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「はぁ、くそ、ドジふんじまった・・・!」
ハントマンの集う、カザン共和国へ通じる小道から少し離れた所で、戦いが繰り広げられていた。
戦っている人物は、大きめの刃を持つ剣を巧みに操り、襲いくる魔物の群れに抵抗を続けていた。
だが、武器を弾き飛ばされてしまう。
「もう、駄目か・・・。これじゃ、何の為に隊長達が逃がしてくれたのか、わかんねぇや・・・」
魔物が、その者の首を狙って繰り出した攻撃は、
―――彼に届くことは無かった。

辺りに響く、硬い物同士がぶつかりあう鈍い音。
「ぐっ・・・。ここはボクが押さえます!貴方は退いて下さい!姫様、この人の事、お任せします!」
「うん、分かった」
いきなり現われた一組の若い男女。良く見ると、少女には獣の様な耳が頭についている。
「!? ルシェ!?いっ・・・」
「怪我してるんだから、無理しないで。今、手当てするから。」
後方で、ルシェの少女は傷付いた剣士に、簡単な治療魔術を施す。
「凄いな・・・もう動ける。サンキューな!」
そう言いつつ、彼は駆け出す。自らの落とした剣へ向かって。
無防備に突っ込んでくる獲物を黙って見過ごす訳は無い、と言わんばかりに、今まで抵抗していた少年から、剣士へと目標を変更したようで、一直線に向かって行く。

「ありゃ、やっぱり都合よくは行かないか。」
迫りくる魔物をどうにかしてやり過ごさなければ、剣を拾うことは出来ない。
魔物が攻撃を繰り出す。だが、剣士は動きを見切り上手く躱す。
その後も二撃、三撃と躱していくが、四撃目を躱した所でバランスを崩してしまう。
「ヤベッ、またピンチ!」
しかし、またしても攻撃は届かない。
「何やってるんですか!?怪我人は下がって下さいよ!」
と、白髪に褐色肌の少年が言った。
「お前もルシェか、今日はよくルシェに会うなぁ。」
の、呑気なこといってないで、武器を拾って戦うか逃げるかして下さいよ!
他人をかばいながら戦うことは、正直厳しいんですから!」
事実、ルシェの少年の構える盾は、魔物によって徐々に押し込まれていく。
「りょーかい。それじゃ、反撃開始だ!」

彼の剣技は鮮やかなもので、一撃一撃にそれなりの威力があった。だが、仕留めきれない。
「くっそー、こいつタフだなー」
「我が騎士、ヒトに命ず」
後方から、少女の声が聞こえた。
「我に仇なす、あれを、討ちなさい」
「Yes.マスター!」
少女の号令とともに持てる力全てを発揮して、魔物にルシェの少年が切りかかる。
そして、そのまま魔物の頭部を捉え、一気に振り抜いた。
深々と入った切り口は完全に脳まで到着し、その組織を破壊している。
「ヒュー、やるなお前!」
「はぁ、疲れた・・・」
「お疲れ様。水、飲む?」
「はい、ありがとうございます。」

彼らは一息つくついでに、軽い会話を交わした。

「いやー、済まないな!助かったよ!」
「本当、ギリギリでした。姫様が気付いて無かったら、間に合いませんでしたよ!」
「うん、何かね、音がしたから。」
「そういやまだ自己紹介してないなー。オレはブラックって言うんだ。君達は?」
「ボクは、ヒトといいます。」
「私は、サン。」
「へぇ、どこから来たんだい?サン姫さまは」
ブラックの問い掛けに、サンの表情が少し沈んでしまう。
それを見たヒトが、代弁した。
「あちらの方の、小さな国から・・・。今は、フロワロに沈んでしまいましたが。」
「!? ちょっとまて!? オレもその国から来たぞ!?」
ブラックの発言に耳を疑った二人。だが、王の名を知っているようなので、嘘では無いらしい。
「まさか・・・、あの噂は本当だったのか・・・」
彼の話によると、町の人々には、サンとサンの母のことは、一切知られていないらしい。
「でも、ときどき聞いたんだ。『王には、けがらわしいルシェの愛人がいる』って・・・。」

その一言が、サンの心にショックを与えてしまい、さらに表情が暗くなる。
「・・・あなた、喧嘩売っているんですか?姫様を傷つけるようなら、容赦無く切ります。」
ヒトが殺気を、ブラックに向けた。
「ま、待てよ!確かにそんな噂は聞いたが、オレはルシェを嫌ってたりなんてして無い!むしろ好きだ!」
はぁ?、とヒトがうろたえる中、ブラックは主張を続ける。
「可愛いよな、ケモミミ。もふもふしてぇー。」
ビクッ、とサンが軽く硬直する。
「という訳で、仲直りしてくれないかなー、なんて・・・」
「・・・うん。許してあげる。」
「マジか!?やったー!」
嬉しそうなブラックをしり目に、ヒトがサンに耳打ちをする。
「・・・良いんですか?許して・・・。」
「悪い人じゃ無さそうだし。」
「・・・そう、ですね。」



この後、彼ら三人はギルドを立ち上げる事になるのは、また別のお話。




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最終更新:2013年04月22日 20:19