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「パンドラの箱は王の手に」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

「パンドラの箱は王の手に」の最新版変更点

追加された行は青色になります。

削除された行は赤色になります。

 *パンドラの箱は王の手に ◆jiPkKgmerY
 
 
 
 会場の中心にそびえる巨大な建築物――地上本部。 
 その二階にはやてとキングの二人は居た。前方にキング、その後方にはやて。 
 はやては決してキングの横を歩こうとせず、その後ろを歩き、キングは自身の携帯をいじりながらマイペースに歩を進めていた。 
 
 (これからどないするかな……) 
 
 キングの後ろ姿を眺めつつ八神はやては思考を始める。 
 思考の内容はこれからの行動について。 
 
 ――まず始めに何をするか。 
 これは今更考えるまでもない。 
 戦力の確保。 
 殺し合いに乗っておらず且つ戦闘に長ける戦士を集結させる。 
 今のところその第一候補はヴィータ、そして他の守護騎士の面々。 
 ただヴィータを仲間にする為にはある問題を解決する必要がある。 
 その問題とは、関係の修復。 
 ヴィータから見れば自分は赤トカゲを殺した張本人。あのヴィータが、そんな殺人鬼と協力関係を結ぶ訳がない。 
 とはいえ問答無用に攻撃される事も無いとも思う。 
 何故なら自分は「八神はやて」だから。 
 先の戦闘においてもヴィータは自分にトドメを刺さなかった。いや、刺せなかったのだろう。 
 
 『何でオメーはそんなにはやてに似てるんだよ!』 
 
 この台詞を口にしたヴィータからは、大きな葛藤が感じられた。 
 
 殺人鬼だと頭で理解していても、攻撃することが出来ない。 
 この殺人鬼があまりに「八神はやて」と酷似しているから。 
 怒りの鉄槌を何処に振り下ろせばいいか分からない。 
 そんなヴィータの苦悩が、あの一言から垣間見えた。 
 
 (なかなか厄介なことになっとるなぁ……) 
 
 「八神はやて」に似ているとはいえ、明らかに敵として見られている状況。 
 協力関係を結ぶことは決して容易ではない。だが、やるしかない。 
 この遊戯でプレシアに辿り着くには、戦力が必要不可欠。しかしその戦力は限られていて、時が経つにつれ減少していく。 
 実力者は必ず懐に入れなければならない。 
 まずはヴィータ。その力を必ず手に入れる。 
 
 知らず知らずの内に必要以上の力を込めていた両手。 
 このゲームを乗り越えた時、自分は『本当の家族』を救う事ができる。 
 これはチャンスなのだ。今尚苦しんでいる彼女達を救える唯一のチャンス。 
 必ず乗り越えてみせる。 
 
 「みんな、待っててや……」 
 
 ギュッと両手を握り締め、『本当の家族』を思う。 
 そしてその瞬間、数時間前まで確かに存在した迷いがはやての瞳から消え、代わりに悪魔の如く冷酷な瞳が携さわった。 
 
 
 ――全てを利用する。 
 ――なのはちゃんも、フェイトちゃんも、ヴィータも、シグナムも、シャマルも、ザフィーラも、六課のみんなも、『本物のヴィータ達』を救うために利用する。 
 ――悪魔と罵られても、構わない。 
 
 
 この時、夜天の主は人の道を踏み外す覚悟を、決めた。 
 
 
 
 
 □ 
 
 
 
 (へぇ、なかなか良い顔になってきたじゃん) 
 
 そしてその覚悟の表情を盗み見た男が一人。 
 最強のアンテッドを自負する男――キング。 
 僅かに顔を横に向け後ろを見ると、良い感じに思い詰めた顔をしたはやて。 
 最初に出会った時とは比べものにならない程の冷淡さを見せているはやてを見て、キングは愉悦を感じる。 
 
 (狂人さん一人出来上がりってね。案外チョロかったね) 
 
 一言二言追い討ちを掛け、後ろを歩く少女を更に狂わせたい。 
 だがキングはそれをしない。 
 何故か? 
 見つけたからだ――はやてを壊す以上に面白いものを。 
 
 (これは相当な量だね。出来ればゆっくり確認したいんだけど……) 
 
 携帯の画面に映る『それ』を見ながらキングは思案する。 
 『これ』は相当な量を誇る。とてもじゃないが歩きながら全てを把握するのは不可能に近い。 
 何とか一人になり、ゆっくりと『これ』について考えたい。 
 何か方法はないか――――アイディアは直ぐに浮かんだ。 
 
 
 
 
 「ねぇ、はやて?」 
 「へ? あ……な、何や?」 
 
 殺伐とした思考の中、いきなり現実に引き戻され、はやては僅かに狼狽を見せた。 
 だがそれも一瞬。 
 直ぐさま微笑みの仮面を被りキングに応対する。 
 
 「なにキョドってんの? しっかりしてくれよ、頼むからさ」 
 「……ゴメンな。ちょっと考えごとしてて、な」 
 
 流石ははやて。古狸とも呼称されるだけのことはある。 
 嘲りを含んだキングの言葉にも、微笑みの仮面は揺らがない。 
 
 「それでどうしたん? 何か見つけたんか?」 
 「ああ、一つ提案がね」 
 
 提案、という言葉にはやては何か嫌な予感がした。 
 この何も考えてなさそうな男が提案? 
 どうせロクな物ではないだろう。 
 
 「あのさ。もうちょっとこの建物を調べていかない?」 
 
 ――やっぱり。 
 心の中で大きく溜め息を吐き、だがそれを面に出す事なくはやては口を開く。 
 
 「調べるって……今からか?」 
 
 そう言いはやては自分が立つ床、つまり地上本部を指差す。 
 そんなはやてににキングは微笑みながら頷く。 
 
 
 「うん。もしかしたら何か武器とか隠されてるかもしれないじゃん」 
 
 キングの言葉にはやては困ったような苦笑いを浮かべ―― 
 
 (何言うとんのや、コイツは……) 
 
