呼び出しは赤い星から
あちこち走り回って一時間が経過。
「…っはぁ;やっぱり無理じゃったか;」
息を切らしながら月光は呟いた。
青い鳥は既に消え失せ、完全に当てがなくなった。
「やっぱりたかだか2年の付け焼刃じゃ無理があったぜよ…;」
冷たい風の吹く木陰の下。
汗の流れる体を冷やしていく。
回復のためにそこに座っていたが、その休息が中断されたのは直ぐのことだった。
携帯が鈍い音で唸る。誰かからの着信だ。
携帯を取り出し、スピーカーに耳を当てた。
「…はい、もしm」
『月光!今すぐ戻りやがれ!』
言葉を遮って聞こえた声は勿論、星のものだ。
「な、どうしたがか!」
『久しく客がきやがった!…といっても道案内程度だがな;』
「ええ!あの襤褸小屋に誰が!」
『襤褸小屋は余計だ馬鹿;とにかく戻ってこい!』
「しかし、道案内程度なら星殿がやっても…。」
『忘れたか!これからじっちゃんとこに
墓参りに行ってくるんだよ!』
「あぁ…、そういや今日、5回忌じゃったな…。」
『クランケも一緒に行くし、まさか
ミサキにやらせるわけにもいかねぇだろ?;』
「…納得ぜよ;」
「じゃあ、すぐに事務所に戻ればいいんじゃね?」
『頼むぞ。あ、それと。』
思い出したように星は付け加えた。
『帰ったら絞らせてもらうからな、『東』のこと!』
「!な、なんでそれを…;」
『隠し事下手なんだよ、お前は。それじゃ。』
音の消えた携帯を閉じ、月光は立ち上がった。
「…ま、ここからならさほど時間はかからんじゃろ…。」
そう言いながら、ゆっくりと歩き出した。
「…月光の奴、一体どこまで遠くに行きやがった…。」
「まぁ、そんなに時間はかからないと思うけど…。」
「…あの、」
「「ん?」」
「今、『月光』って…いいました?」
最終更新:2011年05月05日 16:20