携帯でのお誘い
「…んで、今度の連休に、旅行にこねーかってことよ。」
『いいね、それ!ちょっと親に相談してくるよ!』
「いい子だなお前;」
学校の屋上で携帯を使う由衣。
相手は凪だ。誘おうと思ったら何故か今日学校を休んでいた。
そこで試しに電話をかけたところ、いたって元気な凪登場。
どうやら風邪をひいた冬也の看病をしていたらしい。
「病弱であるらしい」ことは噂で聞いていたので何となく納得する。
『…うん!大丈夫だ!』
「そりゃよかったw」
『で、もしよかったら、冬也も連れてきていいか?』
断る理由なんて何処にもない。というか大歓迎だ。
「勿論!確か奏と同じ位だったろ?友達になるかもしんねーしな!」
『じゃあ、今度の週末に
レストランに集合でいいな?』
「ああ。1泊2日のつもりだからそんなに荷物は多くなくていいかもな。」
『了解!じゃあ、楽しみにしてるから!』
そう言って、電話は切れた。
画面を待ち受けに切り替えると、メールが1件入っていた。
店長からだ。珍しいな、と思いながら開く。
無題のメールにはこう書かれていた。
『能力を無効化する能力者って、誰かいなかったかな?』
そんな人、見当もつかなかったのでとりあえず『いや、知りません』とメールを返しておいた。
なんでそんなことを訊くのだろうと考えたが、さっぱり見当のつかなかった由衣は、
「間違って能力使わせないようにかなぁ…。」
程度にして考えるのをやめた。
元々頭を使うのがそんなに好きではないたちだったのもあったのだから、当然と言えば当然だが。
「…あー、やっぱりそんなに都合よく行かないか;」
携帯に帰って来たメールを見、店長はため息をついた。
「どこかにブランカちゃんみたいな能力使える人いないかと思って探してるんだけどね、なかなかうまくいかないわ;」
ブランカ・白波のような能力。つまり、能力を無効化する能力。
必要な理由は、氏型環のためである。
氏型環は何につけてもいいことがなく、過去の経験も重なって卑屈になっているという。
しかし、一度店に来た時になんとなく感じ取ったのだ。
「不幸体質」は「能力」じゃないのか?と。
もしそうであるなら、能力を無効化してしまえば、環も一般人と同じ。
何も起こることなく旅行を楽しみ、皆と仲良くなれるのではないかと考えたのだ。
「でも、思うようにはいかないなぁ…。」
亜音はそりかえり、椅子に体重を預けた。
能力がないならどうするか。
今はそれを考えることに専念するつもりだった。
最終更新:2011年03月13日 14:44