スターゲイト ストライカーズ
2年前、首都クラナガンの地下数十メートルで直径数メートルの環状遺跡が発掘された。
環状部分には39個の文字が刻印され、等間隔に9個のV字型の雁木細工がされている。
遺跡は考古学上の大発見として研究が行われた。
一見唯の石造りの物に見えるが、研究を進めるうちに精巧な装置であることが判明した。
遺跡が何の目的で作られたかについては様々な仮説が立てられた。
ある者はこれは惑星破壊兵器だと言い、
ある者は宇宙船の推進装置と言い、
ある者は長距離移動用の転送装置だと言った。
結論としては最後の転送装置という線で落ち着いたが、
使用方法は誰も解き明かすことはできなかった。
刻まれた文字も、管理局自慢の自動邦訳装置に通しても解読ができなかった。
「ジュエルシード」のようなエネルギー体ではない。
「聖王のゆりかご」のような危険な超兵器でもない。
結局遺跡自体に危険がないことがわかると、早々に研究は打ち切られた。
解読できたのは遺跡に蓋をするように置かれていた石版の文字のみ……。
「我等は忌まわしき蛇から先祖を守るため、天国の扉を封印する」
そして現在……
管理局遺失物保管庫、その片隅にロストロギアとして遺跡は収められていた。
その大きさ故に、保管庫内に貯蔵されている他のロストロギアよりもひときわ目立っている。
ある星では「チャパーイ」と呼ばれ、
またある星では「スターゲイト」と呼ばれるこの遺跡が、
今千年の眠りから目覚めようとしていた。
輪に取り付けられている9つの雁木細工……シェブロンと呼ばれる物が、赤く光りだす。
環状に配列された文字の部分が回転し……、
一旦停止したかと思うとシェブロンが一つずつそれをロックしていく。
回転中は遺跡自体が振動し、施設とその周辺を震度3程度の揺れが起こっている。
そして七つ目のシェブロンがロックされたそのとき。
輪の中心で水しぶきのようなエネルギーの爆発が発生した。
すぐにエネルギーは安定し、まるで水面のような時空境界線を形作り、通路は完成した。
保管庫内の異常なエネルギーを施設のセンサーが感知し、
けたたましい警報が鳴り響く。
形成されたワームホールから金属の球体が投げ込まれると、
球体からオレンジ色の光が保管庫中を走査した。
直後、同じくワームホールを通って鎧をまとった兵士が次々現れた。
兵士たちは頭を蛇に似せたヘルメットで前面をカバーしている。まるでその姿は神話に登場する神々のようだ。
兵士たちの最後列に一人金色の鎧を纏う者が現れる
その金色のヘルメットが上下に別れ、中から男の顔が見えるようになる。
男は周囲を見渡し、納められているロストロギアを見渡すと、人間の発するそれより恐ろしい声で兵士たちに命令を下した。
『運ぶことができる物は全て運び出せ!』
最終更新:2008年01月07日 21:57