生存報告
「「カンクロー」さんからまだ報告来てないの!?」
夜、春美は素っ頓狂な声を上げていた。
「ええ。まぁ、何につけてもマイペースでありマシたから、また女の子引き込んでそうでありマスね。」
「それ以前に無事の一報くらいくれればいいのに…。」
クランケの手により救い出された春美は、とにもかくにも妖怪たちの無事を確認してまわっていた。
能力封じを解かれた今、本来の力を使えるようになった妖怪たちから無事の一報と共に近況報告が飛ぶように来る。
それもいくらか落ち着き、残り少しとなっていた。
「確か、私がつかまる前に『沖縄の店に閑古鳥が鳴き続けてるから、そろそろいかせのごれに移転する』って報告したきりで…。」
「移転したのは確認したのでありマスが、当のカンクローは見なかったのでありマス。」
『…お、やっとつながった。おーい、もしもーしw』
春美の耳に声が届いた。春美も声を上げる。
「カンクローさん!どうしたの、遅くなって!心配してたのよ!?」
『ごめんごめんw出前にいってたら帰りに泣いてる女の子見かけちゃってさ。放っておけなかったわけよー。』
「それみろ、やっぱり女の子がらみでありマス。」
「まあまあ;」
『…で、お聞きの通りこっちは無事だから。安心していいよ。』
「「
アカノミ」も大丈夫ね?」
『一回枯れかかったけど大丈夫。正直これ以上「主」が能力使えなかったら危なかっただろうね。』
「よかった…;」
『まぁ、力が使えなかった分本来の活動はできなかったわけだけどね。』
「ちょっと、それは駄目だって何度も言ったじゃない。」
『あらら、そうでしたっと。まぁ、主がいなかった間、誰も人間襲えてないはずだから、そこはラッキーじゃないの?』
「本人の心情知らないでよく…。」
「落ちついて、キリ君;」
『そうそう、そんなに気がたってたら、間違って主斬っちゃうかもよーw』
「ちょ、ちょっとカンクローさん!;」
この一言には流石のキリもキレたらしい。
立ち上がり、その場にいない相手に怒鳴った。
「黙って聞いてれば調子にのって!今夜面貸せでありマス!今日こそ思い知らせてやるのでありマスよ!!」
『ああいいさ、かかってこいよ!返り打ちだこの野郎!』
「二人とも落ちついて!ていうかいつも途中で止めるけど、カンクローさん勝ったことないじゃない!」
『今回は勝ってやるから!』
「いや今回も…。」
「いい加減にして!!」
悲鳴とも近い春美の声が響き、一瞬閃光のようなものが弾けた。
それがきっかけだったように、二人のいい争いがぴたりと止んだ。
「『…主…;』」
「二人だけならともかく、毎回周りの被害が激しいじゃない!それに、どっちも怪我されちゃ困るよ!」
「『…。』」
「いい?地下牢にいたときにきいたけど、今あっちこっちで能力者絡みの事件が多発してるの。霊や妖怪とは直接関係ないけど、私たちもアースセイバーよ。いざというときは協力しないといけないんだから。だから喧嘩しないで!」
「…はぁ、またしてやられたのでありマス。」
『お互い様だね。ごめんよ、主。』
「分かってくれればいいの。ね?」
憤慨していた3人の空気は、丸いものにかわった。
「じゃあカンクローさん、何かあったら直ぐに連絡頂戴ね。」
『了解っ。そっちも、ピンチの時はいつでも呼んでくれよw』
じゃっwと軽い声が聞こえ、通信が途絶えた。
「…確かにそうでありマスね。妖怪絡みではないにしても、事件が相次ぎ過ぎているのでありマス。」
先に受けていた他の妖怪からの報告でも、能力者が巻き込まれたり事情が絡みあったりと平穏ではない。
自分にも何かできないだろうかと、春美は思考を巡らせることにした。
「とりあえず、クランケさんのお礼も兼ねて…。」
追記
「ところで、なんでキリ君ってカンクローさんとあんなに仲悪いんだったっけ?」
「スカした面が気に入らないのでありマス。向こうもそんなこといってたような気がするのでありマスが。」
「あ…そ;」
最終更新:2011年03月31日 14:25