【流星ガーディアン】
第14話、心配性な話
サイボーグの少女、
アリスは道路を漆黒のバイクで走っていた。
『スキャンパー』というニックネームをつけられたフルカウルの排気量400ccのそれは加速力と旋回性を重点にカスタマイズされており、そのニックネーム(跳ね回る、の意)の通り非常に小回りの利く仕様になっている。
アリスはこれを日常の足として使っている。
フルフェイスヘルメットからは濃蒼の長い髪が靡き、日の光を浴びてキラキラと光っている。
今日は身体のフルメンテナスをする為に朝から団の仲間である『
高橋 直子』博士の下に行っており、自宅ではできない部分のメンテナンスを行ってもらっていたのだ。
人間の身体とは根本的に構造が異なる身体になってしまったアリスは、疲れを感じず極限状況でも行動でき人間を遥かに凌駕する身体能力と演算能力を備えるが、その代わりに定期的に消耗パーツの交換や各部位の調整などを必要とする。
現行科学技術から遥かに逸脱したオーバースペックの塊のアリスを何故博士がメンテナンスでき、パーツを(オーダーメイドとはいえ)製作できるのかは不明だが、ともあれアリスはメンテナンスを博士に頼っている。
それが今、ちょうど終わったところだった。
「あれは…?」
遥か遠く、走りながら人を遥かに超えた視力で捉えたのは、
コオリと
アオギリの二人だった。
小さい子供が二人だけで居るのを訝しんだアリスは、脳内に組み込まれたメモリーチップにアクセスし、静葉の言っていた言葉を検索する。
『いいかアリス、子供を見た時近くに保護者が見えなければ、できるだけ家に送り届けてやれ。いかせのごれはそこまで治安の良い街じゃない。どんな組織がどんなふうに暗躍してるかわからんからな。アリスは見た目は少女だから不審者扱いはされないだろう。』
その言葉に従い、アリスは減速し二人の前で停車する。
そこは、場所的にはアリスの自宅からほとんど離れていない場所だった。
「小さい子二人でどうしたの?」
「おねーさんだぁれ?」
「僕の名前はアリス、いかせのごれ高校の2年だ…それで、お母さんやお父さんは?子供が二人だけで出歩くのは危ない。」
アリスはヘルメットを脱ぎスキャンパーから降り、小さな二人の前でしゃがむ。
アリスは女性にしては身長が高い為、威圧感を与えないようにだ。
「おばけさんをさがしにいくのー!」
「おばけさん?」
アオギリが言う。
表情が乏しいアリスがそのまま小首を傾げるのはシュールな光景だが、これは本当に真意を測りかねる。
「しんぶんにのってたの!」
「…そう。」
そこまで聞いて、合点がいく。
新聞の心霊特集か何かを見てこの子供たちは興味を持ってしまったのだろう。
それで、その『おばけ』を探している。
「でも、子供だけじゃ危ない。」
「えー?アオ、おばけさんにあいたい!」
「・・・」
どうしても探したい様子のアオギリとコオリを見て、アリスは表情こそ変化しないが内心ではかなり困っていた。
こういう事態にアリスは弱いのだ。
「…わかった、僕が一緒に行ってあげる。それで満足したら、家に帰ろう?」
「うん!」
結局、付き合うことにしてしまった。
そのうち飽きるだろうと言う推測もある。
二人に最強の保護者が付いた瞬間である。
<To be continued>
最終更新:2014年03月18日 21:08