付くと、リオトは手を放していた。

「別にさ、君の事を責めている訳じゃないんだよ。何て言うか――いや、何でもないや。別にリオちゃん、自分がやった事に後悔はしてないでしょ?」
「……ああ」
「うん。僕自身、君の選択は間違いだったとは思ってないよ」



 「ちょっとさ、なんか、見てられなかった」



(翌日リオトは、妃乃彩萌が行方不明になった事を聞いた)

(誰か一人だけを選ぶ)

(誠実な、正しい行動の筈なのに、)

(それがこんなにも残酷な事なのだと言う事を、)

(彼は強く噛みしめた)

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最終更新:2013年05月14日 11:08