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&aname(birthday3)
454 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:04/10/18(月) 12:34:27 ID:???
さて七瀬は大丈夫かな、先週の件が心配だし執行部へGO!
「七瀬、いるかぁ?」
「あ、・…織屋君…」
(なんか元気が無いぞ。俺を見てくれないし)
「七瀬、大丈夫だったか?」
「う・うん。ありがとう・…」
「そりゃ良かった。電話しても出てくれないし」
「あ、御免なさい。ちょっと忙しかったから・・」
「まぁいいや、それより今日誕生日だろ。ほらプレゼント」
俺は七瀬に包みを差し出した。
「えっ、私に?」
七瀬は意外そうな顔をしながら包みを受け取り開け始める。
「こ・これ、リチャード・ジノリのティーカップじゃない! 高かったでしょ?」
「そ、そうでもないぞ。(15000円したのは内緒だ…シクシク)」
「ありがとう、織屋君。・…でもこれって校則違反じゃない?」
「な、何が?」
「これは学校に関係の無い物じゃないかしら?」
俺を見る七瀬はいつのまにか元気を取り戻しいたずらっ子の目をしていた。
「そうでもないぞ。その2客のカップの内1つは俺のお茶会用のカップでもある」
「あら、織屋君もお茶会に参加したいの?」
「じゃなきゃペアのティーカップは買ってこないぞ」
「・…分かったわ、これは校則違反じゃない。それでいいでしょ?」
「七瀬、随分変わったなぁ…」
「貴方のせいよ…大好きな貴方の・・…」
「えっ?」
「ううん、何でも無いわ。ありがとう織屋君・…」
その時の七瀬は咲き誇らんばかりの笑みを浮かべていた。
----
&aname(nuigurumi)
468 名前:ぬいぐるみ[sage] 投稿日:04/10/18(月) 18:53:33 ID:???
昼休み プール脇 七瀬と男子生徒
男 「高遠さん、お誕生日おめでとう。こ、これを受け取って下さい」
七瀬「・・・・・どうも・・・ありがとう」
男 「た、高遠さん、それで、もしよかったら今度の日曜僕と・・・」
七瀬「ごめんなさい。自治会の仕事があるから、もう行かなくてはならないの」
男 「そうですか・・・・」
七瀬「それじゃあ」
男 「・・・・・・・・・」
まだ何か言いたげな男子生徒を残し、七瀬は校舎に向かって歩き出した。
(断りたいところだけどど、同じクラスの人だから、突き返したら角が立つわよね)
お堅いので有名な執行部副会長とはいえ、彼女ほどの美少女を学園の男達が放って
おくわけもなく、七瀬は誕生日やクリスマスになると何人もの男からプレゼントを渡される。
よく知らない相手には「貰う理由がないと」キッパリ断るのだが、そうでない場合は、
彼女もむげにするわけにもいかない。それが少々重荷だった。
(私にこんなもの渡しても仕方ないのに)
七瀬はふと立ち止まり、男から渡されたプレゼントを眺めた。
高級そうな包装紙に包まれている。
(何かしら? こんな時は中身がすぐわからないと困るわね。去年はリングなんか持って
きた男もいたわ。あんな高価なもの、あかの他人から受け取れるわけないじゃない・・・・・)
中身を見て慌てて返しに行き、相手の男と揉めた嫌な記憶が蘇る。
(本当・・・毎年この日は憂鬱だわ)
七瀬は一つ溜息をついた。
469 名前:ぬいぐるみ[sage] 投稿日:04/10/18(月) 18:55:12 ID:???
校舎玄関前
「いたいた。おーい、七瀬」
校舎玄関のところまで戻って来た時、七瀬を呼び止める声があった。
七瀬「あら、織屋君」
浪馬「探したぜ? 珍しいな。おまえが昼休みうろつくなんて」
七瀬「私を? 織屋君が?」
浪馬「そうだ。ほら、これ。七瀬にやるよ」
七瀬「なんなの?」
浪馬「こいつと・・・」
浪馬が無造作に上着のポケットから出したもの。それはちっちゃなクマの
ぬいぐるみだった。
浪馬「まだあるぞ」
反対のポケットからはペンギンのぬいぐるみが出てきた。
七瀬「あら、可愛いわね」
浪馬「だろ? ほら」
片手に男のプレゼントを持っていたので、七瀬はもう一方の手で胸に抱え込むようにして
二匹のぬいぐるみを受け取った。
七瀬「ふふふふっ、でもどういう風の吹き回しかしら?」
浪馬「風も嵐も何も、おまえ今日は誕生日なんだろ?」
470 名前:ぬいぐるみ[sage] 投稿日:04/10/18(月) 18:56:21 ID:???