 ――心の中で大きく舌打ちをした。 
 
 ――今この瞬間にも、貴重な戦力であるヴィータはドンドン離れて行っている。 
 ヴィータを見失ったらどうするつもりだ? 
 お前がヴィータの代わりに戦うとでも? ショボい念力しか使えないお前が? 
 ふざけるな。 
 それにこの巨大な地上本部を二人で調べ尽くせと言うのか? 
 有るか分からない希望に縋り時間を無駄にしろと? ヴィータという確実性の高い戦力を捨ててまで? 
 馬鹿も休み休み言え。少しは物を考えて判断しろ。 
 
 
 
 「……私としては今すぐにでもヴィータを探しに行きたいんやけど……」 
 
 怒りと呆れを心中に押し隠し、言葉を紡ぐはやて。 
 
 「んじゃ俺は上の方調べてくから、はやては地下を宜しく。一時間経ったら最上階にある展望室に集合ね」 
 
 ――だがそんなはやての言葉にもキングは聞く耳を持たない。 
 ヒラヒラと手を振り階段がある方へと歩き始めた。 
 
 「ちょ! ちょっと待っ――」 
 
 制止の言葉も虚しくキングは角を曲がり完全に消えた。 
 最早怒り、憤りを通り越し、呆然とする事しかできない。 
 
 「なんなんや! あのアホは!!」 
 
 キングが去って数秒後、はやては感情のままに怒鳴り声を上げた。 
 仮面を被ることすらも忘却の彼方。 
 その手に握られたツインブレイズは、哀れ渾身の力で床へと叩き付けられた。 
 
 
 
 □ 
 
 
 
 それから数時間後、キングは計画通りに一人で地上本部最上階の展望室に居た。 
 全面に張られた巨大なガラス窓から映る圧巻の光景。 
 それは会場全体を一望するには余りある程である。 
 しかしそこに居る唯一の男は、そんな絶景にも脇目を振らず、片隅に置かれた長椅子に腰を下ろし一心不乱に携帯を見つめていた。 
 
 「……ふうん」 
 
 
 『それ』を一言で言い表すのならば異質であった。 
 
 
 今時の携帯には必ずある機能――インターネット。 
 パソコンと比較すれば確かに制限はあるが、ふとした時に調べ物をする時にはこれ以上なく便利な代物だ。 
 それは携帯愛好者のキングも例外ではなく、度々に利用させてもらっている。 
 ――そして『それ』はインターネット機能の一つ『お気に入りフォルダ』の中に隠されていた。 
 
 「……こんな物が隠されてたなんてね。プレシアもやってくれるよ」 
 
 元々フォルダに登録されていたサイトは全て消されていた。 
 残されていたサイトは『これ』のみ。 
 そのサイトのタイトルは―― 
 
 「――『CROSS-NANOHA』、ね……どうにも訳が分かんないな」 
 
 携帯の画面に目を向けながらキングが呟いた。 
 その表情はキングにしては珍しく疑問の色に染まっている。 
 
 それは不思議なサイトだった。 
 背景は真っ白。あるのは十数のリンクのみ。 
 
 ――『HANNMOKU NO SUBARU』、『YUUGIOU-GX』、『NANOSHING』、『MASUKARE-DO』、『RYU-KI』、 
 『KABUTO』、『DEJIMON』、『TRIGUN』、『NANOSUTA』、『KATAYOKU NO TENSHI』、『SESSYOUMARU』、『OWAKURO』、『MEBIUSU』、『L』、『GETTA-』、『MEDORE-』、『ARMS』 
 
 それぞれのリンクの先にはまるで漫画や小説のようなタイトルがあり、そして長々とした文章が続く。 
 それらは意味を為さない文章ではなく、立派な物語として成立していた。 
 
 「……何なんだろ、これ」 
 
 正直に言えばさっぱり意味が分からなかった。 
 物語ということは理解できた。そしてこれらの物語にはある特定の人物達が必ず 
 と言っていい程に登場する事も。 
 その登場人物と同姓同名の人物がこの殺し合いに参加している事も。 
 
 「なのは、フェイト、はやて、スバル、ティアナ、キャロ、エリオ…………大体の物語はコイツ等を中心に動いている……」 
 
 他にも多数の人物が登場するが、特にこの七人は別格の扱いで出てくる。 
 その中でも群を抜けている人物が、高町なのは。 
 殆どの物語で、絶対的な実力を持った魔導師として扱われている。 
 そしてその親友として出てくる八神はやてとフェイト・T・ハラオウン。 
 スバル達はなのは達の教え子で、なのは達と共に事件解決に奔走する役所だ。 
 
 基本的にこれら十数の物語は四つに分類できる。 
 
 一つ。突如違う世界から現れたある人物が、なのは達と協力し、ジュエル・スカリエッティという男の野望を阻止する物語。 
 『KATAYOKU NO TENSHI』、『SESSYOUMARU』、『L』『ARMS』、『MEDORE-』、などが分類できる。 
 
