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とまらない好奇心。

「…おいあんたら、その子をどうする気だ?」

「はいはいこんにちは~!
急にごめんね、僕は橋元 亮、そっちの目つき態度悪いのは巴 静葉
成見君の知り合いだよ!」


「亮!?それに静葉姉ちゃんも!」



その少年と少女は突然現れた。まるで、…そうだ、幽霊のように。
――本当に、突然現れたとしか言いようがなかった。

葛城袖子はビクゥと肩を跳ねらせると、咄嗟にフミヤの後ろへと下がった。
フミヤも、これには驚かないわけがなく、半歩後ろに下がる。

「な、なに…?さっきまで、誰もいなかったのに!」
「おっとっと。…もしかして、今日はツイてる日かナ?」
「さっさと答えてもらおうか。この子をどうするつもりだった?」

やや威圧感を与える瞳で袖子とフミヤに近付く、少女――巴 静葉
それを、わぁわぁと声を上げながら少年――橋元 亮 が止める。

「まぁまぁ、静葉。もーちょっと柔らかーくいこうよ、ね?」
「うるさい。黙ってろ。」

すっぱりと亮の言葉を切り捨てる。
静葉は目線を逸らさず、じっとフミヤの方を睨みつけていた。
こわいこわい、と独り言のように呟きながらフミヤが話し始めた。

「ごめんね、誘拐とかしてたわけじゃないんだよ。」
「………」
「…ご、ごめんなさい。こいつ、見た目は怪しいけど、本当のこと言ってるんだ。」

静葉はそれでもなお二人を睨みつけていたが、ちらりと成見を見ると。

「…本当か?成見」
「――まぁ。変なことはされてないよ。…最初は不審者かと思ったけど。多分、悪い人じゃないと、思う。」

二人はこんな自分の容姿を気味悪く思うことなく受け入れてくれた。
そんな二人を悪く言うのは、少々、気が引けるというものだ。

「…ねぇ、袖子ちゃん?」
「何。ちゃん付けだなんて気持ち悪いな」
「どーしておれの服をそんなに力いっぱいひっぱっているのかナ…?」
「…あんたが変な行動起こさないためにだよバカ」

フミヤの言う通り、袖子はフミヤの服を掴みながら、彼を決して動かすまいと、力いっぱい踏ん張っていた。
と、いうのも、突如現れた二人に向かってフミヤが飛び掛らんばかりに

―――ねぇねぇ能力者ーー!?

と近付いていくのが眼に見えたからである。これ以上の面倒事は避けたかった。

だが、そんな彼女の頑張りも空しく――

「ねぇ、二人ともさっきいきなり幽霊みたいに現れたように見えたけど…。
それは、チョーノーリョクとかそういう類…?ねぇねえ!」

フミヤは、薄汚れた緑色の手帳とペンを持ちながら眼を輝かせ鼻息を荒くしていた。

「………」
「……静葉、この人、気持ち悪いね」
「…あぁ」
「ごめんなさい、ほんと、悪い人じゃない、んだ…」

他人のフリをしたい…!
心の底からそう思った袖子であった。


「って今はそれどころじゃないんだった」


ぱっと表情が変わるフミヤ。

「ねぇ、静葉ちゃんに亮くんだっけ?二人とも、『色のない森』って聞いたことあるかい?」
「『色のない森』…だと?」
「そ。その名の通り森には色がなくてね。鳥の鳴き声も、風の通り抜ける音も聞こえないらしい。」
「…それが、なんだ?」


「それをね、今から見に行こうと思っているんだけれど…。良かったら、君たちも一緒にどう?」

細められた琥珀色の瞳が、鈍く光を放った。



とまらない好奇心。

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最終更新:2013年06月03日 08:56