七瀬「!・・・・お、織屋君・・・まさかこれって・・・」
浪馬「ああ、俺からの誕生日プレゼント」
七瀬「う、うそ・・・・」
七瀬は一瞬頭の中が真っ白になった。
浪馬「嘘なもんか。なんだよ、俺なんかから貰っても嬉しくないってか?」
七瀬「そ、そうじゃないの! でもまさか織屋君が私の誕生日を覚えてるなんて・・・・」
浪馬「あのな、何度も一緒に遊びに行った仲じゃないか。いくら俺でもそのくらい覚え
てるぞ」
七瀬「・・・・・・・」
(お、織屋君が・・・織屋君が・・・私に・・・・・?)
浪馬「七瀬? 何ぼんやりしてるんだよ?」
七瀬「あっ!? う、ううん、別に何でも・・何でもないの・・・・」)
(ど、どうしたの私・・? 急に体が熱くなって・・・・・)
浪馬「おまえちょっと顔が赤いぞ? 風邪でもひいてんじゃないか?」
七瀬「そ、そんなことないわ。だ、大丈夫だから」
浪馬「そうか? まあ、いいけど無理するなよ?」
471 名前:ぬいぐるみ[sage] 投稿日:04/10/18(月) 18:57:36 ID:???
浪馬「昼休み終わるな。そろそろ戻ろうぜ」
七瀬「待って織屋君!」
浪馬「なんだよ?」
七瀬「プレゼント・・・・・あ、ありがとう・・・私・・・すごく嬉しい・・・・」
七瀬はますます顔を赤くしながら、やっとのことで言った。
浪馬「おいおい、何もそんな大げさに考えることないって。そいつみたいに、
綺麗にラッピングしたもんでもねえし・・・な」
浪馬は七瀬が手にしている男からのプレゼントを指差しながら苦笑した。
七瀬「あ・・・これは・・・・」
浪馬「あんまり比べないでくれよ? 俺のプレゼントが見劣りしちまうから」
七瀬「そんなことは・・・・」
浪馬「本当はもっと豪華な物にしたかったんだけど、今月は生活費に余裕
なくてさ・・・・はははははっ・・・それでせめて七瀬の好きなぬいぐるみをと
思ったんだ。でもゴメンな、甲斐性なしで」
すまなそうに頭をかく浪馬の姿に、七瀬は胸がギュッと締め付けられた。
七瀬「お、織屋君・・・・」
浪馬「ん?」
七瀬「私がぬいるぐみが好きだって覚えてくれてたのね?」
浪馬「うん、まあ・・・・・・」
七瀬「あ、ありがとう。このぬいぐるみ、私一生大切にするから」
浪馬「いや、そんな大げさな。たかがゲーセンで取ってきたモノだぜ」
七瀬「金額の問題じゃないわ。織屋君の気持ちが嬉しいの」
浪馬「七瀬・・・・・」
七瀬のあまりの喜び様に浪馬は少し照れた。
472 名前:ぬいぐるみ[sage] 投稿日:04/10/18(月) 19:01:06 ID:???
階段 四階の三年教室へと向かう二人
浪馬「しかし・・・こんなに喜んで貰えるとは思わなかった」
七瀬「そうなの?」
浪馬「ほとんどオモチャだからな。実は渡そうかどうか迷った」
七瀬「うふふふっ 織屋君がくれるならいくらでも欲しいわよ?」
いたずらっぽく笑う七瀬に、浪馬は少し戸惑った表情を見せた。
浪馬「思わせぶりな笑い方だな。おまえってこんな性格だっけ?」
七瀬「さあ、どうだったかしら? くすくすくす」
浪馬「うぅ、なんか調子狂っちまう。うーん・・・・なあ、七瀬?」
浪馬は立ち止まると七瀬を振り向いた。
七瀬「なあに?」
浪馬「今度の日曜日一緒にファイトクラブへ行かないか? もっとぬいぐるみ取って
やれるぞ?」
七瀬「ファイトクラブ・・・」
浪馬「おっと、七瀬はああいう場所は苦手だったか。忘れてた」
473 名前:ぬいぐるみ[sage] 投稿日:04/10/18(月) 19:03:05 ID:???