 二つ。別世界に渡る力を持つなのは達が、謎の未開拓の世界に飛び事件を解決していく物語。 
 これには『YUUGIOU-GX』、『DEJIMON』などが分類できる。 
 
 三つ。初めからなのは達の世界とまた別の世界が混濁されており、なのは達や別の世界のキャラが協力、または敵対し進んでいく物語。 
 これに分類出来るのは『HANNMOKU NO SUBARU』、『NANOSHING』、『NANOSUTA』、『KABUTO』、『RYU-KI』、『OWAKURO』、『GETTA-』 
 
 四つ。『子供時代』のなのは達が登場し、ある世界から飛ばされたキャラと出会ったり、元々世界が混濁された状態から様々な事件を解決していく物語。これら物語にはスバルやティアナ達は登場しない。 
 『MASUKARE-DO』、『TRIGUN』、『MEBIUSU』などがそうだ。 
 
 
 時系列もバラバラ。平行世界という言葉を信じたくなる程に様々な物語が繰り広げられている。 
 だが、基本的にどの物語でも高町なのは等の性格は変わらない。軸がぶれることなく、自らの信念を通している。 
 
 
 「でもあのはやては……?」 
 
 だがそこである疑問が浮かんだ。 
 それは、自分が出会った「八神はやて」について。 
 あの八神はやては明らかにおかしい。 
 このサイトに掲載されているどの八神はやてとも違い、非常に腹黒い印象を受ける。それこそ、仲間が襲われているという状況だけで簡単に殺害を犯す程に。 
 
 「少なくともこのサイト内にそんな性格のはやては居なかった…………やっぱ嘘も混じってるのかな、コレ?」 
 
 しかし、とキングは再び熟考する。 
 これらの小説が全て嘘だという事もまた断言できない。そもそもコレだけの文量。しかも閲覧者は自分のみ。 
 自分一人を騙す為にこれ程大掛かりの文章を創作するのか? 
 そして決して無視する事の出来ない一つの物語――『MASUKARE-DO』。 
 
 
 
 
 それは不思議な話だった。 
 
 子供時代のなのは達、幾人にも及ぶライダー達、そして怪人、ワーム、アンデッド。 
 それぞれが絡み合い物語を形成する、それが『MASUKARE-DO』であった。 
 そして『MASUKARE-DO』に登場するキング――――全てが自分と同じ。境遇も、選択も、まるで何者かから観測されたかのように記されていた。 
 そう、『MASUKARE-DO』内のキングは正に自分そのもの。 
 その事実にキングは底知れぬ不気味さを感じた。 
 
 「ホント訳分かんないね……」 
 
 そして最後に残るもう一つの事実。 
 『CROSS-NANOHA』内にある小説、その中から同姓同名の人物がこのゲームに参加している事。 
 例えば『HANNMOKU NO SUBARU』からはルルーシュ・ランペルージ、C.C.、カレン・シュタットフェルト、シャーリー・フェネットの四人。 
 『NANOSHING』からはアーカード、アレクサンド・アンデルセン、インテグラル・ファルブルゲ・ヴィンゲート・ヘルシング、シェルビー・M・ペンウッドの四人。 
 以上のようにそれぞれの物語から一人から四人、誰かしらがこの殺し合いに参加している。 
 
 「コイツらも俺同様、誰かしらに観測され物語として記録された? そもそも観測者って誰? 可能性として一番高いのはプレシアだけど、それぞれの文章が違い過ぎる……まさか組織ぐるみでの作業? 
 だとしたらプレシアが指揮して? それとも偶然発見し盗み出した? …………ああ、もう! こんがらがってきた!!」 
 
 それまで真剣な表情で考察を続けていたキングであったが、最後の叫び声と共に携帯を閉じベンチへ寝転がる。 
 
 「そもそもこんなの考えたって分かる訳ないじゃん。…………まぁ話半分に受け取っておけばいいか……」 
 
 相当な量の文章を朗読した事、慣れない考察を長々と続けた事、それらが予想以上にキングを疲労させていた。 
 気分転換の意味も込め、この時初めてキングは窓外に視線を向ける。 
 視界に映る数多のビル群、その先にボンヤリと見える緑の森林、そしてこの殺し合いの会場でも変わらず世界を照らす太陽。 
 圧倒的な光を放つそれを目を細め眺めていると、ある人物がキングの脳裏に浮かんだ。 
 といっても正確な姿形は全く浮かばない。 
 分かるのは男という事だけ。 
 
 その男は『MASUKARE-DO』の中でこう言っていた。 
 「自分は天の道を往き総てを司る男だ」と。 
 そしてその男は言葉通りの実力を有し、常に不遜な態度を崩さない。 
 数々のライダーの中でもずば抜けた力を持つライダー――仮面ライダーカブト。 
 その人間体、天道総司。 
 この殺し合いにも参加している男だ。 
 
 
 「天道、か……会ってみたいね」 
 
 理由は勿論一つ。 
 天道を、この何処までも自分を信じているこの男を――壊したい。 
 自分が如何に無力なのかを教え、そして絶望に歪んだ顔を見てみたい。 
 
 「ふふ、楽しみだなぁ」 
 
 無邪気な微笑みと共にキングが立ち上がった。 
 手に携帯を持ち、天を照らす太陽を見つめ、王は動き出す。 
 
 「んじゃ、はやてが来るまでノンビリしようかな…………ってアレ?」 
 
 ――そして発見する。 
 自分が座るベンチの右手側、方角で言えば北に位置するベンチの前にあるそれを。 
 二重の円に三角形が二つ組み合わさり形成された六亡星。円と円の間に書かれた謎の文字列――俗に言う魔法陣がそこにはあった。 
 
 
 
 □ 
 
 
 
