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山で木を切る音がして、倒れる音が聞こえる事があります。
いくらさがしても木を切った後も、切られた木が倒れたのも見つからない。
古杣や天狗倒しなど呼び名は地方で様々ですがこういった出来事はよく聞かれます。
これはそんな出来事が起こるある山での出来事です。
そこでいつものように木を切っているきこりがいました。
その日の仕事を終え、帰ろうとしているとどこからか木を切る音が聞こえます。
それが鬱陶しく感じたきこりは山に向かって叫びました。
「そんなんじゃ怖くもなんともないぞー。鬱陶しいだけだから静かにしろー。」
その声が山に響くと今まで聞こえていた木を切る音が聞こえなくなりました。
木を切る音が聞こえなくなった事に満足したきこりは家に帰しました。
けれどその晩の事です。
きこりが眠っているとどこからが何かを切る音が聞こえます。
きこりが恐る恐る目を開けるて辺りを見回そうとしますが体が思うように動きません。
自分の身体を確認しようとすると胴体が鋸で切られているように音と一緒に血が噴出しています。
それに気づいた途端それまで感じていなかった痛みが全身を駆け巡りました。
なんとかしてそれを止めようとするのだけど、暴れれば暴れるほど痛みが酷くなるばかりです。
その日は一晩中激痛と死の恐怖に怯え続け、気がついたときには朝でした。
昨晩流したはずの血も、切られた後もなくなっていたけれど、恐怖だけはまだその身に残っています。
だからその日は外に出る事にも怯えて、戸締りを念入りにしました。
それでも安心できず、斧を持って寝ないでいようとしたけれど、ゆっくりとやすむことができなかったためでしょう、気がついたら眠りに落ちていました。
気がついたとき、寝る前に持っていたはずの斧が手の中からなくなっていました。
落としてしまったのかと周りを見回しても見つかりません。
どこに行ったのだろうととふと上を見上げると斧が宙に浮かんでいます。
寝ぼけていたからか、宙に浮かぶ斧を見てもおかしいと思わず、そんな所にあったのかと手を伸ばそうとしました。
すると斧はきこりに向かって落ちてきて伸ばした腕を切り落としました。
あまりの事にあっけに取られ、途中でなくなった腕を見ると床に刺さった斧がまた宙に浮かんでいく所でした。
また切られると思ったきこりはとっさに残った腕でその身を庇おうとしましたが、その腕ごと頭を叩かれてしまいました。
次の朝きこりが目を覚ました時、昨日の朝と同様に昨晩の事はまるでなかったかのように元のままです。
けれどきこりの心はもう恐怖で気が狂いそうでした。
なんとかして逃げ出そうと、きこりは山へ行き、もう馬鹿にしたりしません、ごめんなさいどうか許してくださいとお願いしにいきました。
けれども山は何も答えませんでした。
だから今でもその山ではきこりが許しを請う声が聞こえるといいます。。