七瀬「・・・・・・ううん、行く」
浪馬「いいのか?」
七瀬「「たまには騒がしい場所もいいかも知れないわ」
浪馬「よしっ! それなら七瀬の部屋がぬいぐるみで溢れるくらい取るぞ」
七瀬「そんな約束して大丈夫なのかしら? うふふふふっ」
浪馬「任せろ! 俺の腕前を見せてやるから」
七瀬「それは楽しみだわ」
浪馬「はっはっはっはっ、七瀬に失望はさせない・・・・げっ?」
その時予鈴が鳴り響いた。
浪馬「ヤバイ! 七瀬、急ごう!」
七瀬「ええ!」
二人は慌てて階段を駆け上がる。
「あ、でも織屋君、生活費ピンチなんでしょ?」
「うっ!・・・いや、日曜までに臨時バイトするから平気だ」
「私もお金出すわよ?」
「いーからっ! 金の心配なんかすんなって」
「でも・・・」
楽しそうな二人の声が遠ざかっていった。
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[[誕生日SS-3->ss@5スレ(その3)#birthday3]] [[ぬいぐるみ>ss@5スレ(その3)#nuigurumi]] [[七瀬の生まれた日>ss@5スレ(その3)#umareta]]
&aname(birthday3)
454 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:04/10/18(月) 12:34:27 ID:???
さて七瀬は大丈夫かな、先週の件が心配だし執行部へGO!
「七瀬、いるかぁ?」
「あ、・…織屋君…」
(なんか元気が無いぞ。俺を見てくれないし)
「七瀬、大丈夫だったか?」
「う・うん。ありがとう・…」
「そりゃ良かった。電話しても出てくれないし」
「あ、御免なさい。ちょっと忙しかったから・・」
「まぁいいや、それより今日誕生日だろ。ほらプレゼント」
俺は七瀬に包みを差し出した。
「えっ、私に?」
七瀬は意外そうな顔をしながら包みを受け取り開け始める。
「こ・これ、リチャード・ジノリのティーカップじゃない! 高かったでしょ?」
「そ、そうでもないぞ。(15000円したのは内緒だ…シクシク)」
「ありがとう、織屋君。・…でもこれって校則違反じゃない?」
「な、何が?」
「これは学校に関係の無い物じゃないかしら?」
俺を見る七瀬はいつのまにか元気を取り戻しいたずらっ子の目をしていた。
「そうでもないぞ。その2客のカップの内1つは俺のお茶会用のカップでもある」
「あら、織屋君もお茶会に参加したいの?」
「じゃなきゃペアのティーカップは買ってこないぞ」
「・…分かったわ、これは校則違反じゃない。それでいいでしょ?」
「七瀬、随分変わったなぁ…」
「貴方のせいよ…大好きな貴方の・・…」
「えっ?」
「ううん、何でも無いわ。ありがとう織屋君・…」
その時の七瀬は咲き誇らんばかりの笑みを浮かべていた。
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&aname(nuigurumi)
468 名前:ぬいぐるみ[sage] 投稿日:04/10/18(月) 18:53:33 ID:???