 十人程の人間が乗れる透明なエレベーター。 
 その中で八神はやては一人、怒りに身を震わせていた。 
 何処までも自分勝手なキング。 
 その発言一言一言が気に触るキング。 
 ウザったい。ふとすれば殺意すら湧く。 
 結局あの後、はやてはキングの言う通り地下を探索した。 
 正直、キングを放置し一人で行動する事も考えたが折角の戦力を失う事は忍びない。 
 それにデバイスが無い今、はやて自身の戦闘力は皆無と言ってもいい。 
 そんな状態で外に出て、殺し合いに乗っている参加者に出会えば、それだけでゲームオーバー。 
 キングを捨て置くのは余りに拙い。 
 
 「せやけど、あの馬鹿はどうすればいいんやろ……」 
 
 キングのことを考える度に溜め息が出て、頭が痛くなる。 
 唯我独尊。我が儘で自己中心的。 
 その癖に実力はあまり高い訳でもなく念力が使える程度。 
 駒としては最悪の部類だ。 
 
 (早いとこ手ぇ切らんとあかんな……) 
 
 はやてがその結論に至ったその時、甲高い電子音と共にエレベーターが止まる。 
 自動的に扉が開き、そして視界に広がる圧倒的な光景。 
 とはいえはやてには見慣れた光景。大した感動を覚えるでもなく、はやては首を左右に振り目的の人物を探し始める。 
 
 「あ、やっと来たね」 
 
 と、探し出す前に向こうから声を掛けてきた。 
 相も変わらず右手で携帯をパカパカと開け閉めしながら、近付いてくる。 
 
 「そっちは何か見つかった?」 
 「いや、こっちはなんも無かったで」 
 
 
 途端、あからさまなまでにキングの顔が変化する。 
 
 「はぁ? 何時間も時間掛けて何も見つけられなかったの? おいおい、止めてくれよマジで」 
 
 両手を広げ、ヤレヤレと首を左右に振るキング。 
 身体全体で大袈裟に表現される落胆。再びはやての頭に血が登り始める。 
 
 「ま、良いけどさ」 
 
 だがはやてが怒りを爆発させるより早く、キングはそう言い後ろに振り返った。 
 突然の行動に訝しげな表情を浮かべるはやてをそのままに、何処へともなく歩を進め始める。 
 
 「ついてきなよ。コッチに面白いものがあるよ」 
 
 ――面白いもの? 
 その言葉に疑問符を頭に浮かべ、はやてはキングの後を追い円形状の展望室を右手側に歩く。 
 巨大な窓から射し込む日光が時間の経過を教えてくれる。久方振りに見た太陽は眩しかった。 
 
 「これだよ」 
 
 二十秒と歩かず、それの存在にはやても気付いた。 
 管理局局員が良く談笑を繰り広げているベンチ。その直ぐ側に描かれた緑色の魔法陣。 
 はやての表情に僅かな驚愕が浮かぶ。 
 
 「これは……」 
 「どう? 面白いだろ?」 
 
 キングの言葉に答えを返すことなく、はやては膝を付き真剣な表情で魔法陣を調べ始める。 
 そんなはやてを後目にキングは、魔法陣の近くに置かれた看板を眺め、口を開く。 
 
 「『魔力を込めれば対象者の望んだ場所にワープできます』、だってさ。どう? 本当だと思う?」 
 
 キングの問いに、見上げるような形で顔を上げはやては答える。 
 
 「確かにこれは転移魔法の陣や……」 
 「転移魔法?」 
 
 聞き慣れない言葉に不思議な顔を浮かべるキング。 
 
 「ようするに対象物を任意の空間に瞬間移動させる魔法のことや。多分魔力を込めれば発動すると思うで」 
 
 はやての説明によりその意味を理解したのか、キングは一つ頷く。 
 そもそもキング自身、瞬間移動という特殊能力を持っている。多少の驚きは感じるものの、充分に有り得るものと判断できた。 
 
 「……ってことは本当にワープできるってこと?」 
 「おそらく……」 
 
 キングの問い掛けに、はやては曖昧に頷く事しか出来なかった。 
 
 
 ――確証がない。 
 確かに転移するにはするだろうが、本当に望み通りの場所に転送するかは分からない。 
 もしかしたら禁止エリアに跳ばされズガン、という可能性だってある。 
 おそらく、この転送魔法を設置したのはプレシア自身。 
 信用できるのか? 
 罠ではないのか? 
 
 眉間に皺を寄せ魔法陣を睨むはやて。 
 その頭を分かる筈のない疑問が浮かび続ける。 
 
 
 「ねぇ早くしようよ」 
 
 
 ――と、そこで思考の泥沼に埋まり掛けたはやてを引き上げる者が居た。 
 その名はキング。 
 キングは魔法陣の中で急かすような視線をはやてに向けている。 
 
 「早く、って使う気なんか!? こんな怪しいものを!?」 
 「何? もしかしてコレが罠だと思ってるの?」 
 そうや、と頷くはやてにキングは大袈裟に溜め息を吐く。 
 
 「こんな大人数を集めて、こんな馬鹿げたゲームを開催する奴だよ? 罠に引っ掛かって死亡、なんてつまらない殺し方をする訳ないじゃん」 
 
 純粋な悪だからこそ共感できる悪の思想。 
 確かに一理ある、とはやては感じた。 
 
 「それに、あんたが会いたがってた『家族』の所にも跳べるかもよ」 
 「…………そや、ね。物は試しや。やってみるのも悪くないかもしれへんな」 
 
 その表情には今だ迷いが感じ取れたが、だがそれでもはやては――頷いた。 
 ゆっくりと魔法陣に足を踏み入れる。 
 罠という可能性は消えない。だがこれを使えばヴィータの元に一瞬で辿り着く。 
 ――これは、賭けだ。 
 