昼休み プール脇 七瀬と男子生徒
男 「高遠さん、お誕生日おめでとう。こ、これを受け取って下さい」
七瀬「・・・・・どうも・・・ありがとう」
男 「た、高遠さん、それで、もしよかったら今度の日曜僕と・・・」
七瀬「ごめんなさい。自治会の仕事があるから、もう行かなくてはならないの」
男 「そうですか・・・・」
七瀬「それじゃあ」
男 「・・・・・・・・・」
まだ何か言いたげな男子生徒を残し、七瀬は校舎に向かって歩き出した。
(断りたいところだけどど、同じクラスの人だから、突き返したら角が立つわよね)
お堅いので有名な執行部副会長とはいえ、彼女ほどの美少女を学園の男達が放って
おくわけもなく、七瀬は誕生日やクリスマスになると何人もの男からプレゼントを渡される。
よく知らない相手には「貰う理由がないと」キッパリ断るのだが、そうでない場合は、
彼女もむげにするわけにもいかない。それが少々重荷だった。
(私にこんなもの渡しても仕方ないのに)
七瀬はふと立ち止まり、男から渡されたプレゼントを眺めた。
高級そうな包装紙に包まれている。
(何かしら? こんな時は中身がすぐわからないと困るわね。去年はリングなんか持って
きた男もいたわ。あんな高価なもの、あかの他人から受け取れるわけないじゃない・・・・・)
中身を見て慌てて返しに行き、相手の男と揉めた嫌な記憶が蘇る。
(本当・・・毎年この日は憂鬱だわ)
七瀬は一つ溜息をついた。
469 名前:ぬいぐるみ[sage] 投稿日:04/10/18(月) 18:55:12 ID:???
校舎玄関前
「いたいた。おーい、七瀬」
校舎玄関のところまで戻って来た時、七瀬を呼び止める声があった。
七瀬「あら、織屋君」
浪馬「探したぜ? 珍しいな。おまえが昼休みうろつくなんて」
七瀬「私を? 織屋君が?」
浪馬「そうだ。ほら、これ。七瀬にやるよ」
七瀬「なんなの?」
浪馬「こいつと・・・」
浪馬が無造作に上着のポケットから出したもの。それはちっちゃなクマの
ぬいぐるみだった。
浪馬「まだあるぞ」
反対のポケットからはペンギンのぬいぐるみが出てきた。
七瀬「あら、可愛いわね」
浪馬「だろ? ほら」
片手に男のプレゼントを持っていたので、七瀬はもう一方の手で胸に抱え込むようにして
二匹のぬいぐるみを受け取った。
七瀬「ふふふふっ、でもどういう風の吹き回しかしら?」
浪馬「風も嵐も何も、おまえ今日は誕生日なんだろ?」
470 名前:ぬいぐるみ[sage] 投稿日:04/10/18(月) 18:56:21 ID:???
七瀬「!・・・・お、織屋君・・・まさかこれって・・・」
浪馬「ああ、俺からの誕生日プレゼント」
七瀬「う、うそ・・・・」
七瀬は一瞬頭の中が真っ白になった。
浪馬「嘘なもんか。なんだよ、俺なんかから貰っても嬉しくないってか?」
七瀬「そ、そうじゃないの! でもまさか織屋君が私の誕生日を覚えてるなんて・・・・」
浪馬「あのな、何度も一緒に遊びに行った仲じゃないか。いくら俺でもそのくらい覚え
てるぞ」
七瀬「・・・・・・・」
(お、織屋君が・・・織屋君が・・・私に・・・・・?)
浪馬「七瀬? 何ぼんやりしてるんだよ?」
七瀬「あっ!? う、ううん、別に何でも・・何でもないの・・・・」)
(ど、どうしたの私・・? 急に体が熱くなって・・・・・)
浪馬「おまえちょっと顔が赤いぞ? 風邪でもひいてんじゃないか?」
七瀬「そ、そんなことないわ。だ、大丈夫だから」
浪馬「そうか? まあ、いいけど無理するなよ?」
471 名前:ぬいぐるみ[sage] 投稿日:04/10/18(月) 18:57:36 ID:???
浪馬「昼休み終わるな。そろそろ戻ろうぜ」
七瀬「待って織屋君!」
浪馬「なんだよ?」
七瀬「プレゼント・・・・・あ、ありがとう・・・私・・・すごく嬉しい・・・・」
七瀬はますます顔を赤くしながら、やっとのことで言った。
浪馬「おいおい、何もそんな大げさに考えることないって。そいつみたいに、
綺麗にラッピングしたもんでもねえし・・・な」
浪馬は七瀬が手にしている男からのプレゼントを指差しながら苦笑した。
七瀬「あ・・・これは・・・・」
浪馬「あんまり比べないでくれよ? 俺のプレゼントが見劣りしちまうから」
七瀬「そんなことは・・・・」
浪馬「本当はもっと豪華な物にしたかったんだけど、今月は生活費に余裕
なくてさ・・・・はははははっ・・・それでせめて七瀬の好きなぬいぐるみをと
思ったんだ。でもゴメンな、甲斐性なしで」
すまなそうに頭をかく浪馬の姿に、七瀬は胸がギュッと締め付けられた。
七瀬「お、織屋君・・・・」
浪馬「ん?」
七瀬「私がぬいるぐみが好きだって覚えてくれてたのね?」
浪馬「うん、まあ・・・・・・」
七瀬「あ、ありがとう。このぬいぐるみ、私一生大切にするから」
浪馬「いや、そんな大げさな。たかがゲーセンで取ってきたモノだぜ」
七瀬「金額の問題じゃないわ。織屋君の気持ちが嬉しいの」
浪馬「七瀬・・・・・」
七瀬のあまりの喜び様に浪馬は少し照れた。
472 名前:ぬいぐるみ[sage] 投稿日:04/10/18(月) 19:01:06 ID:???
階段 四階の三年教室へと向かう二人
浪馬「しかし・・・こんなに喜んで貰えるとは思わなかった」
七瀬「そうなの?」
浪馬「ほとんどオモチャだからな。実は渡そうかどうか迷った」
七瀬「うふふふっ 織屋君がくれるならいくらでも欲しいわよ?」
いたずらっぽく笑う七瀬に、浪馬は少し戸惑った表情を見せた。
浪馬「思わせぶりな笑い方だな。おまえってこんな性格だっけ?」
七瀬「さあ、どうだったかしら? くすくすくす」
浪馬「うぅ、なんか調子狂っちまう。うーん・・・・なあ、七瀬?」
浪馬は立ち止まると七瀬を振り向いた。
七瀬「なあに?」
浪馬「今度の日曜日一緒にファイトクラブへ行かないか? もっとぬいぐるみ取って
やれるぞ?」
七瀬「ファイトクラブ・・・」
浪馬「おっと、七瀬はああいう場所は苦手だったか。忘れてた」
473 名前:ぬいぐるみ[sage] 投稿日:04/10/18(月) 19:03:05 ID:???
七瀬「・・・・・・ううん、行く」
浪馬「いいのか?」
七瀬「「たまには騒がしい場所もいいかも知れないわ」
浪馬「よしっ! それなら七瀬の部屋がぬいぐるみで溢れるくらい取るぞ」
七瀬「そんな約束して大丈夫なのかしら? うふふふふっ」
浪馬「任せろ! 俺の腕前を見せてやるから」
七瀬「それは楽しみだわ」
浪馬「はっはっはっはっ、七瀬に失望はさせない・・・・げっ?」
その時予鈴が鳴り響いた。
浪馬「ヤバイ! 七瀬、急ごう!」
七瀬「ええ!」
二人は慌てて階段を駆け上がる。
「あ、でも織屋君、生活費ピンチなんでしょ?」
「うっ!・・・いや、日曜までに臨時バイトするから平気だ」
「私もお金出すわよ?」
「いーからっ! 金の心配なんかすんなって」
「でも・・・」
楽しそうな二人の声が遠ざかっていった。
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&aname(umare)
477 名前:七瀬の生まれた日その1[sage56虫] 投稿日:04/10/18(月) 20:07:29 ID:???