 「……いくで」 
 「ああ」 
 
 徐々に魔力を魔法陣へと集中させていく。 
 淡い緑色に魔法陣が発光し始める。 
 光は段々と輝きを増していき、そして一際強烈な発光と共にキングとはやての姿が――――かき消えた。 
 
 
 
 □ 
 
 
 
 「……ここは?」 
 
 光が止んだと思えば、そこに立っていた。 
 先程までいたガラス張りのフロアとは明らかに違う景色。 
 地面には雑草が生え、空気は瑞々しい。 
 周囲には緑色の葉をつけた木々、左手の方には川が流れている。 
 
 「へぇ、本当にワープするとはね。やるじゃん、はやて…………はやて?」 
 
 
 男――キングにしては珍しい褒め言葉。 
 だがその言葉を向けられている筈の少女は何処にも居ない。 
 キングも首を捻り軽く周囲を見渡すが、その姿は見当たらなかった。 
 
 「あれ、はぐれちゃったかな……ま、いっか」 
 
 一分にも満たない短い探索の後、キングは思考を切り替え、歩き始める。 
 行き先は決めていない。何となく人の気配がする方に進み――――見つけた。 
 だがそれは八神はやての姿ではない。 
 ピンク色の髪の毛に何処か辺境の民族が着るような衣服を纏った少女が一人。 
 そして傷だらけ――特に脇腹から酷い出血をしている天然パーマの青年が一人、居た。 
 
 「え……あ……」 
 
 ピンク髪の少女が怯えたような視線をキングに向ける。 
 恐怖と猜疑、疑心が入り混じったその瞳。キングは直ぐさま理解する。 
 コイツは壊しがいがある存在だ、と。 
 
 「そんなビビんなくたって良いのに……俺はキング、殺し合いには乗ってないよ」 
 
 両手を頭の上に挙げ、出来るだけ優しく微笑む。 
 だがその微笑みには、明確な愉悦が滲み出ていた。 
 
 「アンタの名前は?」 
 「キャ、キャロ・ル・ルシエです……」 
 
 ――キャロ・ル・ルシエ。 
 聞き覚えはないが見覚えはある名前。 
 そう、確か『CROSS-NANOHA』の作品に登場する魔導師の一人。 
 八神はやての部下にして、機動六課フォワードに属するサポート専門の魔導師だった気がする。 
 
 「よろしくね、キャロ……で、そっちの男は?」 
 「天道総司って言ってました……ついさっき気絶してしまって……」 
 
 瞬間、キングは目を見開く。そして同時に顔を俯かせ口を抑える。 
 その時、キングの心中を支配した感情は圧倒的な歓喜。 
 
 (コイツが天道ね……。何だよ何だよ、偉そうな事言ってたわりにはもうボロボロじゃん) 
 
 『MASUKARE-DO』内にて最強クラスの力を持つライダー。 
 つい先程、心の底から壊してみたいと考えた男が直ぐ目の前に居る。 
 感情を押さえられない。 
 口にある手を離せば笑い転げてしまいそうだった。 
 
 (やってくれるじゃん、プレシア! 今だけ、今この瞬間だけは感謝してやるよ!) 
 
 ――キャロ・ル・ルシエ 
 ――天道総司 
 
 転移された先にて遭遇したものは、王が願った通りの極上の玩具。 
 二つの玩具を手に入れ、王は笑う。 
 
 
 
 
 □ 
 
 
 
 あれから直ぐ、天道さんが倒れた。 
 やっぱり傷の具合が良くないらしく、脂汗を額に浮かべ苦しそうに呻き気絶してしまったのだ。 
 幸いな事に自分は治癒魔法が使える。魔力の循環効率が鈍く感じたが、一命を取り留めることは可能だろう。 
 川の畔に天道さんを横たえ、治癒魔法を行使する。 
 絶対に死なせない。 
 この人は言っていた。 
 「自分は天の道を往き、総てを司る」と。 
 当然のようにそう言った天道さん。 
 その自信に満ち溢れた姿は、疑心暗鬼になりかけていた自分の心に一筋の光をくれた。 
 この人なら信じられる。 
 本当にこの殺し合いを打破してくれる筈だ。 
 絶対に、死なせない。 
 その一心で治療を続け、そして漸く天道さんの容態が落ち着いてきたその時、一人の男の人が現れた。 
 赤いジャケットを羽織り、沢山のアクセサリーを付けた男の人。 
 
 
 こんな殺し合いの場だというのにその人は笑っていて、しかもその瞳は冷たい光を 
 携えていて、怖かった。 
 どうしよう? この人が殺し合いに乗ってたら、どう戦おう? 
 身構えて、でも恐怖心は隠せなくて、迷いに頭を悩ませていると、その人の両手が動いた。 
 降参するように両手を頭より上に挙げ、名乗ってくれた。 
 
 
 名前はキングさんと言うらしく、さっきから携帯を弄っている。 
 最初は悪い人に見えたけど、殺し合いには乗っていないらしい。 
 子供っぽく微笑みながら、そう語っていた。 
 その表情に私も少し安心し名前を名乗る。 
 私の名前を聞いた時、キングさんは何故だか少し驚いたような表情を浮かべていた気がした。 
 そして天道さんの名前も教える。 
 その瞬間キングさんは唐突に口を抑え俯き始めた。 
 私は一瞬だけ見た。笑っているキングさんを。 
 その笑みはさっきまでの優しげなものとは微妙に違い、獰猛な獣のそれに似て、見えた。 
 
 ――ナンデスカ、ソノホホエミハ? 
 