「おかあさ~ん、もっと大きなボールないの~?」
台所から響く七瀬の声。
「下の棚にあるわよ~」
笑顔で七瀬に返事をする七瀬ママ
「ごめんなさいね。せっかく来ていただいたのに待たせてしまって」
「いえ、気を遣わないで下さい」
紅茶を飲みながら浪馬が答える。
「あの子ったら、やけにはりきっちゃって・・・」
「そうみたいですね」
「お誕生日にケーキを自分で作るなんて言い出すから」
「女の子らしくていいじゃないですか」
「あら、浪馬さんは七瀬のそういうところを気に入ってくれたの?」
「い、いや、その・・・」
「うふふっ、母親としてとても嬉しいわ」
「そ、そうですか・・・」
「貴方のような素敵な彼氏を誕生日につれてくるなんて、本当に親孝行な子だわ」
「恥ずかしい事をさらっと言われると、余計に照れますよ・・・」
七瀬ママのペースにどっぷりはまってる浪馬。
「そうそう、ナナちゃんのアルバムでも見る?」
「あ、アルバムですか?」
七瀬ママは、隣の部屋からアルバムを持ってくる。
そして1冊目を広げてクスリと笑うと、浪馬に向けて開いて見せた。
「ほら、七瀬のヌード写真」
とたんにむせる浪馬。
「ぐほっ、げほっ・・・お、お母さん!」
「あらやだ、もうお母さんなんて呼んでくれるの?」
「あ、いや・・・すみません・・・」
「うふふっ、いいわよ?お母さんで」
「は、はい・・・」
照れながらアルバムを見る浪馬。
確かに生まれたままの姿の七瀬が写っている。
正確には、生まれた直後の七瀬の姿なのだが。
「この時はね、お父さんなんかもうめろめろだったのよ」
「それはそうでしょう。かわいい自分の初めての子供ですから」
「生まれたって聞いて、慌てて病院にきたのよ。そして、お医者さんにお礼を言ったのね。
でも、そのお礼の言葉が面白いのよ」
「なんて言ったんですか?」
「そうとう慌ててきたのね。『ごちそうさま』ですって」
クスクスと七瀬ママが笑う。
この天然両親からあの完璧主義の七瀬が生まれた事は奇跡に違いない、浪馬はそう思った。
478 名前:七瀬の生まれた日その2[sage] 投稿日:04/10/18(月) 20:08:09 ID:???
「生まれてからしばらく、わたしは妊娠中毒症というのにかかって、2ヶ月ほど入院しなければ
ならなかったのよ」
「大変だったんですね」
「でもね、七瀬が生まれてくれた事が本当に嬉しかったから、辛くはなかったのよ。
それに、お父さんも忙しい中、ちゃんと家事や七瀬の退院の準備をしてくれたの」
「立派ですね」
「それがそうでもないのよ」
「え?」
「お父さんたらね、わたしが入院してる時に病室に来て、こう言ったのよ」
「・・・・・」
「ちゃんと七瀬が退院して家に来ても困らないように買い物は全部してあるからって」
「すごいじゃないですか」
「全然」
七瀬ママが笑いながら首を横に振った。
「お父さん、ランドセルまで買っていたのよ?」
「ははははは・・・・・」
「気が早すぎよってい言ったらね、『子供が育つのは早いんだよ』だって」
「それだけ、七瀬さんの成長が楽しみだったんじゃないですか?」
「・・・そうね。本当にあっという間だったわ」
「・・・・・」
「何をするにも、七瀬と一緒だったのよ。一人っ子だから余計に愛情があったのよね」
「そりゃあそうですよ」
ティーカップの紅茶を一気に飲み干して、浪馬が答えた。
「嬉しい事に、七瀬はお父さんにもお母さんにもなついてくれたから」
優しい目つきで浪馬のティーカップに紅茶を注ぐ七瀬ママ。
「どこへ行くにも、何をするにも、家族3人でっていうのが当たり前なのよ」
「羨ましいですね」
「あら、どうして?」
「うちは、親父もおふくろも仕事で遠くに行っていますから」
「でもそれは、貴方を養って行く為のことなのよ?」
「それはわかっていますけど、やっぱり子供としては寂しいですよ」
「確かにそうかもね・・・」
「だから、七瀬さんの家庭が羨ましいです」
「それなら、今日からでもうちに住めばいいじゃない」
「あちっ!・・・と、とんでもないこと言わないで下さいよ・・・」
突拍子も無い事を言われて、思わずやけどしそうになる浪馬。
「うちはあまり大きくないから、お部屋はナナちゃんと一緒でもいいわね」
「やばいっすよ、歳も歳なんですから」
「あら、歳じゃなきゃいいってことかしら?」
七瀬ママが浪馬をからかう。
「そ、そういう意味じゃ・・・」
「うふふふっ、ナナちゃん、大事にされてるみたいで安心したわ」
「・・・・・」
たじたじの浪馬である。
「ちなみに、ナナちゃんは月の終わり頃が生理だからね」
「ぶーーーーっ!」
浪馬が紅茶を噴出す。
「お母さんっ!何を話しているのよっ!」
台所から来た七瀬が顔を真っ赤にして怒鳴った。
「あらナナちゃん、いたの?」
「いたの?じゃないわよっ!・・・もう・・・」
「す、すみません、布巾を・・・」
「織屋君もそんな話聞かないでよっ」
「すまん・・・」
七瀬ママがニコニコしながら布巾でテーブルを拭いた。
そして七瀬が浪馬の横に並んで座る。
七瀬ママは七瀬に紅茶を注いだ。
ふとテーブルのアルバムに気付く七瀬。
479 名前:七瀬の生まれた日その3[sage] 投稿日:04/10/18(月) 20:08:41 ID:???
「なつかしい写真見ているわね」
「ええ。浪馬さんにナナちゃんのヌードを見せていたところよ」
「なっ!?」
あわててアルバムを取って横に置く七瀬。
「なんてものを見せるのよっ!」
「だって、浪馬さんも見たいと思って」
「織屋君!!」
「お、オレ知らないよ・・・」
「うふふっ、照れない照れない」
完全に七瀬ママのペースである。
「ところでナナちゃん、お台所のお仕事はもういいの?」
「・・・ええ、あとは焼きあがるのを待つだけだから」
「じゃあお母さんが今度はお台所を遣わせてもらうわね」
「ええ、いいわよ」
「必要だったら、お母さん出かけるわよ?」
「な、何の必要があって出かけなきゃいけないのよっ!」
「うふふっ、それはナナちゃんが一番知ってるんじゃないの?」
「お母さんっ!」
浪馬は唖然としている。
怒りまくっている七瀬にかまいもせず、七瀬ママはふふふと笑いながら台所へと消えていった。
「もう・・・」
「お前の家庭って、なんか不思議だな」
「お母さんは余計なのよ・・・ほんとにもう・・・」
「それより七瀬、お前の写真っていつも家族と写ってるんだな」
「ええ」
「なんか、いい家庭だな」
「そう・・・かな・・・」
「ああ。人に自慢できると思うぞ?」
「別に自慢なんかしないわよ」
「もののたとえだ。それくらいいい家庭だって褒めてるんだぜ?」
「ありがとう・・・・」
480 名前:七瀬の生まれた日その4[sage] 投稿日:04/10/18(月) 20:09:06 ID:???
照れながら紅茶を飲む七瀬。
「一人っ子で大事にされてるんだ、親孝行しろよ?」
「あなたに言われなくてもちゃんとしてるわよ」
「うむ。っていうか、オレといると親不孝にならないか?」
「あら、どうして?」
「だって、オレは学園では問題児なわけだし、迷惑かからないか?」
「迷惑なんて思っていないわよ?」
「そうか?」
「ええ。しおらしいこと言うのね。どうかしたの?」
「オレ、紅茶に塩なんて入れてないぞ?」
「あたりまえよ!そうじゃなくて、急にもっともらしい事言うから・・・」
「お前のアルバム見たり、お父さんの話聞いたりして、お前の生まれた日の事を考えたらさ
なんかそう思った」」
「大丈夫よ。わたしがちゃんとあなたを監視しているから」
「それもなんか嫌だな」
「わたしといるのが嫌なの?」
「そうじゃないよ」
「嫌なの?」
「だから嫌じゃないよ」
「嫌じゃないならどうなの?」
「そ、それは・・・」
「言いなさいよ」
「こ、この紅茶うめーな!」
「もう、誤魔化さないでよ」
ズズズズズー
「音を立てて飲まないで!」
「はいはい」
「なんなのよ、もう・・・」
納得の行かない表情で紅茶を飲む七瀬。
「でもまぁ、あれだ。お前に監視されるのも悪くはない」
「え?」
「ちゃんと見ててくれるんだったらな」
「あ、当たり前じゃない・・・」
「まぁ、よろしく頼む」
「こちらこそ・・・」
照れながら会話する2人。
とても甘いムードである。
「お布団敷くの面倒だから、必要ならナナちゃんのベッド使ってよね」
「お母さんっ!」
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