 途端に心を漆黒が染める。 
 村を追放された時の光景が、自分を置いて何処かに消えたギンガさんの姿が、心に、浮かんだ。 
 違、う。ギンガさんは自分を裏切った訳じゃない。 
 何かしらの事情が有って、仕方無く私を放置したのだ。 
 キングさんも、そうだ。 
 殺し合いに乗っていないキングさんが、あんな怖い顔をする訳が、ない。 
 ――天道さん。 
 横たわる天道さんの右手をギュッと握る。 
 温かい。 
 そうだ。みんなで協力すれば大丈夫。 
 フェイトさん、エリオ君、スバルさん、ティアナさん、なのはさん――みんなが居ればどんな事件だって解決できる。 
 大丈夫。 
 大丈夫。 
 大丈夫。 
 みんなが居れば――。 
 
 
 気付けば空が白んでいた。 
 天道さんの顔に浮かんでいた苦悶は消えている。良かった。 
 私はそう思いながら、大きく安堵の息を吐く。 
 そして私達から少し離れた木に寄りかかっているキングさんは、微笑みを向けていた。 
 
 【1日目 早朝】 
 【現在地 D-7 川の畔】 
 
 【キャロ・ル・ルシエ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 
 【状態】疲労(大)、精神疲労(中)、魔力消費(中)、脇腹に切り傷・左太腿に貫通傷(応急処置済み) 
 【装備】憑神鎌(スケィス)@.hack//Lightning 
 【道具】支給品一式×2、『かいふく』のマテリア@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、葉巻のケース 
 【思考】 
  基本:殺し合いを止める。殺し合いに乗っている人がいたら保護する。 
  1.天道さんを治療する。 
  2.今は自分に出来る事をする。 
  3.出来る限り天道を治療する。 
  4.仲間を探し合流する。 
 [備考] 
  ※別の世界からきている仲間がいる事に気付いていません。 
  ※憑神鎌(スケィス)のプロテクトは外れておらず、待機形態のままです。 
  ※キングに対し僅かな疑心を抱いています。 
 
 
 【天道総司@魔法少女リリカルなのは マスカレード】 
 【状態】重症(特に右脇腹)、気絶中 
 【装備】爆砕牙@魔法妖怪リリカル殺生丸、カブトエクステンダー@魔法少女リリカルなのは マスカレード 
 【道具】支給品一式、ゼロの仮面@コードギアス 反目のスバル 
 【思考】 
  基本:出来る限り全ての命を救い、帰還する。 
  0.気絶中 
  1.天の道を往く者として、ゲームに反発する参加者達の未来を切り拓く。 
  2.カブトゼクターとハイパーゼクターを取り戻してみせる。 
  3.俺が望みさえすれば、運命は絶えず俺に味方する。 
  4.感謝するぞ、加賀美。 
 【備考】 
  ※参戦時期はACT.10冒頭。クロックアップでフェイト達の前から立ち去った直後。 
  ※なのは、フェイト、はやて、クロノは一応信用、矢車は保留、浅倉は警戒しています。 
  ※身体がいつものように動かない事を知りました。 
  ※意識に反して、天道の体は既に限界が近い状態です。 
  ※取り敢えず峠は越えました。 
 
 
 
 【キング@魔法少女リリカルなのはマスカレード】 
 【状態】健康、非常に上機嫌。 
 【装備】無し 
 【道具】ライダーベルト(カブト)@魔法少女リリカルなのはマスカレード 
     キングの携帯電話@魔法少女リリカルなのはマスカレード 
 【思考】 
  基本 この戦いを全て滅茶苦茶にする 
  1.天道とキャロで遊ぶ 
  2.はやてとの合流は後ででも良いかな 
  3.はやてとヴィータの決着が着いたら、残ったほうに真実を伝えて、その反応を楽しむ 
  4.とにかく面白いことを探す 
 【備考】 
  ※制限が掛けられている事に気がつきました 
  ※ゴジラにも少し興味を持っています 
  ※携帯電話は没収漏れです。写メ・ムービー以外の全ての機能は停止しています。 
  ※携帯には相川始がカリスに変身する瞬間の動画等が保存されています。 
  ※キングの携帯に外部から連絡出来るのは主催側のみです。 
  ※カブトの資格は持っていません 
  ※キングの携帯のお気に入りフォルダに『CROSS-NANOHA』へのリンクが存在します。 
 
 
 □ 
 
 
 
 時は少し遡り、E-4に位置する図書館。 
 海鳴市にある物と酷似したそれは、その巨大さと造りにより市街地の中でも一際輝いて見えた。 
 そんな図書館の一階部分、そこに二人の男女が居た。 
 
 ベンチや椅子、机などが多数置かれた空間。 
 通常なら勉学に精を出す学生や、文字の世界に没頭した本好きの人々が席を埋め尽くしている筈のそこには、今二人の男女――ヴィータとミライだけが座っていた。 
 ヴィータは膝を抱え顔を俯けた、ミライは窓から射し込む光をボンヤリと眺めている。 
 会話は、ない。ただ、重苦しい沈黙だけが二人を包んでいた。 
 
 
 ――暖かい日光に包まれ、ミライはただ後悔していた。 
 
 現れた化け物。 
 クロノの死。 
 クロノを犠牲に生き延びた自分。 
 自分はウルトラマン、勇気の戦士だ。なのに自分は、逃げた。 
 まだ幼い、未来ある少年を戦場に残しおめおめと逃げ出した。 
 変身さえ出来れば…………そう、何度も悔やんだ。 
 あの時メビウスに変身できていれば、未来は確かに変化しただろう。 
 あの化け物を倒す、とまではいかなくてもクロノと共に逃亡することは出来た筈だ。 
 だがあの時腕に嵌ったブレスレットは反応しなかった――――それが現実だ。 
 そしてクロノは死んだ。 
 大事な時に戦えないで何がウルトラマン、何が光の戦士。 
 僕は――戦士失格だ……。 
 
 ポタリ、とミライの唇から水滴が零れ落ちた。 
 それはズボンに当たり赤黒いシミを作る。 
 誰も死なせない。 
 そんな甘い決意は脆くも崩れ去り、だけどそれでも殺戮のゲームは続く。 
 
 余りの理不尽に精神(こころ)が折れそうになる。 
 後悔が自分の胸の中で暴れる。 
 
 
 (すまない……すまない……すまない……すまない……) 
 
 心の中で何度も反芻される謝罪。そして、ミライは顔を上げる。 
 
 「行こう、ヴィータちゃん」 
 
 迷いに、後悔に、心を蝕まれ、だがそれでもミライは立ち上がった。 
 横に座るヴィータが、ミライへと顔を向ける。 
 その頬には涙の痕が残されていた。 
 
 「行くって……何処にだよ……」 
 「助けを求めてる人の元へだよ。死んでしまった……死なせてしまったアグモン君やクロノ君の分まで、僕達が戦うんだ」 
 
 大切な仲間をむざむざと死なせた――自分は戦士失格だ。 
 でも、だからといって膝を折って良い訳ではない。 
 いくら後悔しても、諦めたくなったとしても、それは許されない。 
 死なせた彼等の分まで、戦う。それが僕――ヒビノ・ミライに出来る唯一の罪滅ぼし。 
 僕は、折れない。 
 仲間の死、自分の無力さ、長い長い苦悩の末にミライは答えを導いた―― 
 
 
 「だからヴィータちゃん、行こう! みんなを救うんだ!」 
 「でも、私は…………ごめん。一緒には、行けない」 
 
 
 ――だがミライの決意に赤服の魔導師は首を横に振った。 
 
 
 
 □ 
 
 
 
 ヴィータは迷っていた。 
 命を賭け自分を逃がしたクロノの姿を見て、自分以上に悲しんでいる筈のミライの決意を聞き――でも、迷っていた。 
 
 どうしても譲れない事があるのだ。 
 それは、闇の書の主――八神はやてについて。 
 守らなくてはいけない。 
 殺させる訳にはいかない。 
 ミライの言う意味も分かる。自分だってクロノの意志を継ぎ、戦いたい。 
 でも――無理だ。 
 助けを求める者、全てを救っていたら時間が掛かりすぎる。 
 そんな事をしていたら、はやてに出会う確率は低下する。 
 早く、一秒でも早くはやてに会って守護しなければならない。 
 自分は――守護騎士だから。 
 だから。 
 だから。 
 だから。 
 ごめん。 
 本当にごめん。 
 私は、お前と、協力、できない。 
 
 
 「ヴィータちゃん……?」 
 「約束する! 殺し合いにのった奴としか戦わない! それは約束するよ! でも協力は、出来ないんだ! ……はやてを、少しでも早く、はやてを救わなくちゃ、ダメなんだ……」 
 
 ――少女は吐き出すように呟き、駆け出す。 
 ミライとは正反対の、出口へと続く道を全力で、振り返らず、走る。 
 
 「ヴィータちゃん!」 
 
 一拍遅れミライも走り出そうとし、止めた。 
 あれが彼女の決意。自分が決意したようにヴィータも決意したのだ。 
 ――最も大切な人を護る。それもまた一つの決意だ。 
 それを制止する事など自分には、出来ない。 
 でも。 
 だから。 
 せめて。 
 
 (――無事でいてくれ……) 
 
 願おう。 
 彼女の、そして彼女が一番大切にしている者の無事を。 
 何時かまた会いたい。 
 そして今度こそ協力して、殺し合いを止めよう。 
 ヴィータから数分遅れ、ミライも外の世界に踏み出す。 
 ヴィータの姿は何処にも見えない。もう大分遠くに行ったのだろう。 
 
 「僕も、行かなくちゃな」 
 
 大きく息を吸い込み、自らの決意を果たす為、光の戦士も歩き始めた。 
 
 
 【ヴィータ@魔法少女リリカルなのはA's】 
 【状態】疲労(小)、号泣、哀しみ、左肩に大きな切り傷 、迷い 
 【装備】ゼストの槍@魔法少女リリカルなのはStrikerS 
 【道具】支給品一式×1、デジヴァイスic@デジモン・ザ・リリカルS&F 、ランダム支給品0?1 
 【思考】 
  基本 はやてを救って、元の世界に帰る 
  1.悪い、ミライ……。 
  2.八神はやて及び他の守護騎士たちとの合流 
  3.そして彼らに偽者の八神はやてがいて、殺し合いに乗っていることを伝える 
  4.ヴィヴィオを見付けた場合は、ギルモンの代わりに守ってやる 
  5.赤コートの男(アーカード)はぶっ殺す。 
 【備考】 
  ※はやて(StS)を、はやて(A's)の偽物だと思っています 
  ※デジヴァイスには、一時的に仮パートナーとして選ばれたのかも知れません。 
  ※なのは達のデバイスが強化されたあたりからの参戦です 
 
 【ヒビノ・ミライ@ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは】 
 【状態】疲労(小)、号泣、哀しみ、背に切傷 、強い決意 
 【装備】メビウスブレス@ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは 
 【道具】基本支給品一式、ランダム支給品0?2 
 【思考】 
  基本:殺し合いを止める。 
  1.ヴィータちゃん……。 
  2.助けを求める全ての参加者を助ける。 
  3.なのは、フェイト、ユーノ、キャロと合流したい。 
  4.アグモンを襲った大男(弁慶)と赤いコートの男(アーカード)を警戒。 
 【備考】 
  ※メビウスブレスは没収不可だったので、その分、ランダム支給品から引かれています。 
  ※制限に気付いてません。 
  ※デジタルワールドについて説明を受けましたが、説明したのがアグモンなので完璧には理解していません。 
 
 
 □ 
 
 
 
 そして誰も居なくなった図書館。その二階から、二人が去った一階へと降りてくる者がいた。 
 それは八神はやて。 
 茶色のショートヘアーを揺らしつつ右、左、右と周囲に首を回し大きく肩を落とす。 
 
 「なんやねん、此処は……」 
 
 幼少時に利用していた図書館、という事は理解できる。 
 ただ何故ここに飛ばされたのかが分からない。 
 転送の先にある無人の図書館。キングも居ない。 
 当然、望みの者も居ない。 
 
 (罠、か……) 
 
 直接死に繋がる訳ではない。それについてはキングの予想通りだったらしい。 
 だが、あの転移魔法は罠に違いない。 
 
 丁度会場の中心にある巨大な建築物――地上本部。 
 位置といい、その圧倒的存在感といい、最も人が集結し易い施設だろう。 
 その最上階に置かれた『魔力を込めれば対象者の望んだ場所にワープできます』という甘言。 
 それに釣られ人々は魔法陣を利用し、そして今の自分のように仲間と離れ離れになる。 
 手を組みゲームを打破しようとする参加者達を分散させる――良くできた罠だ。 
 
 「……やられたなぁ……」 
 
 先程までヴィータ達が座っていたベンチ。 
 その二つ後ろに置かれたベンチに腰掛け、息を吐くはやて。 
 キングという戦力を失ったのは痛い。だが、精神的な負担が軽くなったのも事実。 
 
 「もうそろそろ放送やし……休憩でもしとこか……」 
 
 それに一人というこの状況は、イラついていた心を落ち着けるには最適かもしれない。 
 喧しい協力者が消えた事に僅かな安堵を感じつつ、はやては目を閉じる。 
 
 
 はやては知らない。 
 あの転移装置が罠ではなかった事を。 
 初めに転移された地点――図書館・二階の直ぐ真下に探し求めていた少女がいた事を。 
 もし転移した後、直ぐ様階段を下っていれば少女と出会えた事を。 
 八神はやては、知らない。 
 
 
 
 
 
 【八神はやて(sts)@魔法少女リリカルなのはFINAL WARS】 
 【状態】健康 
 【装備】ツインブレイズ@魔法少女リリカルなのはStrikerS 
 【道具】支給品一式×2、ランダム支給品1~3個(武器では無い) 
     ランダム支給品1~2個(キングから貰いました) 
 医務室で手に入れた薬品(消毒薬、鎮痛剤、解熱剤、包帯等) 
 【思考】 
  基本 プレシアの持っている技術を手に入れる 
  1.第一放送まで休憩する。 
  2.「ヴィータ」を追いかけ、彼女を戦力に加える 
  3.チャンスがあればキングを排除する 
  4.首輪を解除できる人を探す 
  5.プレシアに対抗する戦力の確保 
  6.以上の道のりを邪魔する存在の排除 
  【備考】 
  ※参戦時期は第一話でなのは、フェイトと口喧嘩した後です 
  ※名簿はまだ確認してません 
  ※プレシアの持つ技術が時間と平行世界に干渉できるものだという考えに行き着きました 
  ※ヴィータの他、この場にいるかもしれない守護騎士たちに優しくするのは、 
   自分の本当の家族に対する裏切りだと思っています 
  ※キングのことは、ただの念力が使えるだけの少年だと思っています 
  ※転移装置を、参加者を分散させる為の罠だと勘違いしています 
 
 【『CROSS-NANOHA』】 
 ロワ参加者、それぞれの世界で起きた事象が物語風に記されています。 
 その中身は、『リリカルなのはクロスSS倉庫』にある内容と一字一句間違い無く同じ物です。 
 因みに、 
 『HANNMOKU NO SUBARU』は『コードギアス 反目のスバル』、『YUUGIOU-GX』は『遊戯王GX』、『NANOSHING』は『NANOSHING』、『MASUKARE-DO』は『魔法少女リリカルなのは マスカレード』。 
 『RYU-KI』は『仮面ライダーリリカル龍騎』、『KABUTO』は『仮面ライダーカブト』、『DEJIMON』は『デジモン・ザ・リリカルS&F』、『TRIGUN』は『リリカルTRIGUNA's』、 
 『NANOSUTA』は『なの☆すた nanoha☆stars』、『KATAYOKU NO TENSHI』『魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使』、 
 『SESSYOUMARU』は『魔法妖怪リリカル殺生丸』、『OWAKURO』は『なのは×終わクロ』、『MEBIUSU』は『ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは』、『L』は『L change the world after story』、 
 『GETTA-』は『ゲッターロボ昴』、『MEDORE-』は『小話メドレー』、『ARMS』は『ARMSクロス『シルバー』』 
 となっています。 
 
 【転移魔法の魔法陣】 
 望んだ者の直ぐ近くの地点に転移を行う魔法陣。 
 微量な魔力でも発動可能。あくまで直ぐ近くの地点に転移するので、確実に会える訳ではありません。 
 
 
 
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